2025.05.24
宇都宮ブレックスが先勝!小川敦也が3本の3Pシュート含む15得点「空いたら打つことに自信を持っている」
チーム全体で16/39(41.0%)と効果的に3Pシュートを射抜いたこと、琉球のハンドラーにハードにプレッシャーをかけ続け、満足のいくゲームエントリーをさせなかったことが勝因として挙げられるが、中でも輝きを放ったのが22歳の小川敦也だった。
3点ビハインドの1Q残り5分44秒にコートインした小川は、ファイナル初得点を鮮やかな3Pシュートで決め切ると、2Q残り9分17秒と3Q残り2分19秒にも3Pをヒット。トータル15得点をマークするすばらしいパフォーマンスで勝利に貢献した。小川の課題となっていたのがこの3Pであり、琉球のディフェンスも最初は小川に対してアンダーで守っていた。

桶谷大HCも「駆け引きがあって、最初にアンダーで(ディフェンスをしていたときに)3Pを決められて、その後に45度、そしてコーナーと決められました。バスケットボールで全てを止めるのは難しい。(この試合は)小川くんを止めた方がいいという出来の中で、アンダーではなくて上を通っていくディフェンスをしました」と話しており、本来、そこまで警戒すべきものではなかった小川の3Pにアジャストを加えたことを認めている。
しかし、そのアジャストが結果として本来の小川の強みであるペイントアタックを輝かせることになった。琉球のショウディフェンスを巧みにプレッシャーリリースした小川は、ビッグマンがヘルプに来られないタイミングで縦にドリブル突破。自らのレイアップや味方へのキックアウトなどで琉球ディフェンスを撹乱した。
小川は自身の3Pについて「ずっと課題として取り組んできた部分で、コーチやチームの方々も空いたら打てと言ってくださっていました。だから、空いたら打つことに自信を持って取り組んでいます。自分が打ったシュートはセンターがきれいにスクリーンをかけてくれたものだったり、1本目はD.J(ニュービル)からのパスだったり、周りの選手からのアシストで3Pを打つ機会が多いので、そこは空いたら決め切りたいと思っています」と語った。
最大の舞台でステップアップした小川のパフォーマンスは、チームメイトが待ち望んでいたものでもあった。小川と共に会見に登壇した比江島慎は、質問を受ける後輩に温かな視線を送っていた。そして、小川のパフォーマンスについて尋ねられると、「今では本当に欠かせない選手になっていると思います。でも、僕はこれが彼にとっての普通だと思っているので、明日も引き続き頑張ってほしいなと思います」というメッセージを送っていた。

遠藤祐亮も小川の活躍を喜んだ一人だ。「シュートについては彼も悩むときがあったと思いますが、コーチ陣も僕たちも彼がどれだけ努力しているのかを知っています。自信を持ってあとはやるだけという感じだったので、今日は一番出すべきところでああいうパフォーマンスを出せた。本当に積み重ねてきたものが出たんだと思いますし、やっぱり努力って裏切らないんだなと思います」
「努力は裏切らない」
シンプルでありきたりな言葉かもしれないが、小川の活躍を見ると、それが奥深い言葉でもあることを再認識させられる。
桶谷HCは小川についてのコメントを求められた際に、前述したアジャストメントを施したことに続いて、こう話していた。「すごいですよね。やっぱり代表に入れる人間なんだなと思いながら、僕は『小川くんすごいなぁ』と見ていましたけどね」
言わずもがな、これは小川へのリスペクトを示す言葉だ。だが、同時に琉球のチームとしての余裕を感じさせる言葉でもあったように感じられた。琉球は明日のゲーム2で小川にどのようなアジャストを施してくるのか。そして、それを受けた小川がどんなプレーを見せてくれるのか。小川の、宇都宮の真価が問われるのは次戦となる。

記事提供:月刊バスケットボール