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2025.06.23

桜井良太GM×竹内譲次選手が語る、選手の力と社会貢献のこれから“自分たちの一歩が誰かの未来になる”[前編]

  • 月刊バスケットボール

“特別なことじゃない”行動が、子どもたちの記憶に刻まれる


高校時代に初めて対戦してから約四半世紀。現在はレバンガ北海道のGMとしてクラブを支える桜井良太さんと、大阪エヴェッサで現役を続ける竹内譲次選手は、それぞれの立場から日本バスケットボール界を牽引し続けています。コートでの活躍の一方、日本代表のチームメイトとして同じコートに立った二人は、若い頃から社会的責任活動に積極的に取り組み、子どもたちとの交流や地域貢献を重ねてきました。

今回はそんなお二人に、「りそなグループ B.LEAGUE FINALS 2024-25」B.Hope ACTION「ユニファイドスポーツ®︎バスケットボールゲーム supported by ANYTIME FITNESS」参加前のお時間をいただき、インタビューを実施。B.LEAGUEが発足して次シーズンで10年が経とうとしている今、活動が社会に与える影響力は確実に大きくなっていると語ります。

――お二人は2学年違いですね。2006年のFIBAバスケットボール世界選手権(現FIBAバスケットボールワールドカップ)をはじめ、日本代表でも長らく一緒に戦っていましたが、初めて会ったのはいつですか?

竹内)高1のウインターカップ(2000年)です。1回戦で自分がいた洛南高等学校が良太さんのいた四日市工業と戦ったんですよ(四日市工業が80-62で勝利)。その時に初めて見て、「こんなすごい選手おるんや!!」と思った記憶があります。大体の有力選手は月バスに載っていたけど、多分、良太さんは載ってなかったんじゃないですかね。当時、まったく存在を知らなくて(笑)

桜井)(笑) 当時は譲次も控えだったよね。終盤に出てきた時に、見たことないサイズの選手だったので驚いた覚えがある。当時は、まだまだこれから成長するというイメージでしたね。その後、東海大に行ったら、一気に成長していてビックリしたよ。



――さて若い頃から数多くの社会的責任活動をやってきたと思います。どんな思い出がありますか?

桜井)様々なことをやってきましたが、北海道では“桜井シート”というのを作って、普段バスケットボールを見に来られない子どもたちや、見たことがない子どもたちを招待したことは思い出深いです。今、B.LEAGUEでは、社会的責任活動に力を入れていて、クラブとしても多くの活動を行っていますが、2011年のクラブ創設以前の時代となると、それほど多くの活動はできていなかったですね。

竹内)実はこれまで公にはしてこなかったんですが、個人的な活動として、児童養護施設の子どもたちを試合に招待したことがありました。当時、僕は日立サンロッカーズ(現サンロッカーズ渋谷)に在籍していて、クラブの練習場がJリーグの柏レイソルと隣同士だったんです。その縁である方とお話する機会があって、児童養護施設に関わる社会貢献活動をされていると伺い、『それは素晴らしい取り組みだな』と感じて、クラブスタッフに相談して実現にこぎつけました。




――人員も限られる中で、昔はなかなか多くの活動はできなかったかと思います。現在、B.LEAGUEで社会的責任活動をする中で、当時との違いをどこに感じますか?

桜井)まずB.LEAGUE自体の認知度が高いということですね。NBLなど、かつてのリーグとは全く違います。社会的責任活動をやるにしても注目度も違いますし、今の選手たちがやる価値も高まってきていると感じます。社会的な課題があるということを知ってもらうという面でも、そこは大きいですね。

竹内)同じようなことは感じますね。僕はB.Hope × 選手会の活動で、何度か被災地に行かせてもらったことがあります。そのときに強く印象に残っているのが、「選手が来る」というだけで、子どもたちが本当に目を輝かせてくれるということです。選手が現地に行って、一緒にバスケをやるなど、何らかの活動をするというだけでも、子どもたちにとっては一生の思い出になるし、心に刻まれる。自分では、特別なことをしているつもりはないのですが。自分の活動が、思っていた以上に大きな意味を持っていることを、改めて感じました。



2017年6月にB.Hopeの活動で熊本地震の復興支援活動を行った際の竹内選手の様子

――B.LEAGUEの注目度が高まっているからこそ、活動の影響力というのは高まっているわけですね。

桜井)そう思います。譲次が話したように、自分たちが思っている以上の体験になってくれているようですね。レバンガでも学校訪問は高い頻度で行っています。僕が北海道に行ったのが24歳で、引退が42歳の時でした。その間、18年が経っているのですが、大人のファンの方に「昔、小学校に来ていただいたんです」と声をかけてもらったときはとても驚きました(笑)。当時の訪問をよく覚えてくれていて、「ダンクを見せてくれたのがすごく印象に残っています」と話してくれ、子どもたちにとっては大きな出来事なんだなと実感する体験でした。その子が小学生から大人になるまでの時間を思うと、本当にいろんなことがあったんだろうなと想像します。僕自身は、この18年間はそれほど大きく変わったと感じていませんが、子どもたちはその間に大きく成長し、それでも子どものころの経験を覚えてくれているという、何とも言えない不思議な気持ちでした。


桜井GMが現役時代の多くを過ごしたレバンガ北海道での試合の様子

<後編に続く>

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取材協力:Bリーグ