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B.MAGAZINE

世界のバスケットボールの勢力図

2022.12.21

ワールドカップ

 

 

王者アメリカを中心に展開するも ついにスペインが世界ランキング1位に

男子バスケットボールは、オリンピック4連覇中のアメリカを中心に回っているのは周知の事実である。だがその歴史をたどると、王者アメリカとてチーム作りは一筋縄にはいかず、敗戦のたびにプライドを傷つけられ、そこから再生を図ってきた歴史がある。

2002年までは、オリンピックとワールドカップでの優勝回数が多い旧ユーゴスラビア、旧ソビエト連邦、アメリカの3大バスケ大国が君臨していた。だが、1990年代から2000年初頭にかけてユーゴスラビアとソビエト連邦が分裂したことにより勢力図が変わり、独立国家となったクロアチア、セルビア、スロベニア、ロシア、リトアニアなどの東欧勢が力をつけていく。そうした状況下においてアメリカは、オリンピックでのプロ選手出場の解禁に伴って、1992年のバルセロナオリンピックでは「ドリームチーム」を結成して圧倒的な強さを披露。1994年の世界選手権でも「ドリームチームⅡ」を披露して金メダルを獲得している。

 
登録証

(1996年のバルセロナオリンピックに向けて結成されたドリームチームが世界の勢力図を一変させた)

 

アメリカ一強を切り崩したヨーロッパ、南米

2000年代に入るとアルゼンチン、スペイン、ギリシャなど、組織的なプレーを展開するチームが台頭する。そんな中、2002年に自国のインディアナポリスで開催された世界選手権にてアメリカは6位に低迷、2004年アテネ五輪では銅メダルに終わった。ちなみにここで力を発揮したのがマヌ・ジノビリを擁するアルゼンチンだ。2004年のアテネ五輪では悲願の初優勝に輝いている。

この結果を受けてアメリカバスケットボール協会は、最高責任者にジェリー・コランジェロ、ヘッドコーチにデューク大学を率いていたコーチKことマイク・シャシェフスキーを抜擢し、代表チームの再生プロジェクトをスタートさせた。その内容は、代表選手の意識を根本から変え、FIBAルールを徹底させ、選手たちがどのタイミングで参加しても順応できるような強化プログラムを作成したことにある。しかし、それでも2006年の世界選手権では優勝できなかった。その背景にあったのが、すでに台頭していた組織力を展開する国々のオリジナルなチーム作りと戦術の多様性だった。

近代バスケの扉を開けた2006年の世界選手権で優勝を遂げたのは、MVPを獲得したパウ・ガソルやシューターのファン・カルロス・ナバーロに代表されるように、育成年代からの強化が花開いたスペインだった。アメリカは準決勝でギリシャの前によもやの敗戦を喫する。

ただ、番狂わせと思わせたアメリカの敗戦は、内容を見ればギリシャの完勝だった。アメリカはギリシャが展開する美しいピック&ロールに対抗できなかったのだ。また、ヨーロッパ勢はこれまで以上に大型化を図っただけでなく、2002年の世界選手権でMVPを獲得したダーク・ノビツキー(ドイツ)のような大型オールラウンダーが出現。そうしたサイズのある選手たちが繰り広げる組織的なプレーの練度にアメリカは太刀打ちできなかったのである。

アメリカの再生は継続して強化され、2010年と2014年ワールドカップでは王座を奪回。オリンピックでもアテネオリンピック以降は4連覇を遂げている。しかし、そのアメリカもスーパースターが不在の急造チームでは、チーム作りが困難であることを再び2019年のワールドカップで露呈したのである。

この大会はグレッグ・ポポヴィッチHC(サンアントニオ・スパーズHC)による新体制で迎えたが、夏のトレーニングキャンプを前に多くの選手が出場辞退したことで、ある程度の苦戦は予想されていた。だが、準々決勝でフランスに逆転負けを喫し、順位決定戦でセルビアに敗退し、7位で終わることは想像できなかった。それゆえに、2021年に開催された東京オリンピックでのアメリカはプライドを取り戻すために戦っていた。2019年ワールドカップの準々決勝とグループラウンドの初戦で敗れたフランスを決勝で破って汚名を返上したのは記憶に新しいところだ。アメリカの絶対的エースでMVPを受賞したケビン・デュラントを擁し、試合をこなしながら軌道修正を図り、チームを形成していったのである。

今後も男子バスケットボールはNBA選手主体のアメリカを軸に展開していくだろう。王者とはいえ、いかに選手層を揃え、チーム方針を浸透させるかがカギを握ることに変わりはないが、大本命であることに揺るぎはない。

 
登録証

(FIBAユーロバスケット2022を制したスペインが初の世界ランキング1位に)

 

そんな中で、現在オリンピック4連覇中のアメリカは、2022年11月に更新されたFIBAランキングで2位に転落している。2022年夏のユーロバスケット(ヨーロッパ選手権)で優勝したスペインが累計でアメリカを僅かに上回ったのだ。他にはアルゼンチン、セルビア、フランスも近年は上位をキープしており、ルカ・ドンチッチ率いるスロベニアもチームケミストリーを構築しているところだ。また、幾度ものチャレンジの末に東京五輪で初の銅メダルに輝いたオーストラリアは安定力があり、これらがメダル争いの候補となっている。

アジアではインサイドの高さとガードの選手層が厚くなってきた中国が復活の兆しを見せている。また、2022年夏に開催されたアジアカップ準優勝のレバノンはチームが熟成され、ベスト4に進出したヨルダンも粘り強さを持つ。かつてのアジア王者のイランは世代交代を迎えて苦しい局面にいるが、簡単には負けないだろう。ワールドカップ共催国のフィリピンも帰化選手を迎えて戦力アップを図っているところだ。成長中の日本含め、ワールドカップでアジア最上位国に与えられるオリンピック出場権争いはし烈な戦いとなるだろう。

 
登録証

(トム・ホーバスHC体制で予選リーグ突破を目指す日本)