2026.07.07
【特別対談】米須玲音と山内ジャヘル琉人のウインターカップ決勝の思い出「フリースローの前に僕がファウルをして…」【ミズノ×川崎ブレイブサンダース】
桶谷HC体制で臨むBプレミア初年度
「どういうチームを作れるのか楽しみ」
──本日、7月1日から2026-27シーズンが始まります。Bプレミア初年度に向けて、お二人はこの夏をどう過ごしていく予定ですか?
米須 僕はバスケットボールの技術よりもトレーニングなどの体作りを優先していきます。その上で、それをどうバスケに生かしていくかになると思います。昨シーズンはケガに苦しんだので、今シーズンこそはレギュラーシーズンの60試合全てに出たいなと思っています。それに加えて、スタッツも意識していけたらと考えています。
山内 今シーズンから外国籍選手がオン・ザ・コート・フリーになって、さらに競争力が上がる中でチャンスを勝ち取るために今、課題としているのが外国籍選手相手にでもしっかりと決め切る力やペイントアタックした後のフィニッシュ力、3Pシュートの確率です。外国籍選手よりも高い精度で判断やプレーができるように、今取り組んでいる最中です。
──山内選手は日本代表活動にも参加しました。その経験をどう川崎に還元したいですか?
山内 代表合宿は期間が短いので、そういう中でどれだけ自分の力が出せるか、どれだけアジャストできるかを試されているというか。Bリーグのシーズンが始まるにあたって、どういう状況でもすぐにアジャストして、一人一人が力を出せるようにする必要があるのかを代表合宿で学べました。それをチームにも伝えていければなと思っています。
──米須選手は先ほどの言葉にもあったとおり、昨シーズンはケガに苦しみました。その上で、今はどんな日々を過ごしている段階ですか?
米須 まず今の時期は、トレーニングをずっと継続していて、それにプラスして少しずつバスケットボールの動きを取り入れている段階です。体力的な部分も今は落ちてきている時期なので、そこを慣らしながらやっています。具体的には課題としているペイントアタックの練習などを取り入れていて、ちょうど(オフの強化プランの)中間地点に来たかなというところです。これから徐々にバスケの方が多くなってくるんじゃないかなと。オフの計画はシーズンが終わる前からしていたので、それを問題なくやれているところです。
──新指揮官に桶谷大HCが就任しました。日本代表のヘッドコーチでもあり、琉球ゴールデンキングスを5年連続でファイナルに導いた指導者でもあります。今の心境はいかがですか?
米須 まだ直接話したりはできていないのですが、琉球時代を見ていた身からすると、これから一緒に戦えるのはすごくうれしいです。桶谷さんが川崎に来て、琉球時代と似たチーム作りをするのか、新しいチームスタイルを作っていくのかはまだ分かりませんが、僕はHCに合ったプレーができるので、そこに加えて自分の強みを出していけたらと思っています。そこはコミュニケーションを取らないと分からないところですし、慣れも必要だと思います。桶谷さんとしっかりとコミュニケーションを取って、どういうチーム作りをしたいのかを確かめながらプレーしていけたらと思います。
山内 僕は、桶さんのバスケって一人一人の役割が明確で、しっかりとその役割を全うしないと試合に出られないというイメージがあります。その中で、プレーの強度や精度にもこだわっていると思います。もちろん、自分のやりたいプレーもありますが、でもまずは与えられた役割をどれだけ遂行できるか、結果を残せるかが大事になってくると思っています。その上で自分のプレーを見せたいですし、役割を全うしながら結果にこだわりたい。桶さんと直接話して、どういうチームを作れるのか楽しみですね。

