2021/05/26B.HOPE ACTION#030

「東日本大震災を忘れない」B.Hope HANDS UP! PROJECT supported by 日本郵便 全国アクション レポート

2011年3月11日14時46分に発生した、「東日本大震災」。
三陸沖を震源とする日本における観測史上最大であるマグニチュード9.0の巨大地震が発生し、東北地方を中心に未曾有の被害に見舞われました。

B.LEAGUE Hope(以下、「B.Hope」)は設立以来、復興支援を重要なアクションとして様々な取り組みを実施して参りました。震災から10年が経過した2020-21シーズンは改めて「東日本大震災を絶対に忘れない、忘れてはいけない」という想いを、そして震災の教訓を、どのように活かして未来に繋げていくのかを考えました。
今回、日本郵便株式会社様のご支援のもと、「B.Hope HANDS UP! PROJECT supported by 日本郵便」を立ち上げ、様々なアクションを実施致しました。B.LEAGUE全クラブを巻き込んだ形で実施した「全国アクション」と、当時甚大な被害に見舞われた地域の4クラブ(岩手ビッグブルズ、仙台89ERS、福島ファイヤーボンズ、茨城ロボッツ)の活動をサポートする形の「地域アクション」の両軸でアクションを実施致しました。

「B.Hope HANDS UP! PROJECT supported by日本郵便」が目指すもの

B.Hope HANDS UP! PROJECT supported by日本郵便

東日本大震災から10年。当時を知らない子供たちも増え、記憶の風化が進んでいると答える人も増えてきました。(注1)しかし、地震は100%なくなることはありません。震災で学んだことを活かしていかなければいけません。
一方で、「災害に備えることは大事」と意識していても、「備えという行動」に移すことはきっかけがないとできず、(注2)日々のやらないといけないことや、やりたいことと比べると、防災減災への取り組みがおろそかになってしまうということを経験された方も多いと思います。
このプロジェクトが皆さんの背中を押し、防災減災に取り組む人たちが増えていけば、東日本大震災の教訓を生かすことにつながります。

また、国連が定める持続可能な開発目標SDGs(Sustainable Development Goals)の中の、目標11「住み続けられるまちづくりを」は、災害からの回復力が高い安全な都市や居住空間を作る、という目標になっていることもあり、このアクションを通じて、SDGsの取組みが推進されることも、B.Hopeの願いです。

注1:東日本大震災9年「被災者アンケート」
https://www3.nhk.or.jp/news/special/shinsai9portal/questionnaire/

注2:日常生活における防災に関する意識や活動についての調査結果(内閣府防災担当、2015年)

(1)全国の各クラブで実施された、楽しみながら防災を学ぶ「ディフェンス・アクション」

バスケットボールを通じて楽しく防災や減災を学ぶことができる、防災バスケプログラム「Defense Action(ディフェンス・アクション)」を開発しました。
Defense Actionは「防災において大事な事」と「バスケの楽しさ」を融合した全 6 つのプログラムに分かれています。
例えば、「B-DASH」というプログラムではドリブルをしながら、被災者の属性によって異なる必要な備蓄品を正しく届け、タイムを競うゲームです。それぞれがバスケットボールのプレーや動きを活かしつつ、ゲーム感覚として楽しみながら学べる内容になっています。マニュアルにはB.LEAGUEの各クラブマスコットが登場し、途中には防災時に必要な知識も記載しています。

2021年2月下旬に各クラブに対して説明会を実施し、ユース世代を中心とした選手たちが実際に取組みました。
このDefence Actionを通じて、災害が発生した際に「備える人・動ける人・助ける人」がこれからも増えることを願って、今後も活動を継続・推進していきます。

ディフェンス・アクション マニュアルはこちら

(2)防災への興味関心を高めるために発行した「B-CHECK HANDBOOK」

このハンドブックは試合会場に訪れた人などに防災に対して興味関心を高めてもらうために、災害が起こった際の必要な行動をまとめた内容が記載されています。「災害発生時」「発災直後」「被災生活」の3つの内容に分かれており、それぞれ重要なポイントが記載されています。
少しでもハンドブックを身近に感じてもらいたいと、裏表紙にはB.LEAGUEの各クラブマスコットがデザインされています。

B-CHECK HANDBOOKはこちら

(3)未来の世代に向けて伝えられた、世界と戦うこと、そしてスポーツ選手ができること

2021年2月22日(月)、「B.LEAGUE U18 TIP-OFF CONFERENCE」を開催いたしました。当初2月初旬に福島県のJヴィレッジを会場にキャンプを実施予定でしたが、残念ながら、新型コロナウイルス感染症の影響で中止になりました。しかし、B.LEAGUEでは単に中止するのではなく、未来のバスケ界を担う選手たちに大切なメッセージを届けたいと考え、オンライントークセッションを開催いたしました。
当日は2020年4月からU18チームを保有して活動を開始している宇都宮ブレックス、川崎ブレイブサンダース、横浜ビー・コルセアーズ、名古屋ダイヤモンドドルフィンズ、大阪エヴェッサの U18 チームと、地元クラブである福島ファイヤーボンズの傘下である FSG 高等部の計6チームの選手たちが参加。ゲストに元ラグビー日本代表キャプテンにして、現在B.LEAGUE応援キャプテンを務めている廣瀬俊朗さんと、日本人で初めて韓国KBLで選手契約を結んだ中村太地(原州DB Promy)選手が登場しました。

