2025.11.27
サンロッカーズ渋谷U18が初の3位も残った悔しさ 甲斐キャプテン「もっと強い覚悟が必要」
「覚悟の差」と向き合い続け初の3位に
11月22日から26日まで栃木県・日環アリーナ栃木で開催された「インフロニア B.LEAGUE U18 CHAMPIONSHIP 2025」。サンロッカーズ渋谷 U18は、司令塔の一人で岸歩武(高校1年生)がコンディション不良により欠場する中、チャンピオンシップではクラブ最高となる3位で大会を終えた。
今季のSR渋谷U18は、「インフロニア B.LEAGUE U18 ELITE LEAGUE 2025」開幕週で名古屋ダイヤモンドドルフィンズ U18に55-91と大差で敗れた試合が一つの起点になっている。キャプテンの#15甲斐達弘は当時、「覚悟など気持ちの面で差を痛感しました」と話している。
今大会、初戦となる2回戦で神戸ストークス U18に85-77、3回戦で茨城ロボッツ U18に84-46でそれぞれ勝利。迎えた準々決勝は一つの山場になった。対戦した琉球ゴールデンキングス U18は、昨年の準々決勝で敗れた相手だ。#19安齋寛都は「去年も同じベスト4決めで琉球さんと戦ったので、そこで自分たちとして悔しい負け方っていうのもあって」「絶対倒したいという気持ちがありました」と当日の心境を振り返る。
この一戦には、「勝たなければ(ベスト4に与えられる)インターナショナルカップの出場権を失う」という条件も重なった。安齋は「全員がまだ今シーズン続けたいという強い思い」で一つになれたと語り、ゲームの入りから3Pシュートを決めて流れを呼び込んだ。司令塔になった#47山野井皓(中学3年生ながらU18チームに所属)も左前腕部にテーピングを施した状態という中で、2、3年生が引っ張って61-53の勝利をつかんだ。安齋は、「長い間ずっと勝てなかった」琉球に対し、「やっと、勝てました」と笑顔を見せた。

名古屋Dとの再戦で突きつけられた“一貫性”
準決勝の相手は、その「覚悟の差」を突きつけられた名古屋D U18。9月のエリートリーグでは31点差をつけられており、SR渋谷U18にとってはシーズンを通じたターゲットともいえる存在である。安齋は「ずっと名古屋Dを超えるべく歯を食いしばって練習してきました」と話し、再戦に臨んだ。
試合は、SR渋谷U18が攻防で気迫を見せた立ち上がりとなった。名古屋D U18のキャプテン#2若野瑛太は「リバウンドも強かったですし、ディフェンスのプレッシャーっていうところもすごかったです」と相手の姿勢を言葉にしている。しかし、名古屋Dの3Pシュートを止めることはできなかった。若野は前半だけで3Pシュート4本を成功させ、#9春田結斗も3Pシュートを連続で決めて点差を広げる。後半に入ると、SR渋谷U18も棚橋、安齋、そして中学3年生の山野井らがタフなショットを決め、第3クォーター序盤には流れを掴んだが、名古屋Dは再び3年生トリオと#11佐藤駿の得点で18-5のランを作られ、最終的には72-58で勝利した。
甲斐はこの試合を「自分たちに負けてしまった」と表現する。そのうえで、「名古屋Dさんは、終始自分たちのバスケをブレさずに戦っていました。自分たちはブレてしまったり、バラバラになってしまったり、チームとして戦えなかった」と反省を語った。
名古屋D U18戦の敗戦のショックは計り知れない。それでもチームは翌日の3位決定戦に向けて、宿舎で話し合いの時間を持った。そのやり取りについて甲斐は、「やりきれなかった、出しきれなかったという反省がやっぱありました。その部分を改めてチームとして再確認したんです。すでにプロの舞台を経験している同世代の選手たちと追い越す存在でなければならないと思っています。そのためにも、各自が自立をして戦い抜こうというテーマを設定し、3位決定戦に臨みました」と説明する。

迎えた3位決定戦、相手は優勝候補の千葉ジェッツ U18やU18 川崎ブレイブサンダースを倒した大阪エヴェッサ U18だったが、SR渋谷U18は立ち上がりから主導権を握って69-39で勝利した。「ブレずに戦い抜く」「チームで戦い抜く」というテーマを40分間通しての勝利は、クラブとして初の3位という結果をもたらした。
それでも、目標の頂点には届かなかったという事実は残る。甲斐は「自分たちとしては優勝を掲げてやってきていました。改めて力不足、実力不足を感じた大会になりましたが、インターナショナルカップもありますし、U18日清食品ブロックリーグやエリートリーグもまだ残っています。来年2月にすべての試合が終わるまでに、若野君のような選手たちと対等に、それ以上に戦えるように、差を埋めて終われるようにしたい」と語り、「CSは終わりましたけど、ここからの時間でもう一度向き合って、より強固な覚悟を身につけて、プレーに体現できるようにしたいです」と続けた。
さらに、今後につなげるためという部分についても言及した。「後輩たちの実力は現3年生よりも高い部分があり、プレー面では彼らに引っ張ってもらっているところがあります。ただ、リーダーシップやサンロッカーズらしさを体現し続ける点については、自分も含めてまだ不十分だと感じています。誰が出ても同じクオリティでプレーできる状態をチーム全員で作っていくこと。来季に入ったらすぐにリージョナルリーグが始まるので、その時にはすでに完成したチームとしてスタートできるようにしていきたいと考えています」。
「覚悟」「一貫性」「サンロッカーズらしさ」。今大会で見えたテーマは、これからのチームづくりにも引き継がれる。SR渋谷U18の挑戦はまだ続く。

記事提供:月刊バスケットボール