島根ジェームズ・マイケル・マカドゥ選手インタビュー 「松江の美しい海辺を残したい!自分たちでも変化は生み出せるんです」
娘が発した疑問がきっかけとなったビーチクリーン活動
島根スサノオマジックのジェームズ・マイケル・マカドゥ選手は5月、家族とともに古浦海水浴場でビーチクリーン活動を行いました。きっかけは、松江の海辺で長女がこぼした「なんでこんなに汚れているの?」という一言から。その気づきはクラブやチームメイトを動かし、地域の人々を巻き込む取り組みへと発展しました。「地球は誰かが守ってくれるものではなく、みんなで守るもの」というマカドゥ選手に環境への想いと、家族で始めた行動に込めた願いを聞きました。
——5月に、島根・古浦海水浴場にてビーチクリーン活動をされました。これはマカドゥ選手とご家族の「大好きな松江の海をきれいにしたい」という想いから実現したそうですね。
マカドゥ)私たち家族は自然の中で過ごす時間が大好きで、休日にはよく松江の美しい海辺を見に行くんです。ある日、波打ち際を歩いていたときに、長女が足元のゴミを見つけて「なんでこんなに汚れているの?」と悲しそうに言いました。その言葉に胸を突かれ、私たちも一緒にゴミを拾い始めたんです。最初はただ家族でやっていた行動でしたが、娘が「もっとやりたい!」と話したことをきっかけに、クラブに相談しました。担当スタッフの方がすぐに「素晴らしいアイデアですね」と賛同してくれ、チームメイトや地域の方々にも参加いただく形で実現しました。娘の小さな行動がチーム全体の活動へと広がっていくのを見て、人の思いが連鎖する力を実感しました。
スタッフTシャツのロゴには、BY SAWYERと娘さんのお名前が
——松江の海が大好きとおっしゃっていますが、どんなところが魅力ですか。また故郷のバージニア州ノーフォークは、海水浴を楽しめる場所が多いようですね。子供時代には、よくビーチで楽しんでいたのでしょうか?
マカドゥ)松江の海はとても美しいです。そんなビーチを見ていると、よく故郷のバージニアやハワイで過ごした日々を思い出します。
——クリーン活動当日はチームメイトや地域の方々と一緒に清掃活動をされたと伺いました。実際にごみを拾う中で、どんなことを感じたかを教えてください。
マカドゥ)実際に海岸に立ってみると、やはり思っている以上に多くのゴミが落ちていました。それでも、皆で力を合わせて拾っていくうちに、砂浜が少しずつ、きれいに戻っていったんです。それは、変化を生み出せるんだと思う出来事でした。活動を通して、環境問題は特別なことではなく、“今できることを一歩やる”という意識も大切だと改めて感じましたね。
——娘さんと一緒に活動したことで、特に心に残った瞬間はありましたか?
マカドゥ)拾ったゴミを見て「これで何か作れるかも」と言い出したのは長女でした。彼女は魚の形に並べてアートを作りました。子どもが持つ想像力に驚かされましたね。「きれいにする」という行為が、そういったことにもつながるんだなと思いました。
——選手としてコートで活躍するだけでなく、こういった活動を行う意義や重要性をどう捉えていますか?
マカドゥ)試合で結果を出すことはもちろん大切ですが、それに加えて、社会の中でどう影響を与えられるかも大事だと思っています。ビーチクリーンのような活動を始めとした社会的責任活動を行うことで、プレーとは違う形で誰かの手本になり、地域とともに行動することは、人としての成長にもつながるなと思いますね。
夢授業で島根県内の学校を訪れたジェームズ・マイケル・マカドゥ選手と納見悠仁選手
©SHIMANE SUNANOO MAGIC
夢授業で島根県内の学校を訪れたジェームズ・マイケル・マカドゥ選手と納見悠仁選手
©SHIMANE SUNANOO MAGIC
——この活動を通じて、ファンや地域の方々にどんなメッセージを伝えたいですか?
マカドゥ)環境問題はニュースで見るような遠い世界の話ではなく、私たち一人一人の日常とつながっているということです。私たちの行動が次の世代の環境を作る。自分にもできることがあると感じてもらえればうれしいですね。
——チームメイトの横地聖真選手、介川アンソニー翔選手も一緒に参加されました。仲間とともに取り組むことの意味をどのように感じましたか?
マカドゥ)横地選手も介川選手も黙々と作業を続けてくれました。この活動を通して、彼らの問題意識もより強くなったのではないかと思います。
ビーチクリーン活動に参加した介川アンソニー翔選手(左)と横地聖真(右)選手
——今回の活動をきっかけに、今後もご家族やクラブで続けていきたいこと、広げていきたい取り組みがあれば教えてください。
マカドゥ)オフシーズンを終えて戻ってきたところなので、まずは家族と一緒に松江の海がどうなっているのかを見たいですね。もしゴミが増えている場所があるなら、またクラブに相談し、地域の方々と協力して清掃活動を行いたいと思います。活動を一過性のものにせず、続けていくことが大切ですからね。
——ご自身のお子さん世代や次の世代に伝えたい「環境を守る」ことの大切さを、改めて言葉にするとどんなメッセージになりますか?
マカドゥ)子どもたちにはいつも、「地球をよりよくするために自分たちにできることは何か、考えることが大切」だと伝えています。小さな行動の積み重ねが未来を変えていくのだと思います。
©B.LEAGUE