長崎ヴェルカ・川真田紘也選手が語る社会的責任活動「子どもたちの未来の選択肢を広げたい」
「続けていれば必ずチャンスはある」——自分の経験を、次の世代へ
「どんなことでも力になりたい」と語るのは、長崎ヴェルカの川真田紘也選手です。『地域創生』を掲げクラブ運営を進める長崎ヴェルカは、社会的責任活動「VELCARES(ヴェルケアーズ)」を通じて、B-RAVE ONEやピンクリボン活動などに取り組んできました。加えてB.LEAGUE ALL-STAR B.Hope ACTION 2025 IN FUNABASHIで実施された「MEET UP!(選手訪問)」や、B.Hopeと日本バスケットボール選手会が共同で行った能登半島地震の復興支援活動「With能登」といった取り組みにも参加し、バスケットボールの枠を越えた現場で子どもたちや地域と向き合ってきました。その中で特に強く意識しているのが、子どもたちへのサポートです。自身の経験から「続けていれば、必ずチャンスはある」と伝えたいという川真田選手に、クラブやリーグ、選手会での活動に対する思いを聞きました。
長崎ヴェルカクラブスタッフ渡邊怜さんのインタビューはこちら
————約1年前、千葉・船橋では「B.LEAGUE ALL-STAR B.Hope ACTION 2025 IN FUNABASHI『MEET UP!』」と題して児童施設を訪問し、触れ合いの時間を作りました。どんな時間になったでしょうか?
川真田)クリニックなどで子どもたちと触れ合う機会はあったのですが、児童施設を訪れて交流するのは初めてでした。バスケットボールをしなくても、純粋に楽しくコミュニケーションが取れると感じましたし、僕をきっかけにバスケットボールに興味を持ってもらえたならうれしいです。こういった出会いが、子どもたちの未来の選択肢につながればと思います。
船橋市内の児童施設で比江島誠選手(宇都宮ブレックス)・原修太選手(千葉ジェッツ)・田代直希選手(千葉ジェッツ)と共に子どもたちと触れ合う川真田紘也選手
©B.LEAGUE
船橋市内の児童施設で比江島誠選手(宇都宮ブレックス)・原修太選手(千葉ジェッツ)・田代直希選手(千葉ジェッツ)と共に子どもたちと触れ合う川真田紘也選手
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——地域創生を進める長崎ヴェルカでは、「VELCARES(ヴェルケアーズ)」と題して様々な社会的責任活動を展開しています。どんな活動が印象深いですか?
川真田)ピンクリボンデーは、僕自身にとって印象に残っている取り組みですね。乳がんの啓発という意図を持った活動ですが、長崎ヴェルカはそこに強く力を入れていて、昨年も実施していました。選手がピンクのバッシュを履いたり、ピンクのアイテムを身につけたりするだけでも、目に見える形で「大切なこと」が伝わると思います。実際、僕自身もピンクリボンデーの試合でピンクのバッシュを履きました。言葉だけでなく、身に着けるものを通してメッセージを発信できるのは大事なことです。もちろん、それだけでなく、僕たちにできる手助けがあれば、どんなことでも力になりたいと思っています。一つ一つの行動が、誰かの心に届き、次につながるかもしれません。そう信じて、できることには積極的に取り組んでいきたいです。
©B.LEAGUE
——昨年、離島の子どもたちにバスケの機会を届ける「B-RAVE ONE」が開催されました。オンライン指導を経て、実際にアリーナで対面した際はいかがでしたか?
