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2017.04.21

僕のことを話そう~川崎ブレイブサンダース 篠山竜青

  • COLUMN

2016-17 B1リーグ戦もいよいよ大詰めを迎え、B.LEAGUE チャンピオンシップ 2016-17(以下B.LEAGUE チャンピオンシップ)を戦うクラブの顔ぶれも揃いつつある。ここに登場してもらうのは次なる舞台への進出を決めたクラブ(各地区1位、2位)の代表選手たち。トップバッターを任されたのはリーグ1位の勝率を誇る川崎ブレイブサンダースの篠山竜青選手だ。現在のチームの状況、優勝への展望、さらには自分の素顔について、飾り気のない自身の言葉で語ってくれた。

取材・構成◎Takami Matsubara

■ 主力のケガは若手が成長するチャンス

主力のライアン(スパングラ―)がケガをしたのは1月末、優勝するためには不可欠な存在であることは間違いないので、チームとしては完全復帰を待っている状態です。ただこの状況は若手選手にとって成長する大きなチャンス。今は中地区の首位をキープし、下との差が開いていることもあり、あまりプレッシャーを感じなくてすむのものもラッキーと言えます。その中で自分が何をできるか、何をできたかを考え、自信をつけていってほしいですね。ライアンが帰ってきたときさらにパワーアップしたチームになるためにも若手の頑張りに期待しています。

■ 積極的に点を取りにいく

辻とライアンが戦線離脱した時期と自分が日本代表合宿に参加した時期がちょうど重なりました。そのときアシスタントコーチの佐々(宜央)さんに指摘されたのは「ゴールへのアタックが足りない」ということです。去年の9月にイランで行われた2016 FIBA ASIAチャレンジでは自分自身とてもいい攻めができている手応えがあって、佐々さんもそれは評価してくれていたのですが、その後の(リーグ戦)試合を見て「もっと点を取る意識を持て」と言われました。「毎試合10点ぐらい取ってこい」という言葉が、より積極的にゴールに向かうきっかけになったと思います。主力の2人を欠いた状況の中で自分とニック(ファジーカス)のピック&ロールを起点として点を伸ばさなきゃいけないと考えていたところに佐々さんのアドバイスがタイミングよく重なって、自分がうまく変化できたような気がします。おかげで気持ちが空回りすることなく得点が伸びるようになりました。

■ どん底の経験から得たもの

このチームに入った年(JBL2011年~2012年シーズン)はとにかく勝てなくて、なんとかしなくちゃなんとかしなくちゃと気持ちばかりが焦って、8連敗した帰り道に思わず本屋で『心を整える』(長谷部誠著)を買ってしまったぐらいです(笑)。早々と最下位が決まってしまった中で自分のモチベーションを保つことは簡単なことではありません。そんなとき思い立ったのは『ベクトルを自分に向けてみよう』ということでした。もちろん試合に勝つことが大前提ですが、たとえ敗れたとしてもそこで自分のやるべきことをやり切れていたか、納得できるパフォーマンスはできていたか、そのことに意識を向けることにしたんです。その結果、自分はもちろん、チームも少しずついい方向に変わっていけました。本当に苦しいシーズンでしたが、振り返ると無駄ではなかったんですよね。どん底を経験したことで少々のことには動じなくなりました。翌年、辻やニックが入ってきたことでチームは一気に上昇気流に乗りましたが、その要因の1つには前年にみんなが経験した『我慢』の力があったように思います。

■ キャプテンに不向きな性格

実はつい最近まで自分の性格はキャプテンに向いていないのではないかと考えていました。篠山竜青は明るくて、オープンで、パッパラパーというイメージを持っている人はきっと多いと思いますが、本当はいろいろ『気にしい』で、ヘコむときはとことんヘコむし、内面は結構ドロドロしてます(笑)。ただ、自分の持ち味はアグレッシブさであり、それを活かしてチームを活気づけるのは自分の役割だと1年目から意識していました。みんなに助けてもらうことも多いですが、キャプテンを任されたことで頑張れる自分がいるのも確かです。そう考えると、徐々にプラス思考になって、今では「俺、意外にキャプテンに向いてるのかも?」と思えるようになりました(笑)

■ 好きなもの・苦手なもの

好きな色は黄色、好きな季節は秋、好きな食べ物はアブラーメンとかどろどろのとんこつラーメンとか、いわゆる体に悪そうなもの(笑)。苦手なものはセロリとパクチーと絶叫マシーン。1日で1番落ち着く時間は風呂上りのストレッチタイム。毎晩1時間以上かけてやります。僕は2014年の12月に骨折して長い間コートを離れる苦い体験をしました。それを機に自分の身体と向き合う大切さを知ったんですね。で、それまでやったことがなかったストレッチを始めることにしました。習慣としてやると、これがほんとに効果あるんですよ。身体の疲れている部分がわかるし、ケガの予防にもなるし、もともと硬かった身体が少しずつ柔らかくなってきたのを実感できるし、いいこと尽くめですね。今ではストレッチをしないと寝られなくなりました。「今日も身体と向き合う俺ってえらいなあ」と自分で自分を褒めながら続けています(笑)

■ 『北の国から』にハマる

昔、テレビでやっていた『北の国から』っていうドラマ知ってますか?僕がリアルタイムで見たのは小学生のころで、その番組だけは「11時まで起きていてもいい」と親が言ってくれて、親の解説付きでずっと見てました。当時はただ何となくおもしろいドラマだなあと思っていただけで、深い意味とかはそれほどわかっていなかったと思います。で、大学生になってからもう一度シリーズすべてを見直してみたいという気になって、何人かの後輩に声をかけて『北の国から週間』というドラマ観賞時間を作ったんです。ビデオを借りてきてみんなで見るわけですが、そのうち「これ、よくわかんないッス」と次々に脱落者が出て、あえなくその催しは終了しました。それをまた自分で見るようになったのは骨折したとき。時間がいっぱいできたことで1話から見返したのですが、いやぁ毎回心が洗われましたね。ときには見るのがつらくなるような話もあるのですが、親のありがたみ、家族の大切さ、人とつながることの温かさなんかが自然に伝わってきます。「最近心が汚れているなあ」と思う方は必見!また、この春から社会に出る人にもお勧めしたいです。

■ B.LEAGUE初代王者を目指して

今年のうちのチーム力は昨年を上回っている自信があります。メンバーに変動がないのも強みですが、そこに新しく入ったライアンがうまくフィットして安定感が増しました。あとは一発勝負のチャンピオンシップでその力をいかに発揮できるかです。今年の天皇杯の決勝では何もできないまま敗れるという悔しさと一発勝負の怖さを味わいました。その二の舞にならないためにも辻とニック頼みになることなく、仮に彼らが不調であったとしても全員でそれをカバーしなければならない。その1つとして僕は自分の得点力が絶対必要だと思っています。自分で言いますが、責任重大です。そのことを肝に銘じて、残りのリーグ戦、そして、その先のB.LEAGUE チャンピオンシップを戦っていくつもりです。優勝する自信は揺るぎなくあります!