トークセッションは「世界に通用する選手やチームの輩出」をテーマに、コロナ禍で様々な大会やイベントが中止になっている中でのモチベーションの維持や、未曾有の事態に直面したときにスポーツ選手に何ができるかなど様々な内容で進められました。参加した選手たちから事前に募集した質問にゲストの2人が真摯に回答する時間も設けられました。
このトークセッションでは、廣瀬さんと中村選手による社会貢献活動やB.Hopeの活動の紹介も行い、参加した選手たちからは「スポーツ選手は人々を笑顔にし、勇気を与えられる存在だと認識して、自分自身もプロ選手になったら出来ることを実行していきたい」「B.Hopeの活動を知ることができて非常に良かった。機会があれば是非、活動に携わりたい」などの感想があり、非常に充実したイベントとなりました。

B.Hope HANDS UP! PROJECT supported by日本郵便

(4)ファン・ブースターに届けられた10年前の記憶と復興に向けたメッセージ

10年前に発生した東日本大震災、その瞬間に何が起こっていたのか、そして今何を想うのか。
震災後にチームが消滅の危機を迎えた仙台89ERSの復活ストーリーも含め、実際に震災を経験した選手やファン、スタッフにフォーカスを当て、当時の記憶を語ってもらうインタビュー映像「Special message movie」を作成いたしました。震災当時は選手で現在、仙台89ERSの代表取締役である志村雄彦氏や震災を経験したB.LEAGUEの選手達からもメッセージが寄せられました。この映像は全クラブに配布され、試合前やハーフタイムなどに放映されました。

B.Hope HANDS UP!PROJECT Supported by 日本郵便Special message movie

(5)SNSやアメリカでも伝えられた「3.11を忘れない」こと、そして防災への意識

2011年3月6日(土)から14日(日)の期間を「HANDS UP!WEEK」と題して、東日本大震災を忘れない、そして防災知識を発信する事を目的としてSNSでの動画投稿を実施いたしました。この企画には島田チェアマンや各クラブから1名ずつの選手が登場した他、B.LEAGUE応援キャプテンの廣瀬俊朗氏、B.LEAGUEフリークの俳優・浅利陽介氏にも参加頂きました。震災時に必要な備蓄品や震災発生時の初期行動などの防災知識を期間中、毎日発信して、多くの人々に防災を考えていただくきっかけとなりました。

SNS で防災知識を発信する HANDS UP! WEEK

https://twitter.com/i/events/1365113972576243714

東日本大震災から10年となる2021年3月11日(木)当日には、多くのクラブがSNSにて黙祷を捧げ、改めて震災で犠牲になられた方への哀悼の意を表しました。その様子はハッシュタグ「#HandsUp」を付ける形でSNSにて発信されました。
また、このプロジェクトは海を渡ってアメリカでも実施されました。日本代表の八村塁選手が所属するNBAワシントン・ウィザーズのホームゲームにて岩手・仙台・福島・茨城の4クラブのマスコットとともに、「DON’T FORGET 3.11」のメッセージが客席に掲示されました。ウィザーズの公式SNSでもメッセージが発信され、ウィザーズ戦を中継する地元放送局でもコメンタリー陣が紹介し、コメントをするなど国外でも私たちのメッセージが発信される形となりました。

B.Hope HANDS UP! PROJECT supported by日本郵便

今回、東日本大震災から10年という節目の年に様々なプロジェクトを企画・実施して参りました。これからも震災の教訓を忘れることなく、被災地に寄り添い、サポートしていく活動をB.Hopeは継続していきます。

島田チェアマンコメント

東日本大震災10年目の今年、B.LEAGUEでは「B.Hope HANDS UP!PROJECT supported by 日本郵便」を立ち上げ、震災を風化させない、減災、防災の気運を高めるため、バスケの動きと防災を掛け合わせた防災バスケプログラム「Defense Action(ディフェンス・アクション)」の開発や、SNSで選手から防災知識のメッセージを発信するなどの活動を行ってまいりました。
実際に私も、福島で子どもたちがディフェンス・アクションを行っているところを拝見しましたが、参加してくれた子供たちがとても楽しそうに取り組んでくれていたのが印象的でした。

震災はいつ起こるか分かりません。この活動を通じて、1人でも多くの方が震災に備えることで、少しでも被害を抑えることが出来れば非常に嬉しいですし、今後も減災、防災の知識を多くの方に広めていきたいと思っております。

これから誰もがたくさんの苦難に直面すると思います。一人では乗り越えられない苦難もあるでしょう。そんな時こそ、みんなで手を取り合って、助け合うことで乗り越えることができると信じています。
今回の活動は決して大きなアクションではないかもしれませんが、B.LEAGUEはこれからも小さなアクションでも継続していき、少しでも苦難を乗り越えることのサポートをしていけたらと思っております。 苦しい時こそ手をあげて、さあともに今できることを。