REPORTレポート

アジア最高峰のバスケットボールリーグ創設をミッションとする各国チャンピオン対抗戦

2023年3月7日

早くも来シーズンへの参戦に意欲を見せる出場チームたち

「東アジアスーパーリーグ(East Asia Super League)」(※以下EASL)は、韓国KBLの安養KGCが初代王者に輝き、5日間の日程を無事終えた。チャンピオンチームを率いたキム・サンシクヘッドコーチは「毎試合、毎クォーターにおいて戦略を深め、実践力を高めながらチームとしてやるべきことを徹底したことが、この結果につながりました」と話し、決勝以外ははじめての対戦となるチームに備えていた。惜しくも準優勝となったソウルSKナイツのチョン・ヒチョルヘッドコーチは、「それぞれのチームが全く違ったバスケスタイルだったのが印象的です。また、KBLのレギュレーションとは違う難しさもありましたが、さらに続けていくことでEASLは必ず大きくなっていくでしょう」と感想を述べる。終わったばかりのEASLだが、選手たちは早くも来シーズンの参戦に意欲を見せていた。

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歓喜する安養KGCの選手達

EASLはFIBA公認大会であり、「アジア最高峰のバスケットボールリーグ創設」をミッションとする。優勝賞金は25万米ドル、2位は10万米ドル、3位は5万米ドルが用意された。今大会には台湾P.LEAGUE+の優勝チーム、韓国KBL、フィリピンPBA、日本B.LEAGUEは準優勝を含めた各2チーム、そしてEASLのために発足されたベイエリアドラゴンズを含めた8チームが参戦。予選となるグループステージは4チームが各2試合を行うリーグ戦。総当たりではないために勝率が並ぶ可能性が高く、得失点差や総得点を考慮した戦いが求められる。EASL代表のマット・ベイヤーCEOは「すべてのゲームが大切であり、最後まで攻撃を緩めることを許さないエキサイティングなゲーム」と大会前に話していたとおりの試合が続いた。

ベイエリアドラゴンズのブライアン・ゴージャンヘッドコーチは、「創設1年目ながら3位になれたことを誇りに思います」と満足のいく船出になった。東京2020オリンピックではオーストラリア代表を率いて銅メダルを獲得。数多の経験をしてきた名将にとっても、「このような国際的なリーグははじめて」の挑戦だった。

「勝ち負けを大きく越えたチャレンジであり、それぞれの国を代表するチームとの対戦を通じて、多くのことを学ぶ機会にもなりました。オーストラリアやニュージーランドも参戦するべきであり、アジア全域にとって大きな影響を与えるリーグになると感じています」

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ベイエリアドラゴンズ ブライアン・ゴージャンHC

負けた悔しさをB.LEAGUEにぶつけ、さらなるレベルアップに期待

グループステージ3位で予選敗退となった宇都宮ブレックス。日本代表アシスタントコーチとして国際試合を経験してきた佐々宜生ヘッドコーチは、90-96で敗れたベイエリアドラゴンズ戦のあと、前向きなコメントを残してくれた。

「日本代表でトム・ホーバスヘッドコーチが目指しているのと同じく、国際試合では3ポイントシュートのアテンプトを増やすことがやっぱり大切でした。そのためにペイントタッチし、オープンショットを打つ場面が結構ありました。選手にとっては、その場面を作り続けることだけでも大変な労力が強いられます。敗れはしましたが、強いメンタリティーを崩すことなく3ポイントシュートを打ち続け、42.1%(16/38本)という確率も悪くない数字です。今後に向けて、良いきっかけをつかむ機会になりました」

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ベテランとしての働きを見せた宇都宮#10竹内

参加国の中では群を抜いて試合数が多いB.LEAGUEであり、レギュラーシーズンの最中に行われたEASL。さらに試合数が増えることは、選手にとって負担になり兼ねない。しかし38歳のベテラン、#10竹内公輔はこの新たな戦いにも好意的だった。

「国際大会がはじめての選手もいたので、最初はどうなるかと思いましたが、みんなすぐに対応していました。日本代表のように国を背負うプレッシャーを感じることなく、ホームで戦えたことで緊張もなく、いつも通りのプレーができたと思います。今後も続くと思いますし、次は当初の予定通りにホーム&アウェーになればもっともっと盛り上がると思います。またこの舞台に戻って来られるように、ブレックスとしてステップアップしていきたいです」

3位決定戦に敗れたあと、今大会に対するメリットと課題を求められた琉球ゴールデンキングスの桶谷大ヘッドコーチは、「レギュラーシーズン中に非常にレベルの高い試合ができたことがメリットです。B.LEAGUEではなかなか経験できないディフェンスの圧力や、ハイレベルな選手たちに対して自分たちのスタンダードを引き上げなければいけないことを気づかされました」と返ってきた答えはメリットのみだった。

70-90、ベイエリアドラゴンズに20点差で敗れ、チーム全員で悔しさを共有できたこともメリットとして捉えている。「試合後のロッカールームで選手たちと話したのは、『この悔しさが必ず今後の戦いにつながっていく。だからこそ、B.LEAGUEでもしっかりと結果を残して、この場所に帰って来よう』という思いになれました」と桶谷ヘッドコーチは話し、次こそ優勝をつかむための原動力にしなければならない。今週末3月12日(日)に待っている天皇杯決勝で、早くもこの経験が試される。

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攻守ともにチームを引っ張った琉球#30今村

EASLを視察したB.LEAGUEの島田慎二チェアマンは運営面での課題を指摘しつつも、「やっぱりアジア各国のトップクラブ同士が対決するのはおもしろい。そのためにも、もっと組織的にしっかりとした運営に変えていってもらいたいです」と各国首脳陣と共有し、今後のEASLへ期待を寄せる。

記念すべき第1回を終え、出場チームはこの舞台に帰って来ることを、未経験のチームはこの舞台に上がることが新たなモチベーションとなった。その権利をつかむためには、まもなく再開する各国リーグでファイナルへ進み、トップを目指さなければならない。宇都宮ブレックスと琉球ゴールデンキングスが味わったアジアトップレベルの強度を日々の戦いから還元することで、B.LEAGUEはまたひとつレベルアップできる。

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