群馬クレインサンダーズ
「太田をバスケの街に」(前編)
群馬クレインサンダーズを運営する株式会社群馬プロバスケットボールコミッションでは、ホームタウンを太田市に移転した2021-22シーズンより『CRANE THUNDERS ONGAESHI(クレインサンダーズ恩返し)』と題した地域貢献活動に取り組んでいます。「地域を元気にするスポーツチーム」を目標として掲げるように、地域に根差した活動で群馬県、そして太田市を盛り上げています。今回は代表取締役社長の阿久澤毅氏、取締役GMの吉田真太郎氏、地域共創グループの宮明日香さんにお話をうかがいました。
【インタビュー対象者】
・株式会社群馬プロバスケットボールコミッション:代表取締役社長 阿久澤 毅氏
・株式会社群馬プロバスケットボールコミッション:取締役GM 吉田 真太郎氏
・株式会社群馬プロバスケットボール コミッション:宮 明日香氏
(左)阿久澤 毅氏、宮 明日香氏(右)吉田 真太郎氏
ーー2021-22シーズンより『CRANE THUNDERS ONGAESHI(クレインサンダーズ恩返し)』を開始しました。
阿久澤)地域への感謝の気持ちを表すということが第一です。「crane」は鶴を意味する英語ですので、民話『鶴の恩返し』にかけて『CRANE THUNDERS ONGAESHI(クレインサンダーズ恩返し)』と名付けました。地域の皆さんに対し、我々ができることをいろいろな形で返していこうと。地方都市なので、地域とのつながりは本当に大事だと思います。
宮)私たちは応援してくださるファンの方がいて成り立っているものです。加えてパートナー企業、太田市、群馬県内の方々の支えがあるからこそ、プロバスケットボールチームを運営できています。バスケットボールの試合で恩を返すのはチームの役目だと思いますが、会社としても地域貢献という形で恩返ししていこうと思っていました。
ーーレモネードスタンドプロジェクトは、試合会場でレモネードを販売する群馬クレインサンダーズならではの社会的貢献活動だと思います。
宮)ぐんま国際アカデミーの学生から提案いただいたもので、実施して3シーズン目になります。恩返しを始めてすぐに取り組んだ活動です。レモネードを買っていただければその売上金が小児がん支援につながります。レモネード販売は試合会場に来ればファンの方も参加できますし、トピックとしてだけではなく、ファンの皆様を巻き込むという意味でも良かったと思っています。
阿久澤)ぐんま国際アカデミーは清水(聖義)市長が主導して設立した学校です。英語に特化した特殊な学校で、子どもたちの目が世界に向いているのが一つの特徴です。このレモネードスタンドプロジェクトはアメリカで広がった小児がん支援で、我々はあまり知りませんでしたけど、子どもたちは英語の記事を拾ってしっかりと調べてきました。それを聞いた時、これは本当に立派な活動になると思いました。
ーー学校や商品提供するポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社の反応はいかがでしたか?
宮)ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社さんはレモネードだけではなく、販売に必要な備品も提供いただいています。3シーズン目の取り組みになりますけど、いつも快く「今シーズンもやりましょう」と引き受けてくださっているので、すごく感謝しています。
ーーレモネードの販売には選手たちも参加しています。
宮)今シーズン最後のレモネード販売には五十嵐(圭)選手、星野(曹樹)選手の2人に立ってもらいました。やはり選手が出る反響は大きいですね。選手たちも快く引き受けてくれるので、恩返し活動を大切に考えているのだなと感じます。
活動に参加する五十嵐選手と星野選手
©群馬クレインサンダーズ
ーーコー・フリッピン選手はオープンハウスアリーナ太田について「サイズ感がちょうどいい」ということを話していました。アリーナの魅力をどのように感じていますか?
阿久澤)オプアリの魅力はすべてです。今シーズンは、平均観客動員数が5244人。動員目標はシーズン中に何度か上方修正してきたのですが、それを超えるほどのお客様にご来場いただきました。立ち見席も常にいっぱいでした。1月末からの9連勝が大きな転機になり、私も見たい、僕も見たいという人が多くなってきたと思います。
吉田)B.LEAGUEの中でも大きなインパクトを残せたかなと 思っています。そしてバスケットボールの試合を通した非日常感というものが少しずつ浸透してきた感じはあります。この様な空間を感じてもらえることによってバスケットボールにも興味を持ってくれる人が増えてくると思っています。結果的に今シーズンは全試合満員御礼という予想していたより観客動員数が伸びました。シーズンを通してファンになって頂ける方が増えて最終的には選手たちも圧倒的ホームアドバンテージを感じながら試合をする事が出来ました。
©B.LEAGUE
ーーそのホームゲームでは飲食、物販に関するOTAマルシェを実施しています。反響はいかがですか?
