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2026.04.16

やっぱり気になるお金について(後編)『トップチーム人件費』ランキング2024年度版…千葉Jが人件費でもトップに

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 今回で6シーズン目となるクラブ決算概要レポート。今回は2025年10月14日に発表された「B.LEAGUE 2024‐25シーズン(2024年度)クラブ決算概要」をもとに、『トップチーム人件費』についてレポートします! マイチームの現在地を知っていただければ幸いです! 現在進行中の2025-26シーズンの決算ではなく、最新に公開されている、昨シーズンの2024-25シーズン決算のレポートですのでご注意ください。               

文=井口基史

◆■千葉ジェッツが大台15億円突破!

 千葉ジェッツが15.2億円を計上し、営業収入につづいてリーグ1位に! これまでアルバルク東京が7期連続でトップと、リーグのサラリーをけん引していましたが、千葉JがBリーグ初年度以来のトップに戻った形です。当時の千葉J、トップチーム人件費が3.6億円ですので、9シーズンで11.6億円アップしたことになります。その間、千葉ジェッツが獲得したタイトルは、天皇杯5回、Bリーグ1回、EASL1回(前身の大会含めず)ですので、結果を出した選手・コーチ・スタッフたちへの報酬が増えたことは当然の結果でしょう。前年の2023-24シーズンと比べると5.3億円のアップとなり、ジェッツブースターが歓喜に沸いた、渡邉雄太選手の加入やトレヴァー・グリーソンヘッドコーチの就任など、補強の影響が感じられるかもしれません。ちなみにトップチーム人件費にはコーチなどチームスタッフの人件費も含まれるとされています。

◆■チャンピオンシップ進出にはいくら必要か?

 三遠ネオフェニックスは、チャンピオンシップ出場チーム中では最低の、7.6億円(13位/サラリーキャップ上限未満)ですが、ホーム開催権まで獲得しています。前編の『営業収入ランキング』でも触れていますが、営業収入でもCS出場チーム中では最低の18.8億円ですので、いかに効率的に誇れるシーズンを過ごしたかが、表れていると思います。一時はホームタウンの愛知県豊橋市において、住民投票に発展したアリーナ計画が社会テーマになりましたが、新アリーナ建設の後押しとなるような結果が表れていますし、CSに届かなかったチーム達にとっても、まったく手が届かない人件費ではなく、希望を与えてくれていると思います。

◆■B1とB2の差は?

 カテゴリーが違いますので、ある意味当然ですが、平均トップチーム人件費はB1とB2で約2.6倍、5.1億円の差があります。Bプレミアのサラリーキャップ上限は8億円ですので、すでにB1平均が上限を上回っている状況が分かります。マイチームの順位とトップチーム人件費を見比べてみると、より深く現在地が見えてきます。

【B1、B2平均トップチーム人件費の差は5.1億円】
・B1平均トップチーム人件費 8.3億円(前回7.2億円)
・B2平均トップチーム人件費 3.2億円(前回2.9億円)

◆■ウチはサラリーキャップ大丈夫?

 2026-27シーズンより開始するBプレミアでは、トップチーム人件費の上限を8億円、下限を5億円と定めています。すでに超過が11チーム、未達が7チームがあります。「超過」チームは昨期の人件費規模を維持すると、降格を含めた厳しい制裁がありますので、現在の戦力が維持できるのか、チームのファン・ブースターは気が気でないでしょう。

「未達」のチームはさらなる投資が必要となり、下限に達しない場合にも、降格を含めた制裁がありますので、いずれの状況のチームもすでに準備が進んでいるはずですが、どちらも心配がつのります。1位・千葉Jに至っては、現在の15.2億円から上限8億円にするためには、7.2億円の減額が必要になる計算です…。戦力均衡を目指し、接戦が増えたり、終盤戦まで魅力あるカードを維持する、という効果を目指すのが、プロリーグがサラリーキャップやドラフト制度を導入する主な要因といわれています(※スター選手条項は加味していません)。
※特例条項:「スター選手条項」:特例選手の内1名が1.5億円以上の報酬であったとしても、当該選手は1.5億円までをサラリーキャップに計上する。

