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2026 NEW B.LEAGUE 始動

INTERVIEW

島田チェアマン
インタビュー

Bリーグは、2026-27シーズンから現在の単年の競技成績による昇降格制度を廃止し、エクスパンション型へと移行する。そして売上12億円以上、入場者数4,000名以上、収容人数5,000人以上でスイートルーム設置など基準を満たすアリーナ、この3つが要となるライセンス基準をクリアすることが、新B1への参加条件となる。では何故、ライセンス基準としてこの3つの要素を重要視するのか。そしてより根源的なところである何故、この構造改革を行う必要があるのかについて、島田慎二チェアマンに聞いた。

Q:今回、発表された新B1入会の初回審査において一次審査は2シーズン前に行います。1シーズン前でなく、2シーズン前であることの理由を教えてください。

将来構想において、新B1、新B2、新B3への参戦については競技成績ではなく、ある一定の事業内容を審査して行います。その最初の審査が、2024年10月となります。何故、2年前かと言うと、理由は2つあります。

1つは2026-27シーズン以降、新B1は毎日どこかの会場で試合を開催し、毎日ファンの方々にバスケットボールを届けたいと考えています。今は土日と水曜日のみ。連続の試合は選手への負荷もありますし、ファンの方々も観戦の機会も限られますし、報道も限られてしまいます。Bリーグがもっと国民の方々、地域の方々を元気にするためにも毎日開催とする、そのためには大きなイベントが決まる前に日程を組む必要があります。

2つ目は、1つ目と逆の視点になります。バスケットボールはアリーナを利用するソフトの1つであり、1年のうちで利用するのは約30日のみです。新たなアリーナの有効活用、価値の最大化を考えると、残りの335日の中で地元が潤うイベントを誘致して埋め込んでいかなければいけないです。その場合、ある一定の猶予期間が必要で、2年前の段階でバスケットボールのスケジュールを決めて空いた日を他のイベントで埋めてもらえるようにしたい。そのために2年前に審査します。一方、新B2、新B3については今のライセンスと同じく1年前に日程を組むことを考えているので、初回審査はこれまでと同じ1年前に行います。

Q:将来構想において、アリーナの存在は大きな要となっています。体育館をホーム会場としても毎試合4,000人、5,000人と観客が集まるクラブもありますが、それでは新B1に参入できない。そこまでアリーナを重要視するのは何故でしょうか。

今、体育館で4,000人が入っている会場は演出もしっかりしていて満員で盛り上がっていて、それでいいのではという声は私もたくさん聞きます。それ自体は私もここまでバスケットボール界が努力してきた結果の産物として良いと思います。ただ、今が完璧な状況ではないです。

Bリーグのチケットを購入して来場してくださる方々に本当にわくわくしてほしい、快適な環境で試合を観戦してほしい、ディズニーランドに行くような非日常感を1日中感じてほしいと考えております。そうすることでクラブの収益機会は拡大し、選手や地域貢献に投資ができる。その成長のサイクルをこの先10年、20年と続けていくためには夢のアリーナが不可欠だと考えています。

アリーナでの試合を見ていない方たちは、その必要性がまだ分からないので今のままでいいと思うかもしれません。だからこそ、まだ見ぬ世界を我々がリードして作っていき、「アリーナはやっぱり凄いな」と地域の皆さんに感じてもらう。アリーナのある世界観を普及させることで、もっとバスケットボール界が高いレベルにいける。それはすでに沖縄アリーナで証明されています。現状に満足しないで最高の商品を作ることをクラブ、リーグとして意思決定した。それがアリーナをこの改革の一丁目一番地に据えた根幹です。

Q:アリーナについて当初の発表では、初年度から新B1に参加するには2026-27シーズンの開幕までに完成させる必要がありました。それが施工者、実施設計の計画が決まっているなどその確からしさを証明できる条件つきですが、2028-29シーズンまでに利用できる状況にすると期限が延びました。

この延長の理由は、初回審査まで時間が少ないからです。アリーナについては改修によって基準を満たすことも可能です。ただ、夢のアリーナ構想と大きな目的を持って動いているのに、2026年に間に合わせるため突貫工事のような形でスイートルームを設置するなど、要件をパスするための安易な取り組みは止めたい。そういう意図もあって、期限を延ばすことを認めました。

