千葉ジェッツとプーマが描く日本バスケ界の未来──原修太「日本でもジャージを日常的に着られるような文化を作っていけたら」
Bリーグ史上初!
プーマとのパートナーシップ契約
7月2日、世界的スポーツブランドであるプーマジャパンと、千葉ジェッツがパートナーシップ契約の締結を発表した。プーマジャパンの井上緑斎代表取締役社長と千葉Jの田村征也代表取締役社長による契約締結の署名、2025-26シーズンの新ユニフォームがお披露、そして両代表と千葉Jのプーマ契約選手・原修太を迎えたトークセッションがメインとなった会見で話された内容を紹介する。まず登壇した井上社長は、「バスケットボールは、サッカー、ランニング、ゴルフに次ぎ、プーマとしてより注力していくカテゴリー」と宣言。「バスケットボールを日本の3大メジャースポーツのひとつに育てていく」というビジョンを掲げ、プーマにとって初のBリーグクラブとのパートナーシップ契約を喜んだ。対する田村社長も「クラブ設立15周年、Bリーグ開幕10周年という節目の年に、世界的なブランドとタッグを組めることは、ジェッツのさらなる成長を大きく後押ししてくれると確信している」と笑顔を見せた。
気になる新ユニフォームのコンセプトは「あえて超シンプルに」だ。




(写真/PUMA)
千葉Jのクラブカラーであるレッドを基調としたユニフォームは、シンプルながら両肩のラインがスピード感を演出。素材には吸汗速乾性に優れたリサイクルポリエステルを採用し、ブランドロゴとクラブロゴは立体感のある素材で、さりげなく存在感を放つ。さらに、タグにはホームタウン・船橋市の地形をプリントする細部のこだわりも。早速、新ユニフォームを着用した原は「フィット感がありながら窮屈さを感じず、とても着やすい。デザインもおしゃれで、立体感のあるロゴがお気に入り」と笑顔で答えていた。
ではなぜ、プーマは千葉JをBリーグ界への“はじめの一歩”として選んだのか──井上社長は「始めるなら千葉ジェッツ」と強いこだわりを持っていた。その理由は同氏が千葉県出身であることと、千葉Jの競技面・興行面での成長を感じたからだ。Bリーグ開幕以降、9年間で実に11ものタイトルを獲得し、観客動員数も2016-17シーズンの約13万から昨季は約30万人へと大きく増え、売上も同9億から50億超に急激に成長。加えてソーシャルメディアのフォロワー数などの社会的な影響力の大きさも、千葉Jへのアプローチの理由となった。
バスケを3大メジャー競技へ!
そして「その順番が変わるくらいに」
会見後半に行われたトークセッションでは、3氏が「日本バスケの未来」をテーマに言葉を並べた。原は「僕がプロ入りした9~10年前は、メディアの注目度も今とは比べものにならなかったですね。テレビで10秒でもバスケの映像が流れたら、それだけで界隈がざわつくレベルでした(笑)。でも、今はこうして記者会見にも多くのメディアの方が集まってくれているし、Bリーグの存在感が確実に広がっていると実感します」と、その成長を肌で感じていると話した。
一方で、日本バスケ界の未来に対してこんな理想も口にした。「バスケがもっと“日常の一部”になっていったらいいなと思っています。街中でチームのユニフォームをファッション感覚で着てくれたり、試合がない日でも『このチームが好き』となれるような空気が作れたら最高ですよね。アメリカでは地元のNBAチームのジャージを日常的に着る文化が根付いていて、僕もNBAの現地観戦でその熱を肌で感じました。日本でもジャージを日常的に着られるような、そんな文化を作っていけたらいいなと思います」。田村社長はもう一歩踏み込み、バスケを日本の3大メジャースポーツとして確立し、さらに「野球、サッカー、バスケットボールという順番が変わるくらい盛り上げていきたい」と壮大な青写真を描いた。
井上社長が「バスケットボールはファッションやカルチャーとの親和性が非常に高く、そのエッセンスを日常のスタイルに取り入れやすい」と話すように、NBAのジャージやバスケットボールシューズがライフスタイルに浸透したのは、そのファッション性があってこそだ。つまり、「一度火がつけば、バスケに夢中になる未来がきっと訪れる」(井上社長)わけである。その意味では、ライフスタイルへの浸透をも掲げるプーマとのタッグは、原の理想を現実にするための一歩でもある。
Bリーグの急成長、そして日本代表の強化に伴うバスケ界全体の一層の発展において、千葉Jとプーマのパートナーシップ契約締結は、新風となり得る。