グラント・ジェレットが4本の3ポイントシュートを沈めて本領発揮

「東アジアスーパーリーグ（East Asia Super League）」（※以下EASL）が栃木県・日環アリーナにて開幕。初代王者を目指し、2つに分かれたグループステージがスタート。昨シーズンのB.LEAGUEチャンピオンである宇都宮ブレックスは、フィリピンPBA準優勝チームのTNTトロパンギガと対戦。試合前、キャプテンの#0田臥勇太が「チームディフェンスから思い切りの良いオフェンスにつなげたい」と話していた強みを全面に出した宇都宮ブレックスが99-66で快勝し、幸先の良いスタートを切った。

はじめての対戦であり、相手に特徴をつかまれる前に「インパクトを与えるためにも最初から積極的にシュートを打つことを意識し、それが入ってくれて良かったです」という#9 遠藤祐亮が、第1クォーターから3本の3ポイントシュートを成功させる。対するTNTトロパンギガは、#0ジェイレン・ハドソンの個人技で第1クォーター終盤に逆転。「選手たちはこれぐらいであれば外すだろうと守っていましたが、やっぱり簡単にはいかないのが個人技の高い選手です」と佐々宜生ヘッドコーチは話し、最終的には28点を奪われた。
しかし、「もっとディフェンスの間合いを詰めて対応したことで、少しずつシュートが落ちていきました」と修正した宇都宮ブレックスがペースをつかむ。ディフェンスを成功させ、走った宇都宮ブレックスが次々と得点を重ねていった。第2クォーター、#34グラント・ジェレットの3連続3ポイントシュートが決まり、57-34と23点差をつけて前半を折り返す。

B.LEAGUEとは違い、ベンチ入りできる外国籍選手は2人のみ（＋アジア枠1人）。宇都宮ブレックスはジェレットとジョシュ・スコット、TNTトロパンギガはガードのハドソンとともにインサイドは2019-20シーズンに茨城ロボッツに在籍していたセンターのダニエル・オチェフを起用。宇都宮ブレックスは高さと強さのアドバンテージを活かし、「相手を苦しめたことでリズムを失っていきました。そこからうまくアウトサイドシュートが入り、ディフェンスでも止めることができました」と佐々ヘッドコーチは精神的にも上回れたことを勝因として挙げる。外国籍選手を休ませる時間帯、代わってコートに入った#10竹内公輔は6リバウンドを記録。日本代表として経験豊富なベテランがペイントエリア内を守り抜く活躍で、勝利に貢献していた。

今シーズン途中に加わったジェレットは4本の3ポイントシュートを成功させ、加入以来最多成功数でチームを勢いづけた。佐々ヘッドコーチは、「練習でもメチャクチャ入る3ポイントシュートの名手」と話すとおり、本領を発揮。FIBA ワールドカップ アジア地区予選のためにバイウィークとなった期間、「ジョシュとグラントのインアウトの関係を作り上げ、今後のBリーグで活かすために練習してきたことが、この試合は良い形で出せました」という準備が功を奏し、快勝につながった。

このままでは終わらない戦いをファンに見せ、自信につなげるためにも「優勝したい」

各国リーグを代表して争われるEASLであり、他国のチームとの対戦は貴重な機会でもある。フィリピンのTNTトロパンギガ戦を終え、「個人技の高いチームでした」と感想を述べた遠藤だが、B.LEAGUEで積み上げてきた経験がしっかりと活かされていた。

「個人技や身体能力では勝てない部分はありますが、チームで組織的なディフェンスをし、1人ではなく2人や3人でしっかり守ったことで相手が攻めあぐねる場面も多かったです。リーグを通じてみんなで作ってきたディフェンスが、この試合でもしっかりと出せたと思います」

現在B.LEAGUEでは東地区5位と思うように勝率が伸ばせず、天皇杯もセミファイナル敗退。昨シーズンのチャンピオンとして、「自分たちに自信を持たせるためにも優勝したい」と遠藤は力を込め、今大会のモチベーションになっている。

「このままでは終わらないという戦いを、今大会から見せなければいけないです。タフなスケジュールであり、この後すぐにレギュラーシーズンが待っていますが、この大会をきっかけに『自分たちは変われるんだ』というところをファンの皆さんに見せるため、そして自分たちの自信につなげられるようにしたいです」

次戦は3月3日(金)19:30より、今大会のために結成されたベイエリアドラゴンズに挑む。日本を代表するもう1チーム、琉球ゴールデンキングスは3月2日(木)に登場し、PBAチャンピオンのサンミゲルビアメンとの初戦を迎える。