低迷が続く川崎ブレイブサンダース、エースとして奮闘するロスコ・アレンの思い「今の苦境を乗り越える手助けをしたい」
「できる限りコート内のことにフォーカスしないと」
川崎ブレイブサンダースは12月10日の水曜ゲームで千葉ジェッツと対戦。前半こそリーグ屈指の強豪相手に互角の勝負を演じたが、後半になると遂行力の高さでレベルの違いを見せつけられ、最終的に69-88の大差で敗れた。
川崎の勝久ジェフリーヘッドコーチは、「すごく成長を感じた試合でした。目指しているオフェンス、ディフェンスができている良い時間帯もありました」と手応えを語る一方、課題を次のように続ける。「少しのエラーが起きた時や集中力がなくなった時に千葉Jさんがそこを突いてくるのはさすがでした。トップチームと対戦することで、本当に何が大事なのかを発見させてくれる試合となりました」
この試合、川崎のエースであるロスコ・アレンは8得点7リバウンドを記録。得点面はいつもの彼に比べると物足りなかったが、被ファウル数9が示すように、千葉Jのディフェンスを苦しめていた。ただ、一方でアレンのシュート本数は8本と決して多くなく、アドバンテージを生み出せる選手をうまくオフェンスにからめることができなかった点に今の川崎の課題が見える。
11月頭からバイウィーク中にかけてインジュアリーリストに入っていたアレンは、現在のコンディションについて「チームは復帰に向けて手厚いサポートをしてくれています。ただ、できるだけ早くチームを助けたいと復帰しており、まだ100%の状態ではなく回復途中な部分もあります」と明かす。
ここまで川崎は4勝17敗とリーグ下位に低迷。Bリーグ創世記から数年前までチャンピオンシップの常連であったが、今は強豪の面影はなく、18勝42敗に終わった昨シーズンに続いて大きく負け越している。
11月7日にネノ・ギンズブルグヘッドコーチの契約解除でテコ入れを行った現状について、アレンはこう語る。「残念なことに望むようなシーズンを送れず、マネジメントがコーチ変更の決断を下しました。選手はこの状況にアジャストし、できる限りコート内のことにフォーカスしないといけない。不運なことに、チームが大変な時に僕もケガをしてしまいました。今は調子を取り戻すためにコート内外でベストを尽くすだけですそれは選手、コーチングスタッフを見ていればわかります。みんな成長できるように全力で取り組んでいて、シーズンが進むに連れて徐々に良くなっています
「選手として常に最優先なのは勝つこと」
数字上は可能性が残っているものの、川崎のチャンピオンシップ進出はすでに絶望的だ。モチベーションを保つのは決して簡単ではないが、アレンは「今のチームに必要なのは、ひたすらハードワークを続けていくことです。それは1つの壁を乗り越えることができても変わらない」と語り、チームは成長への意欲を失っていないと強調する。「勝利に貪欲な精神を失ってはいけないし、実際に僕たちは失っていない。それは選手、コーチングスタッフを見ていればわかります。みんな成長できるように全力で取り組んでいて、シーズンが進むに連れて徐々に良くなっています」
今シーズンのB1は成績による降格はなく、クラブは来シーズンからのBプレミア入りが確定している。穿った見方をすれば、このまま低空飛行が続いてもチームの未来に影響はないとも言えるが、アレンは「選手として常に最優先なのは勝つこと」と言い切る。
「来シーズンからプレミアが始まり、川崎がそこに入ることはわかっています。でも選手として、来シーズンのことは気にしていません。今に集中し、コートで最高のパフォーマンスを発揮してチームとして成功を収めることに全力を注いでいます」
このようにアレンは、どんなにチームが苦境に陥っていても目の前の勝利を愚直に求める。だからこそ、ここまでエースとして奮闘していながら「今の自分は、十分な貢献ができていないから努力を続けないといけない」と自分に矛先を向けている。
1人のプロバスケットボール選手として、アレンは次のような矜持を持ってコートに立っている。「選手として常に、チームの勝利に貢献できる存在でいたい。ここまで自分は、それが十分にできていない。だからこそ、高いモチベーションを持ってハードワークを続け、チームが今の苦境を乗り越える手助けをしたいという強い気持ちが生まれています。どんな状況でも勝つために100%を出し切る。これが僕のスタイルです」
今週末、川崎はホームでアルバルク東京を迎え撃つ。アレンは「タフな相手となりますが、ホームでファンの皆さんから大きな声援を受けることができます。いつも皆さんの前でプレーできるのは楽しみです」と意気込みを語る。
どんなに苦しくても前を向き、勝利のために全てを出し尽くす覚悟を持って、アレンは残りのシーズンを戦い抜いていく。