宮)すごくありがたいことに多くの出店依頼をいただいています。出店に関してはなるべく商品が被らないようにして、飲食だけではなく、物販やステージイベントも開催しています。毎試合で30店舗ほど出していて、ホームのファンだけではなく、アウェーから来たファンの方も楽しめる会場になっています。試合のチケットがない方でもOTAマルシェを楽しめるので、群馬クレインサンダーズを知らないような地域の方にも来てくださっている印象がありますね。
OTAマルシェの様子
©群馬クレインサンダーズ
――アリーナがオープンして1年が経ちました。太田市の地域の方々の反応はいかがでしょうか?
吉田)凄く良い感触です。街を歩いていても声をかけてくれて「応援してます!」「オプアリ行きます!」「太田にこんな凄いアリーナを作ってくれてありがとう!」など多くのお声がけを頂き、多くの関心を頂いているように感じています。
阿久澤)市民の皆さんは大変喜んでいます。実は噂が広まっていて、行政の団体が太田市に視察に来るようになりました。来シーズン以降にどうなっていくのか楽しみですけど、宮さんのように地域を担当する方がいて、事業計画をしっかりと立てて進めている。我々がこういったことを積み上げていくことで、街からも理解を得られて、事業がしっかりと進むと思っています。
――太田市の地域社会におけるアリーナの役目、存在意義はどういったところにあるとお考えでしょうか?
吉田)クラブ経営に携わる事になって最初に掲げたのが、クラブに関わる人達が自慢できる誇れるクラブにすることでした。その要素としてチームが強い、最高のエンターテイメント、日常の生活をクラブと共に豊かにしていく。先ずは、最高のエンタメはアリーナができたことによって群馬県を代表するようなものができているかなと思います。
ーー太田市移転後にうまくいった要因は?
宮)アリーナ誕生はすごく大きな要因ですね。建設用地など太田市の協力はかなり大きいなと感じています。太田駅やバスターミナルの装飾もそうですし、3x3のコートを作るなど、ほかではあまり聞かないことを市総出でやってくださるので、そこも大きな要因だと思っています。
ーー今後は群馬県、太田市においてどのような存在になっていきたいとお考えですか?
吉田)群馬県を代表して誇れるクラブにしたいですね。簡単なことでは無いのは理解していますが、やり続けていけばそのようなクラブに変化していくのではないかと思っています。しかし、ある程度の時間は必要 だと思っています。オープンハウスグループが関わるようになったこの短期間(4年)でB.LEAGUEの中でも上位の事業規模に成長しましたが、ここからも変化を恐れずに進化していきたいと思っています。
阿久澤)群馬クレインサンダーズを見たことがない人はまだまだいます。この先、前橋市や高崎市の人たちがどのように反応してくれるのか。少しずつ反応は始まっていますけど、より多くの県民の皆さんに見てもらうのが我々の使命です。「バスケで群馬を熱くしよう」という理念を掲げていますからね。群馬クレインサンダーズの試合をアリーナで見ることを体験してほしいですね。2026年までに固定客を増やして、チケットの争奪戦が発生するような人気になるといいなと思っています。
宮)もっと多くの方に群馬クレインサンダーズの試合を見に来ていただきたいです。地域に根ざしたプロスポーツチームであるべく、地域活動を通じて地元の皆さんに恩返ししたいです。今シーズンはパートナー企業さんから「こういったことをできませんか?」とご提案いただくことがありました。しげる工業株式会社さんとはOTAマルシェでコラボグッズを販売して、その収益を太田市の子どもたちの支援として活用する活動をしました。企業さんから協働のお話をいただくようになり、今後は群馬クレインサンダーズを使って頂き、多くの企業さんと一緒に、ファンを交えた活動をやっていきたいです。
©B.LEAGUE
本インタビューは後編(6月下旬公開予定)に続きます。
※CRANE THUNDERS ONGAESHI(クレインサンダーズ恩返し)についてはこちらをご覧ください。https://g-crane-thunders.jp/csr/