──本日は新ユニフォームの発表会見ということですが、着用してみた感想を教えてください。
米須 サプライヤーがミズノに代わって、生地感などもこれまでとは違うかなと思います。個人的には高校(東山高)でミズノのユニフォームを着ていたので、このロゴマークが懐かしい感じがしますね。
山内 僕も高校(仙台大明成高)でお世話になったミズノなので、懐かしいなという思いと、着用してみて生地もよく伸びるので、早く試合で試したいなという気持ちでいます。
──初めてユニフォームを見たときの第一印象は?
米須 チームの撮影のときに飾ってあって、肩の部分のグラデーションが良いなと思いました。今までにあまりない感じだったし、これまでとは違ったインパクトがあって良いなと思います。
山内 ブレイブレッドのホームユニフォームにはグラデーションがあって、白のアウェーユニフォームとはサイドのラインのデザインも違って、それぞれに特徴があって好きです。ホームとアウェーで同じデザインじゃなくて、はっきりと分かれているのが面白いなと感じました。
WC決勝の“ミズノ対決”の思い出
「第4Qは見返せない(笑)」
──お二人とも高校時代にゆかりのあるミズノですが、やはり記憶に残っているのは2020年のウインターカップ決勝戦(東山高vs.仙台大明成高)だと思います。6年がたちましたが、どんな記憶として残っていますか?米須 あの決勝戦は人生の中でもかなり大きい試合だったので。ただ、一つこうだったら良かったなという点があるとするなら、大勢の観客の前でプレーしたかったということです(当時はコロナ禍で無観客開催)。悔いが残っているというほどではないですけど、今のウインターカップを見ていると、観客が入っていたらまた違ったんだろうなと思います。
──試合終盤に同点に追い付くフリースローを3投全て成功させました。
米須 よくやったと思います。自信があったからこそ決められたシュートだったし、今でもあのフリースローのことを周りから言われます。「ウインターカップを思い出すな」って(笑)。あれを決められて良かったなと今でも思いますね。
──山内選手は18得点の活躍で優勝に大きく貢献しました。
山内 あの優勝は特別な思い出になっています。あの年はコロナ禍でインターハイが中止になって、全国大会がウインターカップの1回しかありませんでした。それに、コロナによって大会に出られなかったチームや途中で棄権したチームもあった中で、「優勝させてもらった」と僕は思っています。本当は僕らは5試合をやる予定だったところを、(3回戦で開志国際高が棄権したため)4試合だったんですよね。だから、本来なら結果はどうなっていたか分からなかったです。観客もいなくて、今までの歴史の中でも唯一無二の大会になったんじゃないかなという思い出ですね。

優勝決定の瞬間、感情を爆発させる仙台大明成の選手たち(背番号10が山内)
──決勝戦のお互いのプレーをどう見ていましたか?
山内
実は先ほどの話にあった玲音のフリースローは、僕が玲音の3Pシュートに対してファウルしたんですよ(笑)。「あれはバカなファウルだったな」という思い出ですね。多分、焦ってコンテストしちゃって…打たせたくなかったのもあったんですけど、それが結果的にファウルになって。あのときは「やっちゃったな」という感じでした。でも、振り返ってみると、あれはあれで良かったのかもしれないというか。あそこでフリースローを3本決めたのはメンタルが強いなと思いました。そういうのも含めて本当に良い思い出ですね。
米須 第3Qぐらいまでは見返すことができるんですけど、第4Qは見返せないですね(笑)。第3Qが終わって10点以上リード(65-52)していたのに、「第4Qは何をしてたの?」という感じでやられたので。でも、そこから学ぶことはめちゃくちゃ多かったです。第3Qで10点以上リードしていたら、誰もが東山の勝利が近いと思っちゃいますよね。しかも高校生ですから。Bリーグや大学になってくると10点差はすぐに追い付かれたりもしますけど、高校の試合での10点差は結構大きい方だと思うんです。その中で、ああいうやられ方をしちゃったので、だいぶキツかったです。

米須は決勝で15得点、10リバウンド、10アシストのトリプルダブル
──当時、ウインターカップに合わせて東山高も仙台大明成高もユニフォームが一新されましたよね?
米須 あのユニフォームになったのはうれしかったですね。デザインもガラッと変わってシンプルになって。前の年まで半袖ユニフォームだったんですけど、僕、ガリガリだったのに半袖で…(笑)
山内 あの時期っていろんなチームが半袖ユニフォームにしていたよね。
米須 そうそう。あと、体育館のコート*もインターハイがなかったからと大澤(徹也)先生が変えてくれて、それもうれしかったです。
*インターハイがなくなって落ち込んでいた選手を元気付けようと、練習再開時にサプライズで大澤コーチが自らコートをチームカラーの黒と赤にペイントした
──仙台大明成はデザインは変わらず、ブラックのユニフォームができましたね。
山内 あれはカッコ良かったです。一番カッコ良いくらい。エンジも好きな色でしたが、たしか(佐藤)久夫先生が仙台高時代のユニフォームも黒だったからとか…そういうこともあってなのか、黒のユニフォームを着てウインターカップに出ました。大きな意味を持つユニフォームにもなったかなという思いですね。
印象深い米須の3Pシュートと
山内の豪快ワンハンドダンク
──お二人が川崎に加入した当時にインタビューした際に、「本格的に話すようになったのは同じチームになってから」「ここからお互いを知っていきたい」と話していました。今はどんな関係になりましたか?米須 この2シーズンで半分くらい川崎のチームメイトが変わりましたよね。チームの雰囲気によっても話す人が変わったりもしますし、特に昨シーズンはみんなキャラが濃かったです(笑)。入ってきた選手だと、ロイ(伊久江ロイ英輝)は僕らと年も近いし、ジャヘルともめっちゃ気が合っていました。それに(岡田)大河も入ってきて、彼も海外経験があったり。だから、僕ら2人の関係性は大きくは変わってないですけど、ジャヘルの生活面のことなんかは分かり始めましたね。
山内 一緒にクラブハウスに住んでいたのもあって、ご飯の時間が一緒になることもあったり。そういうときにいろいろ話もしていました。今は玲音がクラブハウスを出ちゃいましたけど、一緒の時間は楽しかったですね。なかなかそういうのってプロになるとないと思うので、貴重な時間だったなと感じました。

