2025.07.02
【独占】富永啓生インタビュー「Bリーグでアピールできるチャンスを得られたら」
そのイベント後、富永に単独インタビューを行うことができた。つい数週間前にレバンガ北海道入りが発表された富永は、最終目標のNBA入りに向けてどんなプランを描いているのか。
※取材は6月12日
──昨季ペイサーズ傘下のマッドアンツでプレーして身として、そのペイサーズが出場しているNBAファイナルのパブリックビューイング参加はどんな思いでしたか?
すごくうれしいことですし、正直、(ペイサーズのファイナル進出は)サプライズな部分がありました。でも、こうしてファイナルまで来て、しかも昨季自分がプレーしてたアリーナでファイナルが行われているということで、すごく親近感が湧くというか、うれしい気持ちでいっぱいです。
──ペイサーズの選手やコーチとのコネクションもあったのでしょうか?
リック・カーライルHCとは何回か話す機会がありました。もちろん、1対1でのミーティングなどはなかったですが、施設で会ったときには「調子はどう?」とか話したり。それこそ、カーライルHCも僕のネブラスカ大時代の活躍を知っていてくれて、「ネブラスカってどんな感じだったの?」と大学時代の事を話したりですね。
──選手とのつながりはありましたか?
そうですね。誰かと仲良くしていたというよりも、みんな均等に話していたって感じです。タイリース・ハリバートン選手は同じガードなので、一緒にワークアウトをしたこともありますし、みんなと話していました。
──ハリバートン選手とのワークアウトで学んだことや気づきはありましたか?
彼はワークアウトをずっとゲームスピードでこなしていたので、それは印象的でしたし、やっぱりそういうのが大事なんだなと改めて気づかされましたね。
──来季からB1のレバンガ北海道でプレーする事を決めましたが、常々「最終目標はNBA」と話しています。具体的にはどんなプロセスでNBA入りを目指したいですか?
まずは与えられた機会を全て生かしていかなければならないと思っています。まずはBリーグで活躍する、アピールするのはもちろんですが、加えて日本代表活動の中でもアピールしていかなければならないと思います。なので、まずは目の前のことをやっていきたいと思っています。

昨年6月にはレバンガ北海道のホーム北海きたえーるで日本代表としてプレーした
──Bリーグでプレーする決断には、やはり日本代表を意識した部分が大きいですか?
そうですね。代表活動に今までよりも積極的に参加できるというのもありますし、あとは昨年Gリーグでさ結局なかなかプレータイムをもらえませんでした。コートに立たなければアピールもなにもできないので。GリーグがNBAに一番近いリーグだとは思いますが、そもそも試合に出ていなかったら何の意味もないです。なので、ここでBリーグにチャレンジして、アピールできるチャンスを得られたらと思いました。
──北海道のヘッドコーチは世代別日本代表時代や東京オリンピックの3x3日本代表でも共闘したトーステン・ロイブル氏になりました。
ロイブルさんとの信頼関係を築けていますし、オンコート、オフコート共に彼のことを信頼しています。多分ロイブルさんも僕のことを信頼してくれていると思うので、良い関係性でシーズンに臨めるのかなと思います。まだしっかりはなすのはこれからですが、積極的にサポートしてくれるというようなことは言ってくれています。僕の起用法や、まだ決まっていない外国籍選手に誰を獲得するのかなど、いろいろコミュニケーションを取りながら進んでいるので、うまくいけばいいなと思っています。
──ところで、6月25日からシンガポールで開催される「NBAライジングスターズ・インビテーショナル」にゲスト参加するそうですが、どんな経緯で参加が決まったのでしょうか?
参加のオファーをいただいて、僕としても下の世代をサポートしたいという気持ちと、純粋にバスケに関わりたいという気持ちとが大きくて、オファーを受けることにしました。
──日本からは男子・福岡大附大濠高と女子・京都精華学園高が出場します。昨年のウインターカップチャンピオンの両校ですが、試合はご覧になったりしましたか?
なかなかフルで見る機会はなくて、ハイライトなどでちょこちょこ追っていたくらいです。本当に参加する選手たちにはいろいろなことを経験してもらいたいですし、遠慮せずにアジアレベルを相手にバチバチやってほしいなと思います。まずはアジアのレベルを肌で感じてもらいたいですし、その中で優勝できるのは1チームだけなので、ぜひ優勝を目指してもらいたいです。それに、自分たちのバスケ、日本のバスケをぜひアジアに広めてもらえたらいいなと思います。

