2023/02/16B.HOPE ACTION#049

B.LEAGUE ALL-STAR GAME 2023 IN MITO B.Hope ACTION「リモートコーチング supported by SoftBank」

 

「ドットエスティ B.LEAGUE ALL-STAR GAME 2023 IN MITO」の開催にあたり、B.Hopeでは「リモートコーチング supported by SoftBank」と題して、ICTを活用した新たな教育機会を提供することで、部活動の課題を解決するとともに、子どもたちが楽しく学び、バスケスキルを習得してもらうことを目指した活動を実施しました。

【対応するSDGs】

 

実施概要

 

●対象チーム
茨城県久慈郡大子町立大子中学校 男子バスケットボール部

●担当コーチ
・落慶久氏(茨城ロボッツ ユース事業部長兼コーチ)
・武田祐氏(茨城ロボッツ U18ヘッドコーチ)
・遥天翼氏(茨城ロボッツ U15男子ヘッドコーチ)

●AIスマートコーチ お手本動画出演
・#2 富樫勇樹選手(千葉ジェッツ)
・#8 多嶋朝飛選手(茨城ロボッツ)
・#25 平尾充庸選手(茨城ロボッツ)

●実施内容
・ティップオフイベント(12月5日)
 対象チームと担当コーチの顔合わせ、スキルズチャレンジトライアル、担当コーチによるスキル指導、AIスマートコーチ/スマートコーチの使い方の説明
・リモートコーチング(12月上旬~1月上旬)
 AIスマートコーチを使用したスキル練習、スマートコーチを使用したリモートコーチングの実施
・Jr. スキルズチャレンジ(1月14日)
 オールスターで練習の成果をお披露目

運動部活動の地域移行で生じる課題。受け皿となる指導者の確保や、環境の格差

現在日本では、少子化や教員の長時間勤務により、中学校における運動部の活動環境が変化しています。特に、教員の働き方改革は大きな課題であり、部活動で指導する教員は放課後や休日の活動が負担となって長時間労働が問題となっています。(※)
(※)平成28年度の調査では、中学校教員が土日の部活動にあてる時間が10年前と比べてほぼ倍増となり、時間外勤務増加の要因となっている。

これに対し政府は、今年度から、中学校運動部の休日の活動を地域のスポーツクラブなどに移行する調査や取り組みを開始しました。この「運動部活動の地域移行」には、受け皿となる指導者や施設の確保が難しいことや、人材の確保には都市部と地方で格差が生じるなどの課題があると言われています。

当該課題に対し、B.Hopeでは、B.LEAGUEのトップパートナーであるソフトバンク様のご協力の下、ICTを活用した新たな教育機会を提供することで、子どもたちが楽しく学び、バスケスキルを習得してもらうことを目指しました。

今回の取り組みには、オールスター開催地である茨城県の大子町立大子中学校男子バスケットボール部(以下、大子中バスケ部)と、茨城ロボッツのユースコーチが参加。オールスターの催しの一つでもある「スキルズチャレンジ」を題材に、ドリブル・パス・シュートといった基礎的なスキルの向上を目指しました。

2022年12月5日、茨城ロボッツのコーチたちが大子中を訪れ、大子中バスケ部の部員と顔合わせを行いました。この日部員たちは、一人一人がスキルズチャレンジに挑戦し、コーチたちから直接スキル指導を受けました。

「この短時間でスポンジのように吸収してくれた(遥天翼コーチ)」と、プロのコーチから専門的な指導を受けた部員たち。キャプテンの鈴木くん(2年)は「1年生の時からまだ一度も勝てていないので、教えてもらったことを意識しながら取り組んで、皆んなで1勝したい」と、リモートコーチングを通しての意気込みを話してくれました。

専門的な観点からスキル指導を受ける部員

「ポイントが分かりやすい!」「楽しく取り組める!」ICTを活用したリモートコーチング

リモートコーチングは「AIスマートコーチ」と「スマートコーチ」の2つのアプリを用い、ドリブル・パス・シュートの基礎的なスキル向上を目標に、約1ヶ月行われました。
AIスマートコーチは、B.LEAGUEの選手がモデルとなったお手本動画を見て学び、骨格解析で自分の動きと比較されマッチ度合いが出るもの。比較動画を振り返りながらスキル向上を目指すものです。
スマートコーチは、動画やチャットのやり取りを通して、遠隔地にいるコーチから専門的なアドバイスを受けることができます。

(左)オールスターの特別コンテンツとして、富樫勇樹選手や平尾充庸選手らがお手本動画に出演
(右)コーチはペン機能や音声でもアドバイスを送ることができる

※AIスマートコーチの詳細はこちら:https://smartcoach.mb.softbank.jp
オールスターの特別コンテンツは、2023年6月末までご覧いただくことができます。
※スマートコーチの詳細はこちら:https://www.softbank.jp/mobile/service/smartcoach/

