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2025.12.24

負けん気の強さと堅守で存在感を発揮する川崎ブレイブサンダースのオマール・ジャマレディン「今の僕たちは成績よりも危険なチーム」

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「コンディションが万全ならアジア屈指のペリメーターディフェンダー」

川崎ブレイブサンダースは12月19日、20日にホームで島根スサノオマジックを迎え撃った。ゲーム1を79-68で制するも、ゲーム2は69-72の惜敗だった。チャンピオンシップ出場圏内にいる上位チーム相手に同一カード連勝まであと一歩と迫り、チームにとって確かな成長を感じられる2試合となった。

この週末、レバノン代表である川崎のオマール・ジャマレディンは、持ち前のフィジカルの強さと身体能力の高さを生かしたディフェンス力で存在感を発揮。特にリーグ屈指のハンドラーである島根のエース、岡田侑大への密着マークは素晴らしかった。ゲーム2終了後、勝久ジェフリーヘッドコーチも「彼のボールプレッシャー、足腰の強さはすごくチームの武器になります。昨日は岡田選手にマッチアップをして強度の高いディフェンスをしてくれてチームが勢いに乗りました。彼を見て他の選手がもっと頑張ろうということになったと思います」と評価している

ジャマレディンも「コンディションが万全なら自分は、アジア屈指のペリメーターディフェンダーだと思っています」と守備へのプライドを語る。

「(これまでプレーしていた)レバノンリーグでは、外国籍選手にマッチアップをしていました。相手のエースを守る役割に僕はプライドを持っています。また、今、川崎はディフェンスをアイデンティティとして、良いディフェンスから良いオフェンスへと繋げることに取り組んでいます。僕はこの助けとなり、自分のディフェンスで周りを引っ張っていけるようにしたいです」

良いコンディションを保つことはジャマレディンにとって、大きな挑戦となっている。そもそも昨シーズンにプレーをしていた母国のレバノンリーグは、プレーオフが終わるのが7月と他国と比べて遅い。そこから彼は8月に開催されたアジアカップに出場し、それが終わるとすぐにBリーグへと、まとまった休みを取ることができなかった。さらにBリーグはタフな日程であり、ジャマレディンは「2日連続の試合、さらに週の真ん中に試合があるスケジュールはこれまで経験したことがなかったです。最初は身体が徐々に重くなっている感覚がありました。しっかり睡眠をとったり、身体のケアについて本当に気を使わないといけないです」と語る。

「これからの僕たちにもっと期待してほしい」

オフェンス面については「自分は点取り屋ではないかもしれないです。ゴール下にアタックして、味方のチャンスをクリエイトする部分でチームを助けることはできています。まだ、審判の笛だったり、フィジカルの面でアジャストする必要がありますが、引き続きアグレッシブなプレーを続けていくだけです」と意識している。

11月末から12月頭にかけて開催された『FIBAワールドカップ2026アジア地区予選』において、ジャマレディンは直前に負ったケガによって代表に招集されなかった。レバノンに帰ってリフレッシュすることもできたが、彼は日本に留まった。そこには、チームへの献身的な姿勢がある。

「飛行機に乗ることでケガが悪化する可能性もあります。もちろん友人や自分の愛する人たちに会いたかったです。ただ、みんな僕がこの状況に集中していること、自分個人よりも大きい存在のために何かを成し遂げようとしていることを理解してくれています。この気持ちは僕にとって大切です」

状況は良くなっている川崎だが、今の成績は5勝20敗と下位に沈んでいる。ジャマレディンは「シーズン序盤なら負けていても『まだシーズンは長くて、挽回するのに多くの試合が残っている』と言うことはできます。ただ、もう中盤となり状況を変えないといけないです」と、少しでも順位を上げないといけないと強調する。

そして今の川崎ならそれができると自信を持っている。「僕たちは、これまでの状況を変えつつあります。コーチ陣は素晴らしい仕事をしてくれているし、今の僕たちは成績よりも危険なチームです。今週末、それを証明することができたと思うし、成長を続けていきたいです」

これから年末年始にかけて川崎はホームゲームが続くが、ジャマレディンは「いつも応援をしていただいていることに感謝しています。ファンの皆さんには、これからの僕たちにもっと期待してほしいです」と語る。これまで負けが続いても熱心な応援を続けてくれたファンのサポートへの恩返し、そして現状を何とか打破したい負けん気の強さで、ジャマレディンは川崎を引っ張っていく。