神戸ストークス、激闘のクォーターファイナルを勝ち切りいざセミファイナル“GREEN DERBY”へ
5月1日、りそなグループ B2 PLAYOFFS 2025-26が神戸ストークス対鹿児島レブナイズのクォーターファイナルで幕を開けた。東地区と西地区から4チームずつが参加するトーナメントでは、計8チームが2戦先勝のシリーズを最大3ラウンド戦う。チャンピオンに輝くチーム以外は必ず敗北で戦いを終えることになる短期決戦で、開幕から2日後には早くも勝者と敗者のコントラストが映し出された。
他3カードに1日先んじて火蓋を切ったGLION ARENA KOBEでの神戸対鹿児島は、それぞれがGAME1とGAME2で白星を手にし、互いに1勝1敗でGAME3へ突入する。神戸はシーズン中になかった3日連続での試合を序盤から優勢に進めると、4Q終盤にガードの笹倉怜寿が相手ビッグマンのシュートをブロックした際に、ベンチの選手やスタッフが一斉に立ち上がって喝采を送った。局面を大きく変えるようなビッグプレーではない。その時点で42点のリードを奪い、緊迫した場面ではなかった。にもかかわらず、役目を終えてベンチに控えていた主力戦選手たちが沸き立ったシーンは、負ければ終わりの緊張感と重苦しい雰囲気からの解放を物語っているようだった。
一方の鹿児島は試合の負けとプレーオフ敗退が濃厚になり、タイムアップを待たずに主力のアンソニー・ゲインズ・ジュニアをベンチへ下げた。身体能力抜群のプレーで味方を鼓舞する点取り屋が、ユニフォームで顔を覆いながら静まる鹿児島ブースターの目前でうなだれる。軽く頭を叩きながら労ったフェルナンド・カレロ・ヒルHCの表情には、試合中に身振り手振りを交えながら熱く檄を飛ばす時とは真逆の感情が浮かんでいた。続いて大黒柱のジョシュ・シャーマをベンチに戻す際にはハグを交わす。試合終了が終わりへ近付いていると告げる場面が続いた末に、神戸が99-53のスコアで勝利してシリーズに決着をつけた。
難敵鹿児島、逆王手
セミファイナル進出を決めた神戸は今季、シーズン55勝5敗の独走で西地区を制覇したが、勝率9割を超える数字もプレーオフ前にはリセットされる。同地区所属の鹿児島は28勝32敗と負け越しながら、神戸にとってはシーズン初黒星をつけられた相手だった。その後の対戦5試合は全勝しながらも接戦が多く、4月11日の本拠地での一戦では試合終了間際に同点とされてオーバータイムまでもつれこんでいる。リーグトップの88.4得点を記録した神戸に対し、鹿児島も同5位の84.3得点とオフェンス力が高く、短期決戦で勢いに乗せたくない相手だった。
ハイスコアの試合も想定されたシリーズで、神戸はGAME 1の1QにB2プレーオフ新記録の42得点と強烈な先制パンチを繰り出す。いきなり3P5本を沈めた殊勲の木村圭吾は、福井ブローウィンズ所属の昨年に2連敗で敗退していて「気持ちは入っていた」。新天地へ移ってから「プレーオフで勝たせられる選手」を公言し続けただけに、まさしく有言実行の活躍だ。1月に新加入し、チームの得点力を底上げしたルーク・メイも33得点の大暴れ。川辺泰三HCが試合前から繰り返していた「最初の5分」で流れに乗った神戸は、試合終了までに、こちらもB2プレーオフ記録となる123得点(91失点)を積み上げて初戦白星を飾った。
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一方的な展開になったが、鹿児島の攻守を牽引する兒玉貴通は勝機が薄れても「40分を無駄にするつもりはなかった」と語り、直近5シーズンで4度目のプレーオフに出場している経験をいかすべく「次の日に向けて何が通用するか、何を相手は嫌がるかも探りながら終えられた」。そして、ヒルHCが言う「最初からハードに当たらなければならない」をGAME2で実行し、より積極的でフィジカルな仕掛けにより前半戦を30失点に抑えた。神戸はそのうちの24点を得点源のヨーリ・チャイルズが挙げたが、修正に成功した相手に3Pを1本も決められない。3Qと4Qには何度か同点に並ぶが逆転には及ばず、ディフェンスでも退場者が3人と苦しい展開が続いた。試合時間残り30秒の場面では3点差で同点に追いつくチャンスを残したが、鹿児島のゲインズ・ジュニアに鋭い出足でスティールからのダンクを決められ81-86で敗れている。
勝負のGAME3——「こんなところで終わるチームじゃない」(野溝利一)
B2最高勝率チームの神戸がシーズンでは1敗のみの本拠地で「逆王手」をかけられ、3日連続での3連戦をこなすタフな状況に陥った。川辺HCと選手たちがシーズン前から繰り返していた「B2優勝」が潰える可能性も浮上したが、司令塔の寺園脩斗は試合後の総括の後で「負けたことはもう終わったことで、(敗戦については)何も思っていない」と言葉を添えた。チャイルズも「(シーズンから)2連敗しないことをやってきたので、それと同じことができるように集中して必ず勝つ」と翌日の試合を見据えていた。
そうして迎えたGAME3に神戸が勝利すると、13分の出場で3P5本を沈めた野溝利一も「(試合前は)少し重い雰囲気ではあったけど、自分たちのやるべきことに立ち返れば絶対に負けないというのはあった」。2年目の強心臓が「こんなところで終わるチームじゃない」と言い切ったのは、シーズンが進むごとにチームの結束力が高まり、土台が分厚くなっているのを実感しているからだろう。
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3度目の”GREEN DERBY”
過去にプレーオフを経験している川辺HCも、泰然自若の強さをしたたかに下支えした。対戦相手の特徴については「ばちばちにスカウティングした」と関西弁のイントネーションを強めつつ、GAME1から笛が多く吹かれる状況にも「(相手は)誰の3Pが入って、誰がフリースロー入らないというのは分かっているので、場合によってはファウルをしてもいいと伝えている」と冷静に対処した。試合前やハーフタイムには審判に歩み寄り、「うちの選手にはさせませんから」と具体的なファウルの基準を入念に確認。敗れたGAME2はフリースローでの6得点に対して失点16で5点差の敗戦につながったが、GAME3では22得点で9失点と対策が実った。
神戸は今後も本拠地で戦えるホームコートアドバンテージを獲得しているが、1敗しただけで後がなくなる戦いは続く。次のセミファイナルは、東地区3位の横浜エクセレンス(シーズン39勝21敗)が相手だ。
【GAME1】5月8日(金)
【GAME2】5月9日(土)
【GAME3】5月11日(日)※1勝1敗で並んだ場合のみ
今季はビジターとホームで2試合ずつを戦い、計4試合で3勝1敗と勝ち越している。ただし、いずれのカードでも不在だった故障者が戦列に戻っているだけに、過去の戦績はそれほどあてにできない。3度目の「GREEN DERBY」が間もなく始まる。