2023/01/20B.HOPE STORY#021

- 日本バスケットボール選手会の存在意義とは -
新会長 田渡凌選手インタビュー(後編)

「日本のバスケットボールをもっとメジャーにしたい」初代会長の岡田優介選手(現アルティーリ千葉所属)が設立した日本バスケットボール選手会(以下、JBPA)は、次世代のために、選手目線で考えた様々な取り組みを行っています。
昨年9月に4代目会長として就任したのは、熊本ヴォルターズの田渡凌選手。個人で様々な社会貢献活動を実施していた田渡選手は、会長就任後、早速JBPAをより良い組織とするために主体的に様々な取り組みに乗り出していました。
2人に共通する想いは「バスケットボール界が今よりもっと良いものになる為に」でした。 2人が思うJBPAの存在意義は何でしょうか。

後編では会長としてJBPAに対する想い、これからどんな活動をしていきたいかなどを新会長の田渡選手にお話頂きました。

※前編記事はこちら:https://www.bleague.jp/b-hope/hope-story/story_detail/id=243660
※『日本バスケットボール選手会(JBPA)』の詳細はこちら:https://j-bpa.com/

田渡選手へのインタビューはZoomで実施

JBPA副会長として印象に残っている活動
-Bリーグ発展の為に真剣に考えている選手たちがいる-

ーー2019年にJBPA副会長になられた田渡選手ですが、印象に残っている活動はありますか。

田渡)Bリーグのほとんどの選手は選手会に入会するので、僕もプロ1年目に入会しましたが、正直副会長になるまで選手会の活動にはほとんど参加したことがありませんでした。個人で社会貢献活動をしていたら、田口成浩選手(現秋田ノーザンハピネッツ所属)が会長になるタイミングで副会長になって欲しいと声をかけられて幹部メンバー(会長、副会長、監事の主要メンバー)に入りました。
これを活動としてカウントして良いかは分かりませんが、印象に残っているのは、当時の選手会の幹部メンバーや初代会長の岡田優介選手(現アルティーリ千葉所属)、2代目会長の竹内譲次選手(現大阪エヴェッサ所属)らと一緒にBリーグのオフィスで、試合のレギュレーションが変わるという説明を受けたことです。

それまでJBPAは年に1回イベントをする程度だと思っていたので、この会に参加して選手代表としてBリーグと対峙するという役割もあるんだということを知りました。こんなに深く(Bリーグについて)考えている選手がいることに衝撃を受けました。これをきっかけにJBPAは真剣に取り組まないといけない活動だと感じました。

ーー選手の意見を代表して伝えることもJBPAの役割なんですね。現在のBリーグにおいて選手の意見は反映されていると思いますか。

田渡)もちろん、全てが全て選手の意見が通るとは思っていません。 ただ、ここ最近のルール変更によって、外国籍選手の出場枠が広がっていたり、帰化選手も増えてきているので、日本人選手が減ってきています。物事が決まった後に、受け入れるだけで本当に良いのか、もっとこうしたら良かったのではと思うことはあります。
将来構想によって2026年からBリーグの構造が大きく変わりますが、今の内から話し合って意見をまとめて伝えるということをしていかないといけないと思っています。
どうやったら話し合いの中に少しでも選手の意見を取り入れて、より良いリーグを目指していけるかみんなで話し合っています。JBPAという組織が世の中にどれだけ貢献出来るか問われていると思います。

新型コロナウイルス感染症の影響で2019-20シーズンが中断となりましたが、Bリーグが親身に選手に寄り添って決断してくれたと思っています。選手たちが意見を伝えることを聞き入れてくれるBリーグは素晴らしいと思いました。事前に話し合いの場も設けてくださったんですが、それも物凄く嬉しかったし、大きな一歩だったと思います。Bリーグともっと絆を深めていきたいですね。

JBPAの存在意義とは
-次世代の為に少しでも良いリーグを残していく-

ーー2022年9月に会長に就任されましたが、会長になった時の感想を教えてください。

田渡)前会長の田口選手から「凌にやって欲しい」と推薦を頂きました。率直に嬉しかったです。野球やサッカーと比較してもらえるぐらいBリーグも大きくなてきていますが、そんなバスケットボール界の選手会の会長に就任というのは凄く光栄で、責任あるポジションだと感じています。