リモートコーチング期間、部員や顧問の先生は、
「(AIスマートコーチは)ポイントが分かりやすく書かれていたり、面白く楽しく取り組める。もっと練習して上手くなりたい(2年 鈴木くん)」
「(スマートコーチは)現状をよく知ってもらえて、細かいところまで分かりやすく教えてくれる(2年 佐藤くん)」
「(スマートコーチは)気を付けるポイントが明確になっていて分かりやすい。指導者としても、ひとつ一つを意識して伝えるようになった(顧問 齋藤先生)」
と、遠隔という環境下においても、専門的な指導を受けられていることを実感。また、「シュートの確率が上がったり、パスのコースも良くなった(2年 大藤くん)」とスキル向上を実感する声もありました。

富樫選手のお手本動画を見て学ぶ部員の様子

夢の舞台で練習の成果を披露!見違える成長を遂げた子どもたち。

2022年1月14日、約1ヶ月間のリモートコーチングを経た大子中バスケ部員は、アダストリアみとアリーナで開催された「ドットエスティ B.LEAGUE ALL-STAR GAME 2023 IN MITO」に来場。代表者2名が「Jr.スキルズチャレンジ」に出場しました。

「チームメイトの分も頑張りたい」と意気込んだ、益子和大くん(2年)

本番直前に「不安もあるが、シュートフォームに気をつけて楽しみたい」と佐藤優くん(2年)

大子中バスケ部員が仲間の挑戦を見守る

サプライズで富樫選手も応援に駆けつけた

多くの来場者の方々が見守る中、益子くん、佐藤くんともに完走。「始まる前は失敗しないか怖かったけど、完走できたことが嬉しい。今回細かい部分まで教えてもらったので、より一層バスケに興味が沸いた(益子くん)」「今回基礎的なことを教えてもらえて、次の大会にも繋がると思うし、もっと頑張って上達していきたい(佐藤くん)」とこれまでの活動を振り返りました。

優勝した益子くんには富樫選手からサインボールが贈られた

大子中バスケ部顧問の齋藤怜太先生は、「大子町には男子バスケ部が1校しかないので、練習試合などもできる環境になく、競争心や”試合に勝つ”などの負けん気は育ちにくかったし、専門性のある指導も必要と感じていた。そんな中、今回プロのコーチから教わることで技術面が成長し、それに伴い子どもたちが『やればできるんだ、こんなにできるんだ』という達成感も味わうことができた」と、スキル向上だけでなく、メンタル面での大きな成長も感じたようです。

そして、今回指導にあたった茨城ロボッツユース事業部長兼コーチの落慶久氏は、「これだけのお客さんがいる中で、最後までやりきった姿が非常に頼もしいと感じたし、ドリブルが見違えるほど良くなっていた」と本番の舞台を振り返り、「例えば『肘が曲がっている』など、感覚で伝えていたところが、動画比較で可視化されることはコーチングの観点においても重要。一方で、リアルだからこそ伝えられる熱量であったり、子どもたちのモチベーションを上げていくところは我々の強みであることも再認識した」とデジタルとリアルを上手くミックスさせることの必要性を話しました。

最後に、本取り組みにご協力いただいたソフトバンク株式会社サービス企画本部の星川智哉氏からは、「(練習や試合で子どもたちの)声が出るようになった、やる気が出るようになったという、スキルの向上だけではない成長があったと聞いて本当に嬉しい。我々ソフトバンクは、様々な分野でDX化(※)を進めて人々を幸せにするということを目指してやっていますが、これからもスポーツ界と並走させていただきながら、子どもたちが楽しんでスポーツに取り組めるように、色んな提案をし続けていきたい」とお話をいただきました。

(※)DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、AIなどのデジタル技術を用いて人々の生活や環境をより良い方向に変化させること。

(左)子どもたちの成長を喜ぶ顧問の齋藤先生
(右)子どもたちにAIスマートコーチの使い方をレクチャーする星川氏

Another Story ~4年ぶりの公式戦勝利~

本企画が始まった当初、チームとして4年間勝利がなく、「中学1年生の頃から試合で勝ったことがない。皆んなで一勝したい」と話していたキャプテンの鈴木くん。
実は、12月5日に大子中学校で本企画がスタートした後、12月中旬の大会で、「これまでダブルスコアで負けていたチームに勝利することができました!」と顧問の齋藤先生から報告がありました。
勝因を伺ってみると「子どもたちのモチベーションが上がり、試合に対する前向きさが変わった(齋藤先生)」「いつもより声が出ていたし、(コーチから教わった)基本的な動きも意識していたと思う(鈴木くん)」と、プロのコーチから教わることで大きな効果が早速現れていたようです。

鈴木くんはキャプテンとしてこの1ヶ月間について、「皆んなが『やるぞ!』と変わろうとしている姿があった。教えてもらったことを次の大会にも活かしていきたい」と振り返りました。

最後にチームを代表して、コーチへ感謝の気持ちを伝える鈴木くん

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