──例えば「しっかり野菜も食べるようになったな」とか、そういう気付きもあったり?
米須 基本、全部食べていますよ!(笑)
山内 (笑)。でも、しっかり食べるようになったなとは思います。
米須 親目線(笑)
──ここまで約1シーズン半一緒にプレーしてきて、お互いに印象的な出来事は何でしたか?
山内 僕はやっぱり昨シーズンの最後の試合(vs.横浜BC)で、終盤に玲音が決めた3Pシュートですね。あれはすごいなと思いましたし、しかもあの試合はアシストも9本ぐらい(実際は10本)しているんですよね。貢献度の高さはやっぱりすごいなと思います。ああいうときに力を発揮してくれるのは心強いなと感じた試合でしたね。
──ウインターカップのフリースローを彷彿させる勝負どころの活躍でしたね。
山内 そうですね。あと、最後のロスコ(アレン)へのパスもオフバランスになっている中で出し切っていて。あの時間帯に一緒に試合に出ていたから「やっぱりすげーな」と思いましたね。あそこでしっかり出し切れるのは体作りをしてきた成果だと思いますし、周りが見えているんだなと改めてすごさを感じました。
──米須選手が印象に残っている出来事は?
米須 僕のホーム復帰戦になった滋賀戦で、ジャヘルが大河からのアリウープをやろうとしたんですよ。あれはマジでびっくりしました。「え、そのタイミングでやれるの?」って。あと、どこかの試合で相手を抜いた後に外国籍選手の上からワンハンドダンクを決めたんですよ。
山内 琉球戦だったかな?
米須 そうそう! (デイミアン)ドットソンだ。あれはヤバいなって。ジャヘルのプレーにはそういう瞬間が結構あるんですよ。「今のエグ」みたいな(笑)

──お二人は同期で川崎に加入しましたが、ポジションは違えどライバル心などもあるのですか。それとも、何か悩み事などがあったときにお互いに励まし合う、支え合う関係ですか?
米須 どちらかというと支え合う感じの方が強いかもしれないです。これから桶谷さんが来ますし、チームをもっと強くしたいという思いはお互い変わりません。2人の良さを出しながらチームを勝たせたい。僕らは同じ気持ちなので、それが徐々に結果として出てくれば一番うれしいなと思います。
試合中に速攻のパスを出すとき、ジャヘルはいつでも走ってくれています。さっき話に上がった横浜BC戦でも何本かジャヘルにパスを出しているんです。でも、僕が出したパスでダンクを決めているシーンをあんまり見たことないです(笑)
山内 (笑)。だいたい「ああやばい、レイアップになっちゃった」みたいな。
米須 横浜BC戦でも一回あったよね? レイアップになっちゃった場面(笑)。でも、プレーの相性はすごくマッチしているなと思いますね。
──あとは、「ダンクをしてくれ」という感じですね。
米須 はい(笑)。バチッと決めてくれたら一気に盛り上がるんだろうけど、レイアップになっちゃうから(笑)。でもダンクが難しいのは分かります…!
山内 ダンクできるように…はい(笑)。僕としては、やっぱりポジションが違うので、どうしても「ライバル」という感じにはなれないと思うんですけど、でもお互い高め合っているというか、そういう思いですね。自分たちがチームに良い影響を与えられる存在になれると感じていますし、エネルギーもあるので、それを使ってどんどん良いプレーができるようになればチームの士気も上がります。これからも高め合ってチームに良い影響を与えられる存在になっていきたいですね。
──では最後に、高校時代以来のミズノのユニフォームで臨むBプレミア初年度に向けて、意気込みをお願いします!
山内 今シーズンはまた新たな変化の年になると思います。変化というのは、僕は良いことだと思っているので、その変化に対して自分たちがどうやって良いものを作れるのかが大事です。良い変化に対して良いものを作れるように、良いものを見せられるように一つ一つハードワークしたり、チームでしっかり切磋琢磨したりして、「また川崎が強くなったね」と言われるようにしたいです。僕らもそうですけど、みんながそういう意識で取り組めるように、良い結果を残せるように、良いシーズンにできたらなと思っています。
米須 高校以来のミズノのユニフォームということで、いろいろご縁もあるのかなと思っています。結果を残して、このユニフォームを皆さんに見てもらって、もっともっとミズノ(の認知)が広がることを祈って、今シーズンも精一杯頑張りたいと思います。よろしくお願いします!


