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2025.12.09

仙台89ERSのエーススコアラー、ジャレット・カルバーの決意「チャンピオンシップに導いて仙台に新たな歴史を作りたい」

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ジャレット・カルバー

「リーダーとして、試合の入り方には責任を負わないといけない」

仙台89ERS127日、ホームでファイティングイーグルス名古屋戦のゲーム2を戦い57-70で敗戦。前日のゲーム1に続いて勝利し勝率を5割に戻したいところだったが、FE名古屋の堅いディフェンスに屈してしまった。

この試合、仙台は第1クォーターからFE名古屋の激しいディフェンスに苦しんだ。さらにオープンシュートやレイアップをことごとく外して5-22と大きく出遅れたことが敗因となった。

仙台のエースを務めるジャレット・カルバーは、チームオフェンスが低調な中でも20得点と奮闘。前半は2得点と不発だったが、後半に入ると得意のトランジションから得点を量産した。しかし、いくら自分が得点を取ってもチームが勝たなければ意味がないと考えている。カルバーはこの試合について次のように統括した。

「入りが悪い展開では、そこから追いついてリードを奪うのは難しいです。40分間を通して良いプレーをしないといけない。チームのリーダーとして、試合の入り方には責任を負わないといけないです」

スタートダッシュに失敗した要因として自らに矛先を向けるカルバーだが、ここまで1試合平均でリーグ3位の23.6得点をマーク。2019NBAドラフト全体6位指名の実績から大きな注目を受けて加入した中で、しっかりと期待に応えている。だが、本人は「毎日、努力をしていますし、チームメート、コーチングスタッフともによく助けてくれています。ここまで良い感じで来ていると思いますが、もっと改善しないといけないところはあります」と満足感はない。

そして「今は、Bリーグについて学んでいるところです。レフリーの笛の傾向について学習し、もっとフリースローラインに立ちたい。そしてフィジカルな部分にもっと適応しないといけないです」と続ける。

ジャレット・カルバー

エースの重圧を歓迎「プレッシャーは特権です」

カルバーが現状に満足していないのは、「完璧にプレーできることはない。常に改善の余地があると思っています」という考えが根底にあるからだ。だからこそ「よりベストに近づくこと、高いレベルのプレーを安定して出せる選手になることを目指しています。そしてチームメートをもっと生かせる選手になりたいです」と語る。

カルバーはインサイド、アウトサイドのどちらからでも得点でき、波に乗ったときの爆発力はリーグ随一だ。しかし、試合を重ねるごとに相手チームの対策も進んでいる。司令塔としてカルバーにパスを供給する渡辺翔太は、「JC(カルバー)がトランジションを出せば、ほぼ決めてくれ、リズムに乗ってくれるのはわかっています」と信頼を寄せ、これからの課題をこう見ている。

「相手がスイッチディフェンスをして、今日のジェレミー・ジョーンズ選手みたいに足のある選手につかれた場合は一回、動きが止まって11になってしまう。そこからシュートを打って決め切る力もありますが、ボールがよく動いている中で彼に攻めさせていきたいです」

相手の徹底マークはより強くなってくるが、それでも仙台が勝ち星を伸ばしていくには引き続きカルバーの得点が欠かせない。ここまで結果を残しているからこそ、彼に対する周囲の期待はより大きくなり、プレッシャーもかかる状況となる。

だが、カルバーは「Pressure is a Privilege(プレッシャーは特権です)」と歓迎する。これはアメリカの伝説的女子テニス選手ビリー・ジーン・キングが語った有名な台詞で、「プレッシャーを感じるのは期待されている選ばれた者であるからこそ」という意味だ。そして、この台詞の次には「チャンピオンはそれにアジャストするもの」と続いている。

だからこそカルバーは、「この地位をつかむために、僕は本当にハードに練習に取り組んでいます」と語り、エースとして託されていることを粋に感じている。そして、周囲の思いに応えるため「チャンピオンシップに導いて仙台に新たな歴史を作りたい。そのためにもっとベストなプレーを披露しないといけないです」と言い切る。

現在、仙台は911敗とまだまだチャンピオンシップ圏内にいる。ここから上位に食らいついていくためには、なんとしても年内には勝率5割以上にしたい。そのために、カルバーには厳しいマークを打ち破り、引き続き得点を量産することが求められる。彼はこのタフな役割を担う覚悟を持ってコートに立ち続ける。