川真田)僕には将来は地元の徳島に戻って子どもたちにバスケットボールを教えたいという思いがあります。そんな中で「B-RAVE ONE」の話を聞き、ぜひやってみたいと思いました。実際に関わってみて、うまく伝えられない部分もありましたが、伝えようとする姿勢は子どもたちに届いたと感じています。何より楽しんでもらえたことがうれしく、僕にとっても意義のある経験になりました。
——オンラインでやり取りしていた相手と直接会えるというのは、子どもたちにとってはもちろん、選手としても感慨深い機会ですよね。
川真田)そうですね。本当にそう思います。オンラインで質問が届いて、それに答えるというやり取りで進んでいて、顔も知らなかったので、実際に会ったときに「この子たちを教えていたんだな」という気持ちになりました。また、その子たちが楽しそうにバスケットボールをやるんですよ。教えたことに対して、楽しみながら挑戦している姿を見て、「B-RAVE ONE」に関われて本当に良かったと感じましたし、この経験がいずれ次につながっていくはずだとも感じました。僕自身にとっても、とても良い経験でした。
離島の中学生とハイタッチする川真田選手
©n_velca
——子どもたちに伝えたいことは何でしょうか。
川真田)僕は上達が遅く、高校時代にはバスケットボールを辞めようと思ったこともあります。それでも天理大学から声をかけてもらい、「これも縁だ」と思って続けてきました。続けていれば、必ず何かしらのチャンスはあります。理由があって辞める選択もありますが、継続には意味がある。そのことは、子どもたちにも伝えていきたいです。
——クラブでの活動とは離れますが、昨夏には「B.Hope×選手会 令和6年能登半島地震復興支援活動『With能登』」にも参加されました。その後、選手会の副会長にも就任されました。
川真田)そうですね。もともと僕は選手会の活動にはかかわっていませんでしたが、声をかけてもらい、活動の一環として能登に行きました。能登ではクリニックやイベントで子どもたちとバスケットボールを楽しみました。そこで田渡凌(しながわシティ)会長と話す機会があり、その流れで「副会長をやって」と言われ、最初は冗談だと思っていたんですが、イベント後に正式に連絡をいただき、引き受けることを決めました。
2025年6月7日に実施した「With 能登」での様子
©B.LEAGUE
2025年6月7日に実施した「With 能登」での様子
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——今季で長崎は2シーズン目ですが、ホームタウンのどんなところに魅力を感じますか?
川真田)長崎に来たときに、まず「いい街だな」と感じました。少しレトロで、異国情緒漂う独特の空気感に強く惹かれましたね。長崎ヴェルカという素晴らしいチームからオファーをいただいたことは契約した大きな理由ですが、そうした街の魅力も長崎を選んだ理由の一つです。
——いろいろな方のお話を伺う中で、長崎ヴェルカは選手とフロントの距離がとても近いクラブだと感じています。川真田選手ご自身が「ヴェルカらしい」と感じたエピソードや、印象に残っている取り組みはありますか。
川真田)距離の近さは、ヴェルカらしさだと感じます。選手同士はもちろん、トレーナーやウェイト担当、マネージャーなど、立場に関係なく率直に意見を言い合える環境があります。何かを言いづらいと感じることはなく、その点は長崎の強さだと思います。伊藤拓摩さんもフレンドリーな方で普段からよく話をさせてもらっています。社長兼GMでありながら、自然に輪の中に入ってくるような存在で、とても話しやすいです。そうした雰囲気が、クラブ全体の近さにつながっていると感じています。
——いよいよ、ここ長崎でのオールスターが目前に迫りました。社会的貢献活動の機会も増えるかと思います。
川真田)今回は長崎で、自分の所属するクラブとしてオールスターを迎えられます。長崎でできることがあれば何でもやりたいというのが本心です。3日間、空いている時間があれば、どんなことでも力になりたいですね。自分のクラブで開催できる機会はなかなかないですし、長崎ならではの取り組みにも挑戦してみたいと思っています。
りそなグループ ALL-STAR WEEKEND GAME 2025 in FUNABASHIでの様子
©B.LEAGUE
——最後に、今後、社会的責任活動の分野でやってみたいことがあれば教えてください。
川真田)やはり子どもたちと触れ合う活動をしていきたいと思っています。僕自身はまだまだ成長途中の選手だと思っていますが、テレビなどを通して僕を知り、会いたいと思って試合に来てくれる子どもたちがいることを実感しています。自分では意識していなくても、子どもたちにとっては大きな存在になっている。そのことは、手を振ってくれたり、大きな声で応援してくれたりする姿から強く感じます。だからこそ、バスケットボールを通じてだけでなく、子どもたちが楽しく笑顔になれるような取り組みには、これからも積極的に関わっていきたいです。
©B.LEAGUE