秋田ノーザンハピネッツの中山拓哉、激動のシーズンをともに戦ったブースターへの感謝の思い「会場を勝利に繋げる雰囲気にしてくれた」

「秋田のこの文化はこれからもずっと続いてほしい」
秋田ノーザンハピネッツの激動のシーズンは10勝50敗というクラブ史上最低勝率で幕を下ろした。これまでディフェンスに重きを置いていたチームは得点面の改善からユーロリーグで平均2桁得点以上を記録していたニュージーランド代表のヤニー・ウェッツェル、オーストラリア代表でNBLでスコアラーとして活躍していたキアヌ・ピンダーを獲得し、外国籍選手に攻撃の起点を寄せた。
しかし、シーズンが始まると得点が60点台の試合を連発。オフェンス改善に注力した結果、ディフェンス面にも影響が出始めてチームは方向性を見失った。そして、11月には田口成浩が右膝前十字靭帯断裂で戦線離脱すると、3シーズン目を迎えてチームの潤滑油として活躍していたタナー・ライスナーが脳しんとう発症と立て続けに戦力を失った。12月に入り4勝22敗で東地区最下位と出口の見えない秋田は、前田顕蔵ヘッドコーチとの契約を解除し、カンフル剤にしようとしたがその後も成績は向上することはなく、攻守で中心を務める赤穂雷太も半月板損傷のため、12月21日の試合を最後にシーズン全休となった。
秋田で10年目となった今シーズンを戦い抜いた中山拓哉は率直に悔しさを滲ませた。「プロとしてポジティブな感情や元気を与えなきゃいけない存在なはずなのに、今シーズンは本当にそれが全然できなかったことがすごく悔しいですし、申し訳ない思いが強いです」
中山は常々プロバスケットボールプレーヤーとしてブースターからの期待を背負い、期待に応えていく姿勢を伝えていた。しかし、今シーズンは逆にブースターから力を与えてもらっていたと感謝を口にする。「今シーズンは10勝しかしていませんが、そのうちの8勝はホームでしています。これは皆さんの応援してくださっている力が、ホーム会場を勝利に繋げる雰囲気にしてくれた結果だと思います。本当に感謝しています」
最終戦には4.950名の観客が足を運んだ。クレイジーピンクの異名を持つ秋田のブースターは、過去に降格の憂き目にあった時も変わらず温かい声援を送っていた。中山も「どんな時でも熱く温かく応援をしてくださって一緒に戦ってくれていたので、秋田のこの文化はこれからもずっと続いてほしいです」とブースターの声援を誇りに思っている。
また、「僕にとって顕蔵さんは大きな存在でした」と語るように、指揮官の離脱による精神的なダメージもあった。それでも前田ヘッドコーチが持ち続けていた『秋田のために』という精神を受け継いで戦い抜いた。「僕が秋田に入ってからずっと一緒にやってきて、『秋田のために』という精神が一番強い方でした。顕蔵さんがいるから僕も秋田で頑張ろうというか、一緒にやっていこうという思いがあったので大きいですね」
主力選手の相次ぐケガ、ヘッドコーチの退任、クラブ史上最低勝率と、過去一番と言ってもいいくらい苦しいシーズンを送った。しかし、落ちるところまで落ちたらあとは上がるだけ。中山は前を向く。「この経験が、キャリアを終えた時に分岐点だったと思えるように、僕自身も成長してやっていきます」