【次ページで記者会見の模様をレポート!】

川崎ブレイブサンダースの川崎渉代表取締役社長(左)とミズノの水野明人代表取締役社長(右)
川崎ブレイブサンダース×ミズノ
「3つのビジョン実現を目指す」
記者会見の冒頭、川崎の川崎渉代表取締役社長は「歴史と伝統を持つ両社が手を取り合い、Bリーグの中で果敢に挑戦できる入り口に立てていることに本当にワクワクしています」と、新たなパートナーシップへの期待感を露わにした。続いてミズノの水野明人代表取締役社長は自らもケイジャーだったと明かすと、「スポーツの振興を通じて社会に貢献するという理念が一致しました。長い歴史を持った両社が契約できるのも、何かのご縁だと感じています」と、確かな共鳴を口にした。特筆すべきは、この契約が単なるトップチームへのウェア提供にとどまらないこと。川崎社長は両社で実現したい「3つのビジョン」を紹介。1つ目は、国内最大級の規模を誇る川崎のアカデミー(サンダースキッズ)の子供たちにミズノのプロダクトを届けること。2つ目は、ミューラルアート(壁画)や駅前の「THE KAWASAKI VISION」を活用し、アリーナの熱狂を街中へ染み出させること。そして3つ目は、バスケットボールゴールの国内シェアで屈指の実績を持つミズノグループのセノー株式会社と連携し、川崎を「いつでもバスケができる街」へと変えていくことだ。「しっかり両社で挑戦を続け、新しい街の景色、新しい歴史を作っていきたい」と、川崎社長は力強く宣言した。

「普遍を纏い、挑み続ける」
新ユニフォームの全貌
会見の後半では、ミズノのテクノロジーと川崎の魂が結集した新ユニフォームがお披露目された。コンセプトは「普遍を纏い、挑み続ける」。これまで築き上げてきたクラブの伝統を土台としながら、常に高みを目指す革新の姿勢を表現している。ホームユニフォームは、チームカラーの鮮やかなグラデーションに加え、側面に走る閃光のような雷のあしらいで躍動感を演出。アウェイユニフォームには稲妻模様を取り入れ、力強さと存在感を際立たせている。素材には、軽量性、ストレッチ性、耐久性のバランスを追求した100%リサイクルポリエステルを採用。ハードなプレーを支える吸汗速乾性と、環境への配慮を両立させた次世代のマテリアルである。
ミズノの開発担当者は「妥協しないことを心がけました。グラデーションは昇華プリントにおいて表現が難しいカラー仕様ですが、試作を繰り返した結果、奥行きのある上質なグラフィックに仕上がりました」と、確かなモノづくりへの自信をのぞかせた。
新ユニフォームに袖を通し、ステージへ登壇した米須玲音と山内ジャヘル琉人は、ともに高校時代にミズノのウェアを着用してプレーしていた縁を持つ。新ユニフォームを纏った米須は「高校時代に着ていたミズノとまた一緒に戦えることはすごくうれしいです。Bプレミアでしっかり結果を残して、ミズノを広められたらと思います」と決意を語ると、山内も「ミズノを着させてもらって懐かしい気持ちでいっぱいです。早くこのユニフォームでコートに立ち、戦いたい」と、新シーズンへの意気込みを言葉に乗せた。
また、ユニフォームスポンサーの発表の場では、胸正面を飾る株式会社ミツトヨとのグローバルトップパートナー契約を、2029-30シーズンまで更新したことも併せて発表された。川崎の地に根差すグローバル企業からの強力な支援の継続は、クラブにとってかけがえのない推進力となるに違いない。
伝統を重んじながらも、未知の領域へと果敢に挑む川崎ブレイブサンダース。ミズノという新たな戦友を得た彼らが、Bプレミアの舞台でどのような雷鳴を轟かせるのか。その歩みから目が離せない。
記事提供:月刊バスケットボール
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