2024/02/28B.HOPE STORY#031

タプスコット選手・大庭選手インタビュー!
茨城ロボッツ「バスケの力で水戸の街を元気に」(後編)

株式会社茨城ロボッツ・スポーツエンターテインメントでは「みんながロボッツで元気になれる」、「みんながバスケットボールを愉しめる」、「みんなのチャレンジを応援する」、「みんなで地域の未来をつくる」、「ロボッツとカラフルな社会づくり」の5つをテーマに、『M-HOPE ~みんなの希望~』と題した地域貢献活動に取り組んでいます。後編では選手主導のプロジェクトを持つ、チェハーレス・タプスコット選手、大庭圭太郎選手に、コート外の活動を中心に話をうかがいました。
※前編の記事はこちらhttps://www.bleague.jp/b-hope/hope-story/story_detail/id=357181

【インタビュー対象者】
・チェハーレス・タプスコット選手
・大庭圭太郎選手

チェハーレス・タプスコット選手

大庭圭太郎選手

チェハーレス・タプスコット選手

――昨シーズンから“M-HOPE Player’s Action with シェイ”を始動しました。活動を始めた経緯を聞かせてください。

タプスコット)私の尊敬する父親が、がんに罹患したことがきっかけです。彼はシングルファーザーで、私に加えて2人の姉を男手一つで育て上げてくれました。がんを患ったにも関わらずです。私はシングルファーザーがどれだけ大変なのかを理解しています。幼い頃から父親を助けたいと思っていたのですが、当時はお金の問題や生活の厳しさから叶いませんでした。

がんの治療はお金が必要です。プロバスケットボール選手になったことで、人々を助けられる立場にもなりました。父親のような状況の人たちを少しでも手助けしたいという思いが、活動に取り組むモチベーションになっています。

――2014年の来日以降は日本のクラブでプレーし続けています。地域貢献活動に興味を持ったのはいつ頃ですか?

タプスコット)大学時代からそういった活動に取り組みたいと思っていましたが、当時はやり方を知らず、そういったプラットフォームもありませんでした。ただ、年齢を重ねるにつれて、自分のプラットフォームが大きくなってきました。自分に声を届ける力があって、少しでも助けになるなら、活動に取り組みたいと思うようになりました。

――昨シーズンの活動を通じて、印象に残っていることを聞かせてください。

タプスコット)実は愛媛オレンジバイキングス在籍時の2019-20シーズン、がん治療研究支援キャンペーンとして『Together Assist for Fight(闘うためのアシストをともに)』という活動を実施したので、昨シーズンが2度目ということになります。
印象に残っているのは、皆さんがゴールドリボン(※小児がんに対する理解や支援を呼びかける時に使われる世界共通のシンボルマーク)活動について理解していること。これはすごくうれしかったです。

もう1つはゴールドリボンをつけて、試合を観戦してくれる方がいたこと。そういった方たちがいることで、自分がどういったことをやっているとか、なぜゴールドリボンをつけているのか、周りの皆さんが少しずつ理解してくれるようになりました。 そういった光景を見ると、今後も続ける必要があると感じました。

――ホームゲーム時のアシスト数に応じた寄付を行うようですが、得点やリバウンドではなく、アシストに決めた理由は?

タプスコット)アシストは誰かを助けてあげたり、手伝ったりするという意味です。バスケットボールで得点を取るためにはチームメートの助け、つまりアシストが必要ですよね。コート外でも全く同じことで、多くの方が助けを必要としていると思います。互いに助け合うことの重要性に気づいていただくため、寄付はアシスト数に応じた金額に決めました。

――タプスコット選手には「チームメートがシュートを決める」という助けが必要になってきますね。

タプスコット)おっしゃるとおりですね!

©︎IBARAKI ROBOTS

――活動を通じて、参加者の反応はいかがでしょうか?

タプスコット)昨シーズン、小児がんの子ども達の家族が観戦に来てくれたことがあります。試合後に子どもたちや彼らの家族と交流した時、自分が取り組んできたことの重要性を改めて感じました。また、そういった方たちが集まることによって、「あなたは1人ではない。あなたには家族がいるし、周りに助けてくれる人たちもいるから」という雰囲気にできたのはすごく良かったです。

私がいろいろな方に理解してもらいたいのは、がんの深刻さです。それに対してケアしたり、心配したりする人たちがいるのはとても重要だと思っています。孤独さや辛さを紛らわせるという意味ではなく、助けてくれる人がいるとか、側にいてくれる人がいるといったことを知ってほしいです。
がんは1人でどうにかなる病気ではありません。助け合える人たちがいる重要性をいろいろな人に理解してほしいので、私はこの活動を続けていきたいと思っています。

――子どもたちの存在がモチベーションになっているのでは?