ーー現体制はどうやって決まったんですか。

田渡)新会長である僕だったり、幹部メンバーの方からの推薦です。選手がバスケットボール以外で色んな視点持って人生を送っている人かどうかというのは自然と分かるものですが、2013年設立からの会長や副会長、監事の方が何人もいるのでその方々も見てくれています。それなので、推薦メンバーはほぼ被ってきますね。
あと年齢も選出における重要ポイントです。僕やベンドラメ礼生選手(現サンロッカーズ渋谷所属)も3年目の若手の時に副会長に就任しました。これからの世代の為に、若い世代も入れる。現体制だと寺嶋良選手(現広島ドラゴンフライズ所属)と齋藤拓実選手(現名古屋ダイヤモンドドルフィンズ所属)ですね。直接電話でも自分の想いを伝えました。

ーー若い世代の巻き込み、凄く大切ですね。改めて選手会の存在意義は何だと思いますか。

田渡)「自分たちより下の世代により良いリーグを残していくこと」だと思います。NBAの選手がよく言っていますが、「今のバスケットボールを自分たちが始めた頃よりも、より良いものに」という言葉があります。NBAに限らず、世界共通で大事だと思います。テクニカルな部分での成長も必要ですが、環境だったりBリーグの価値など、少しでもより良いものにして次の世代にバトンタッチしていくことがJBPAとして取り組まなければいけない1番の事。JBPAはBリーグをより良くしていくために活動するべきです。社会貢献活動やBリーグと関係を深めていくことが全て繋がっていると思っています。

 

 

今後のJBPA
-JBPAをより良くするために~田渡会長が取り組んでいること、今後取り組んでいきたい活動-

 

ーー会長に就任されて既にJBPAをより良くするために様々な取り組みを行っているとお聞きしましたが、どんな内容でしょうか。

田渡)既に2つ取り組みました。1つ目は、各クラブから1人、代表を選んでもらっていますが、これまでは、プロ1-2年目の若手選手が多く、クラブ内でも比較的経験の浅い選手にその役割が渡ることが多かったんです。強制は出来ないですが、今期からはキャプテン、副キャプテン、オフコートキャプテンの中から選出、もしくはその人たちの推薦で選手会メンバーを選出してもらうという事を実施しています。半数のクラブが実施してくれている印象です。
若い選手がクラブの代表をやることが決して悪いわけではないですが、「クラブの代表をやることが嫌だ」という風潮をなくし、選手会と関わることでプラスな事が多いという風に思ってもらえるようにしたかった。幹部メンバーとも話し合って決めました。
2つ目は定期会の実施です。これまでは何か問題が起きた時やトピックがある時のみミーティングをすることが多かった。今期からは2ヶ月に1回程度、現幹部メンバーと前幹部メンバーので意見交換をしています。ここではバスケットボールの事はもちろんですが、バスケットボール以外のトピックなども議題にあげて共有しています。まずは話し合いの場を定期的に設けることが大事だと思っています。
既に1回目を10月に開催しましたが、どうしたらJBPAの価値をもっと高めていけるかを話し合いました。会費をどう使うかを話した際に、Bリーグで社会貢献活動をやりたいという選手がいたらその活動費に充てるのはどうかといった意見も出ましたね。そういった話し合いが出来ているだけでも大きな一歩です。

ーー今後JBPAとして行っていきたい活動は何でしょうか。

田渡)たくさんあります。オフシーズンに実施している社会貢献活動はもちろん継続してやっていきたいですが、シーズン中にももう少し出来ることを増やせないか試行錯誤しています。ここは突き詰めていきたいですね。
後は、JBPAに賛同して活動費を出してくださっている賛助会員が全国にいますが、JBPAと関われて良かったと思ってもらえる団体にしないといけないので、賛助会員向けの活動、ケアを近々取り組んでいきたいです。身内を大切に出来ないと他は救えない。そうすることで賛同してくれる人も増えてくると思います。任期中に賛同してくださる仲間をどんどん増やしていきたいですね。
今まで先輩方が築いてきたJBPAの基盤は大事にしながら、オフシーズンの社会貢献活動だけではなく、日本のバスケットボール界に少しでも良い影響力を持てるような活動をしていきたい。
野球、サッカーにも負けないように色んなことに取り組んでいきたいです!

 

ーー今後のJBPAが楽しみですね!ありがとうございました!