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2025.05.26

仲間と共に優勝に突き進むヴィック・ロー「全てのチームメイトを信頼している」

  • 月刊バスケットボール
後半の見事なカムバックだった── 「りそなグループ B.LEAGUE FINALS 2024-25」のゲーム2は、前日に敗れて後がない琉球ゴールデンキングスが宇都宮ブレックスに87-75でリベンジを果たし、火曜日のゲーム3に望みをつないだ。

前半はゲーム1同様に宇都宮のペースで進み、琉球は8点のビハインド。ただ、ゲーム1を受けてディフェンスでは相手エースD.J・ニュービルへのマッチアップを変え、オフェンスでも宇都宮のボールマンプレッシャーをうまくリリース。ビハインドこそ背負っていたものの、1Qと2Qのクォーターエンドには平良彰吾と荒川颯が3Pを決め切り、良い流れを作って次の10分間につなげていた。

後半に入るとヴィック・ローや松脇圭志の3Pが入り始め、ジャック・クーリー、アレックス・カーク、ケヴェ・アルマのビッグマントリオもペイント内でゲーム1以上にフィジカルにリバウンドに飛び込んだ。結果としてオフェンスリバウンド22本、ペイント内得点46、セカンドチャンスポイント23と全てにおいてゲーム1を上回るスタッツを記録。インサイドの攻防で優位を作った恩恵もあって、3P成功率も26.1%から38.5%へとジャンプアップした。結果的に後半を52-32と圧倒し、特に4Q残り4分半から荒川を起点に14-3のランを作って逆転勝利を飾った。



「出だしはかなりフラストレーションが溜まるゲームでしたが、選手が冷静に対処しながら何とか1桁差で前半を終われたので、そこはかなり僕たちにとって大きかったと思います。点差が離れたときもあったんですけど、1桁になってから一つ一つ返していくと、こういうゲームでは相手にプレッシャーをかけられました」

桶谷大HCはこう試合を総括した。前半に何とか食らいつけたこと、カークとクーリーを筆頭としたフィジカルバトルが宇都宮を疲弊させたこと、終盤の荒川の活躍…いくつもの勝因が挙げられる、まさに琉球らしい粘り勝ちの一戦だった。

中でも、ローの活躍に焦点を当てたい。琉球のエースは、この試合でもチーム最長の28分44秒コートに立ち、19得点、7リバウンド。ドライブ、ジャンパー、3Pシュート、ポストアップ、ダンク──あらゆる方法で得点し、3Q残り2分37秒には、ローポストでニュービルとの1オン1から豪快なボースハンドダンクをたたき込んだ。

このスコアで試合は57-57のイーブンに戻ったのだが、琉球がタイ、あるいはリードを奪ったのは2Q残り7分33秒以来のことだった。オフェンスだけでなく、終盤のニュービルへのマークもすばらしかったローだが、これだけの活躍をしても彼は冷静だ。



「試合の最後には僕が最多得点者になっているかもしれませんが、そもそも松脇がいなければ僕たちはここにいないでしょう。(三遠との準決勝ゲーム2で)彼のティップインがもし外れていれば、僕たちはこの瞬間を迎えることさえできなかった。だから、全ての選手がその日の試合をモノにするという気持ちを持ってコートに足を踏み入れる必要があります。セルフィッシュになることや傲慢になることではなくて、シュートチャンスを得たときにそれを決め切れると思って打つことです」

この試合に関しては、4Q残り1分23秒にショットクロックギリギリのところでローが決め切った3Pシュートが、実質的に試合を決めた。あの場面で、あのシュートで6点差に押し戻されたことで、宇都宮の集中が切れたように感じられたのだ。「シュートチャンスを得たときにそれを決め切れると思って打つこと」。あの場面でその役割を担ったのが、自分だっただけだと彼は思っているのだろう。

「全てのチームメイトを信頼しています。ボールを持っているのが誰であろうと、その瞬間にステップアップする必要があるのが誰であろうと、彼らがそれをやってくれると確信しています」。共通理解を持って、仲間を信じて試合に臨む──これが「団結の力」とスローガンに掲げる琉球の強さであり、それを最も体現している一人がローなのだ。

ゲーム3に向けてローはこう話した。

「緊張はしていません。準備はできています。昨年のファイナルもゲーム3までもつれましたし、(CS準決勝の)シリーズもゲーム3までもつれました。私たちは準備できていますし、いざとなればいつでも準備万端です」

ローにとっては、3度目のファイナル。1度目は千葉ジェッツ所属時に琉球と対戦し、敗れた。昨年も広島に最後の最後で屈している。3度目の正直となるか。琉球の闘将が最終決戦に挑む。