【サラリーキャップ(上限)8億円・超過11チーム】
1. 千葉J
2. A東京
3. 宇都宮
4. SR渋谷
5. 三河
6. 琉球
7. 群馬
8. 名古屋D
9. 長崎
10. 広島
11. 島根

【サラリーフロア(下限)5億円・未達7チーム】
1. 仙台
2. FE名古屋(Bプレミア外)
3. 信州
4. 北海道
5. 富山
6. 滋賀
7. 神戸

【サラリーキャップ超過した場合の制裁】
①降格
・Bプレミアクラブは翌々シーズン終了後にBワンへ降格(Bプレミアライセンスは交付)
・Bワンクラブは翌シーズン終了後にBネクストへ降格(Bワンライセンスは交付)
②勝ち数の減
・翌シーズンの勝率の計算に際して、勝ち数15を減じる
③制裁金
・サラリーキャップ金額を超過した金額の5倍の制裁金を科す

【サラリーフロア未達の場合の制裁】
①降格
・Bプレミアクラブは翌々シーズン終了後にBワンへ降格(Bプレミアライセンスは交付)
・Bワンクラブは翌シーズン終了後にBネクストへ降格(Bワンライセンスは交付)
※勝数の減、制裁金は実施なし

◆■チーム人件費は十分もプレミア外の悔しさ

 20位・越谷アルファーズ(5.3億円)、ファイティングイーグルス名古屋(4.9億円)と越谷はサラリーフロア(下限)をクリアし、FE名古屋もあと100万円未満でクリアですので、両チームともトップチーム人件費は、Bプレミア基準に到達していると言えます。しかも両チームとも、Bプレミアのライセンスに必要な売上12億円は上回っていますので、現状のままBプレミアを戦うことができない、越谷とFE名古屋の悔しさは十分伝わってくるはずです。越谷はホームアリーナ要件、FE名古屋は入場者数基準の課題と、自分達だけではコントロールできない課題ではありますが、来シーズンから戦う、B.ONEの舞台でクリアされることを願っています。(営業収入ランキングはコチラURLリンク)

◆■コート上の努力だけで勝てるのか?

 1位・千葉J(15.2億円)と現在B1で戦うチームの下位・滋賀(3億円)ではトップチーム人件費で12.2億円の差があります。Bプレミアでは上限8億、下限5億になりますので、その差は3億に縮められることになりますが、現在の状況では、コート上の努力だけでは越えられない差がある、と言えるでしょう。

 すでにサラリーキャップについての、金額改訂検討時期については、「2026年12月に開催するB.LEAGUE理事会で決定する」と公表されています。新たな発表を待つことになりますが、すでに超過しているチーム所属選手にとっては、「サラリー減額を1シーズン我慢すれば、サラリーが戻ってくる可能性がある?」「その戻ってくるレベルはどうなのか?」という点が、プロアスリートとして難しい選択が迫っていることが感じられます。サラリーキャップを導入するということは、このような選択を生み出すことで、戦力均衡を目指すことではありますが、選手や家族にとっては大きな決断が迫られていることも理解しておきたいです。

 私はかつてGMやスカウトをさせていただいた経験を生かして、ファン・ブースターにも、マイチームの現在地を共有したいという想いで、Bプレミアの構想に伴う、クリアすべき売上と入場者数が示されたタイミングで、このレポートを始め6年目になりました。その間に日本バスケットボール界は、W杯での沖縄の奇跡、パリ五輪での躍進といった、大きな進歩を続けてきました。その下支えをしているのは、各ホームタウンで頑張っている、チームとそれを支える、ファン・ブースターです。目の前の試合で得られる喜びや、応援している選手の活躍による興奮と同じように、マイチームが置かれている環境や状況にも目を向けていくことが、日本のバスケを熱くする、一つの取り組みだと信じています。いつも読んでくださり、ありがとうございます。これからも一緒に日本のバスケを熱くしましょう!(井口基史)