タプコット)もちろんです。彼らの笑顔は、私たち全員にとって重要です。私たちは彼らのために生きていて、彼らのためにプレーしています。次世代の子どもたちへいいバトンを渡せるように、私たちは常に努力しています。

©︎IBARAKI ROBOTS

――今はゴールドリボン活動に取り組んでいますが、今後の展望についても聞かせてください。

タプスコット)まずはこの活動を拡大してきたいです。昨シーズンは主に子どもが対象でしたけど、大人を加えるのもいいと思っています。がん以外のこと、例えば私を必要とすることなら、クラブを代表して様々な活動に参加したいです。

 

――チームメートも積極的に地域貢献活動に取り組んでいます。コート外において、水戸の地で茨城ロボッツをどのような存在にしていきたいですか?

タプスコット)茨城ロボッツはセルフレスなクラブだと思っています。それはチームメートもクラブスタッフも。茨城ロボッツは人々をつなげ、人々のために存在するクラブです。水戸だけではなく、茨城県、日本中の皆さんに、そういったクラブだと思っていただけるような存在になっていきたいです。

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大庭圭太郎選手

――保育士を志していたとうかがいました。その理由を聞かせてください。

大庭)僕は従兄弟が多くて、自分より年下の子と関わる機会が多かったんです。従兄弟の“お世話係”みたいな。高校に入学した頃には、子どもが好きだったこともあり、将来は子どもに携わる仕事がしたい、保育士になりたいと思っていました。

――当時はプロバスケットボール選手になることを想像していなかったと。

大庭)はい。ただ、進学する大学を探していた時、保育士の免許を取りつつ、バスケットボールにもしっかりと取り組める環境がありませんでした。バスケットボールとの両立が難しいと考え、そこで保育士になる夢を諦めました。大学では高校の教員免許取得に必要なカリキュラムを受講していましたけど、保育士を目指していたので、自分が本来やりたいものではありませんでした。

――今後はプロバスケットボール選手でありながら、Player's Actionに取り組んでいくようですが、どのようなことを思い描いていますか?

大庭)まずはバスケットボールを通じて子どもたちと触れ合い、夢を与えられるような活動をしていきたいです。バスケットボールをもっと知ってもらいたい思いもあるので、競技を通じた社会貢献活動ができればいいと思っています。

僕自身は小学生の時、ライジング福岡(現ライジングゼファー福岡)のスクールを経験したことで刺激を受けました。川面剛さん、青木康平さんから指導を受けたのを今でも覚えていて、「身長が低くてもバスケットボール選手になれるから諦めないで」という希望をもらいました。地元だったので試合を観戦する機会もあり、自分も将来はこの場所に立ちたいと思うようになりました。

©︎IBARAKI ROBOTS

――B.LEAGUEに挑戦して1シーズン目を過ごしています。大庭選手のような20代前半の若手選手が自ら社会貢献活動に取り組むのは珍しいことだと思います。

大庭)プロバスケットボール選手になった時、「自分も夢を与えられるような人間になりたい」という感情が湧いてきました。先日、小学1年生から3年生を対象にしたスクールに参加させてもらう機会があったのですが、改めてそういったことを実感しました。それを実現するため、様々な行動に移していこうと準備しています。

――スクールで子どもたちと触れ合って感じたことはありますか?

大庭)ただ教えるのではなく、自分が参加することによって、いつもと違う刺激を与えたいと思っていました。自分のコーチングに対して、スクール生たちは親身に聞いてくれました。楽しむ姿を見られてうれしかったですし、僕自身も頑張る活力をもらいました。自分も幼い頃はプロ選手に教わったことを続けていたので、今後もスクール生にとって意味のある行動を取っていきたいです。

――どのようなことを意識して指導しましたか?

大庭)上から目線では意味がないので、対等な立場になって話すとか、目線を合わせてあげることを意識しました。あとは褒められて頑張る子もいれば、少し厳しくしてあげたほうが頑張る子もいます。子どもの性格に応じて指導するように心掛けました。

©︎IBARAKI ROBOTS

――高校時代も地元の小学校に教えに行ったことがあるようですね。当時はどのような目的で参加されていたのですか?

大庭)第一は人に教えるのが好きだからです。あとは教えることで得るものがありますから、機会があれば行くようにしていました。スキル面で得られることがあるのはもちろん、自分に忘れかけていたことが蘇ってくることもありました。

――茨城ロボッツは様々な社会貢献活動に取り組んでいるクラブです。コート外においてどのような選手になって、どのようなクラブにしていきたいのか聞かせてください。

大庭)個人としては1年目なのでこれからですが、子どもたちに夢や希望を与えられる選手になりたいです。クラブとしても同じように夢を与えられる存在になり、コート内外において街全体にいい影響を与えられる組織になっていきたいです。

©︎IBARAKI ROBOTS

今後も、ぜひ茨城ロボッツ、そしてタプスコット選手・大庭選手の活動にご注目ください。
M-HOPEの詳細についてはこちらをご覧ください。https://www.ibarakirobots.win/m-hope/
大庭選手の活動詳細についてはこちらをご覧ください。https://www.ibarakirobots.win/news/20240321_02_community/