FIBA U16アジアチャンピオンシップでの富永
──富永選手が海外の選手と対戦したのは、U16日本代表時ですか?
そうですね。そのときに初めて国外のチームと戦って、個人としては萎縮することはあまりなくプレーできたと思います。そもそも、性格的にもそういう(萎縮する)タイプでは全然なくて、むしろ上のレベルに行けば行くほど燃えるというか。僕はそういうタイプの選手なので、楽しい気持ちしかなかったのを覚えています。だけど、やはり高さやフィジカルは違うと感じた部分がたくさんありました。
──今の高校生のレベルはご自身の時代と比べてどう感じていますか?
今の高校生はスキルの面ですごくレベルアップしているなと感じます。僕も日本に帰ってくると母校(桜丘高)に行ったりしているんですけど、レベルが高いです。今は少し検索すればすぐにスキル系の動画を見られますし、個人スキルの高い選手は多くなっている印象を受けました。
──今の高校生全体の中で注目している選手はいますか?
大濠の白谷柱誠ジャック選手ですね。彼はまだ1年生ですが、1年生とは思えないプレーをしていますし、本当にNBA入りを目指して頑張ってもらいたいですね。
──Bリーグの話に戻りますが、北海道はB1での上位進出やチャンピオンシップ出場経験がありません。そのチームを勝たせるという意味で、富永選手のシュート以外の注目ポイントはどこでしょうか?
極論、全てですね。全ての面で絶対にチームを助けないといけないと思っていて、だけど、それを背負い過ぎても逆にうまくいかないと思います。自分は本当にいろんな舞台で経験してきました。勝ち越しているチームにもいれば、負け越しているチームにもいたので、そういう経験から、どういうチームが勝てるチームなのかを伝えていかなければいけないと思います。そういう面でレバンガをCS出場、そして優勝争いに食い込めるチームに押し上げられたらと思います。
──Bリーグはフィジカルでハイペースだと、多くの外国籍選手が話します。一方で昨季プレーしたGリーグはよりハイスコアな試合が多いリーグです。両リーグにはどんな違いがあると感じますか?
Gリーグにはタレントのある選手がたくさんいて、ディフェンスの有無に関係なく得点できる選手もたくさんいるんですよね。あとはディフェンス自体が少し甘い部分もあるので、そういうこともあってハイスコアゲームが多いのかなと思います。
逆にBリーグはおっしゃるようにディフェンスがガチッとしていて守り合いのゲームになってくると思うのですが、僕はそれをかい潜って得点しなければならないと思うので、頑張りたいですね。

NBAオールスター選手のアレン(右から2番目)から貴重なアドバイスをもらった
──パブリックビューイングで同席したジャレット・アレン選手(キャバリアーズ)から「富永選手も僕もシューターとビッグマンなので、あまりボールを保持する時間が長くない。だからダーティワークなどの細かなところをしっかりとしなければならない。それを見てくれている人は必ずいる」というアドバイスを受けました。その言葉をどう受け取りましたか?
間違いないと思いますし、まさに僕もシューターとしてボールを触っている時間は少ないです。その中でどれだけチームに貢献できるか、ボールを触ってない時間に例えば僕のポジションだったら、動き回ることでディフェンスをかき乱してほかの選手がオープンになったりとか。そういうところも自分の武器なので、そうしたプレーをしつこくやることで、アレン選手の言うように見てくれる選手やコーチ陣が増えてくると思うので、そこは頑張っていきたいです。
──アレン選手のアドバイスは新しい視点でもありましたか?
そうですね。さっき言われて「確かにな」って思った部分もありました。僕はこの身長なのでシューターとしてというところに加えて、ボールハンドラーもやっていないといけないと思います。そこもチャレンジしていけたらと思います。
記事提供:月刊バスケットボール