Q:他の基準として売上12億円、入場者数4,000名の数字はどんな考えで設定しましたか。

バスケで日本を元気にしていくためには、日本各地に点在しているクラブが盛り上がらないといけない。この思いが前提としてあります。本当の意味でクラブが賑わっている状況になるために、社員が何人いて、平均年収がいくら必要なのか。色々な要素を考慮して試算した結果、最低でも売上12億円の規模に達していないと、地域を元気にするような人的リソースを抱えることができないです。

そして地域で盛り上がって自治体からクラブの価値を感じていただけるようになるには、どれくらいの人数が必要なのか。そのイメージとして、最低でもコロナ禍の前の宇都宮ブレックス、千葉ジェッツ、川崎ブレイブサンダースくらいの入場者数がないといけないというところから4,000人以上としています。

Q:NBAに次ぐ世界2位のリーグを目指すと表明しています。どの部門で世界2位になるのか教えてください。

競技力、事業規模などいろいろな観点がありますが、まずは、クラブの売上を基準にしています。それはBリーグの理念を実現するためにはクラブの成長が大事であり、全ての軸がクラブであるからです。クラブが新しい仕組みによって成長し、平均売上高が1期20億円になると、ユーロリーグや中国のCBAを上回ります。クラブの事業力において世界2位のリーグになることを目指します。

そうすることで、世界中からレベルの高い選手が集まり、Bリーグの選手もNBAを見据えることができると考えています。日本のプロ野球は、プロ野球で活躍できると世界最高峰のMLBへのチャレンジを考えられるようになります。子供たちもそれがわかっているので、甲子園、プロ野球、MLBと大きな夢をもってチャレンジができています。Bリーグが事業的に高いレベルにいることは、子供たちに夢をもってもらうことにつながると考えています。

Q:新B1ライセンスの基準を、自分が応援するクラブはクリアするのが難しいかもしれない。Bリーグ誕生以降、ここまで発展してきているのに何故変える必要があるのか、など、この改革に懐疑的なファンもいると思います。改めてファンに伝えたいメッセージをお願いします。

日頃から各地域で贔屓のクラブを応援してくださっていることに本当に感謝しています。ただ、Bリーグは現状で満足してはいけない、もっと成長しなくては本当の意味で応援してくださっている方々に恩返しができないと考えております。開幕した5年前と比べても少子化やグローバル化、余暇消費の多様化など、バスケのみならずスポーツを取り巻く環境は非常に厳しい状況になっています。今、経営が良くても潰れてしまう可能性はあります。クラブがずっと生きていくには、日本代表が盛り上がること、Bリーグのトップディビジョンがもっと存在感を高め、そのシャワー効果をバスケ界全体に広げることが必要です。

そして、クラブがファンの皆様だけでなく、地域そのものから重要だと評価されないと生き残っていけない。そのためには全試合で満員のファンの応援と笑顔で溢れていて、地元地域から凄いと一目置かれる存在である必要がある。アリーナなどの条件はハードルが高いと思われがちですが、地域と一体になって皆様のご支援があれば達成可能な範囲で設定したつもりです。これをクリアすることで、地域で存在価値があるクラブとなりずっと続けることができます。

この改革は一見痛みのようですが、クラブが永続的な存在になり、地域に貢献し続けるための施策です。例えば現行の制度であれば贔屓にしているクラブが今のカテゴリーに未来永劫いられるかというと、そうではありません。現行制度を続けた場合、経営力が高いクラブが選手への投資を加速させ上位カテゴリーを占め、いっそう経営格差が広がるという、いわば“弱肉強食”の未来が待っていると予想されます。だからこそ先んじてこのような仕組みを導入し、競技で勝つか負けるかでカテゴリーが変動するのではなく、経営努力すれば希望のカテゴリーで戦える制度設計にしました。ファンの皆様には、この変化を受け入れていただき、一緒にクラブを支えてほしいです。どのクラブも見捨てないですし、かつ発展させていきたい。この施策による発展は、今応援してくださっているファンの皆様、未来のファンとなる子供たち、バスケットを応援してくださっている企業に元気になってほしい、笑顔になってもらえる存在になりたいという思いから目指すものです。発展しないところに本当の意味での幸せはないです。クラブが健全性を高め、成長を続けていくためのお力添えをいただきたいです。我々も責任を持って頑張りますのでよろしくお願いします。