渡邊雄太が未来を考える中学生にエール「成長したからこそ壁にぶつかる」…千葉市で『DREAM HOOP PROJECT』開催
「壁にぶつかったら、どう乗り越えればいいのか」「夢が見つからないときは、どうすればいいのか」。これからの人生を考える子どもたちに、バスケットボール界のトップランナーが自身の言葉で経験を伝えるプログラム『日本生命 DREAM HOOP PROJECT』が16日、千葉市立加曽利中学校で開催された。
この日の先生役は、千葉ジェッツ・渡邊雄太、3x3女子日本代表・桂葵、車いすバスケットボール男子日本代表の鳥海連志と古澤拓也の4選手。競技のカテゴリや障がいの有無といった垣根を越えた選手たちが集結し、同校の中学3年生約145名にエールを送った。
プログラムはバスケ体験会と授業の2部制。
体育館で行われたバスケ体験会では、選手たちのリードのもと、ドリブルやシュートなどバスケの基本動作を用いたゲームで交流。バスケ経験・未経験は関係なく、性別も関係なく“バスケは誰でも楽しめるスポーツ”ということをテーマに楽しんだ。選手たちが繰り出した華麗なデモンストレーションも生徒たちを沸かせた。

[写真]=原田健太

[写真]=原田健太
授業パートでは、選手たちが自身の経験やこれからについて語りながら、子どもたちの人生における夢や目標を見つけるきっかけを提供する体験型のプログラムを実施。4名の選手たちは子どもの頃何を思っていたのか、引退した後の次の夢は、などロードマップをともに描いた。

[写真]=原田健太

[写真]=原田健太
数々の困難を乗り越え世界最高峰の舞台でのプレーも経験した渡邊は、壁に直面したときの自分との向き合い方について語りかける。
「例えばテストで60点をとり、一生懸命勉強して次のテストで70点とれた。これを“成長”と言います。でも、その次に80点を目指すとなかなか届かない。75点、76点…。これを“壁”と言う」
「こういうときに心がけていたのは、『最初は60点だった』という事実。80点を目指す過程で壁にぶつかっても、実際は10数点も成長している。それなのに『自分はダメなんだ』と思うのではなく、『自分が上を目指したから、成長したからこそ壁にぶつかっているんだ』と考えてみてほしい。それだけで、また次のモチベーションが上がってきます」
停滞は挑戦の証。渡邊は、プロセスを着実に歩んでいる自分を認めてあげてほしいのだ。
「そうして頑張っていると、ある日突然85点とかとれるようになるんですよ。自分自身の成長をちゃんと認識してあげることはすごく大事。これからいろんな壁にぶつかると思いますが、ネガティブになるのではなく、自分の成長をポジティブに捉えて自信につなげてほしいです」とエールを送った。

[写真]=原田健太
また、イベント終了後には鳥海・古澤の両選手が取材対応。鳥海は「生徒たちと夢について考えることで、僕自身も原点回帰する良い時間になりました」と振り返ると、古澤も「どの子も真剣に向き合ってくれて、すごく良い時間でした」と語った。
これからの進路や未来の選択に直面する子どもたちに向け、両選手は「夢を大きく捉えすぎなくていい」と口をそろえる。
「まだ夢が見つからないという子は、まず『何が楽しいか』から考えてほしい。『大人になっても続けたい』というような、簡単な自分の理想からスタートしていいんです」(鳥海)
「夢は“楽しい”の派生だと思っています。楽しいものを見つけ、どんどんチャレンジして、自分に合うものを見つけてくれたらうれしい」(古澤)
トップアスリートたちのリアルな言葉は、これから多くの選択をしていく中学3年生たちの背中を、優しく、そして力強く後押しした。