10年越しのリベンジを達成、琉球ゴールデンキングスの岸本隆一が語る勝因「毎年、CSに出て積み上げてきた経験値が大きく影響した」

昨年の欠場を経てのCS「やっぱり特別な気持ちでした」
5月9日、琉球ゴールデンキングスはチャンピオンシップクォーターファイナルでシーホース三河と対戦。最後までもつれる激闘を82-79で競り勝ち、前日に続いての連勝で8大会連続のセミファイナル進出を決めた。
琉球は大事な立ち上がりにプレーの遂行力で三河を上回り、リバウンドをとりきるとトランジションからオープンシュートの機会を作り出し10-0と先制パンチに成功する。しかし、第2クォーターに入ると三河の西田優大にドライブから守備を切り崩される。このクォーターだけで西田に8得点3アシストと活躍を許したことで、スムーズなボールムーブオフェンスを遂行され1点ビハインドで前半を終える。
後半に入ると、琉球は西田のドライブを徹底的に抑え込むことで守備を立て直す。一進一退の攻防が続く中、第3クォーター終盤から琉球はデイミアン・ドットソンの卓越した個人技からの得点で一歩前に出ることに成功して8点リードと均衡を破る。三河もこの試合で30得点を挙げたダバンテ・ガードナーの奮闘で何度も1ポゼッション差まで詰め寄るが、琉球は岸本隆一、ヴィック・ローがタフショットを沈め圧倒的な勝負強さを見せて激闘を制した。
琉球の大黒柱、岸本は11得点3アシストを記録。終盤に値千金の3ポイントシュートを沈め、代名詞の勝負強さを今回も発揮し、スタッツ以上のインパクトを残した。岸本は「お互いにとって本当に大事なゲームで内容はいろいろと詰めなくてはいけない部分がありますけど、とにかく勝てたことにすごく充実した気持ちです」と試合を振り返る。
昨シーズン、岸本は4月中旬に左第5中足骨を骨折し、チャンピオンシップを無念の欠場。だからこそ、大舞台での経験が豊富なベテランでありながらもチャンピオンシップ開幕前には「いつも通りに行きたいという願いもありながら、いつもと違った気持ちでCSを迎えるかなと思います」と語ってくれていた。
実際、このクォーターファイナルをどんな気持ちで迎えたのか尋ねると、「昨日の初戦に入る前、やっぱり特別な気持ちでした。正直、いつもとは何か違った心境だったと思います。どうにかして、いつも通りの雰囲気を取り繕っていましたけど、CSの舞台に立つためにレギュラーシーズンを戦っているんだと再認識しました」と明かす。
そして、岸本個人だけでなく、どのチームよりも多くの試合を重ねてきたポストシーズンの経験が今回の激闘を勝ち抜くための助けになったと続ける。「試合の内容を振り返った時、レギュラーシーズンと比較すると、全然違う戦いだとあらためて感じました。毎年、キングスがCSに出て積み上げてきた経験値が大きく影響したこのクォーターファイナルだと思いました」

リーグ初年度のCSで敗れたアウェー三河戦のリベンジ
琉球にとって三河の本拠地であるウイングアリーナ刈谷でのチャンピオンシップは、Bリーグ初年度のクォーターファイナル以来だった。この時の琉球は勝率5割以下のチームでなんとか勝ち上がったが、桜木ジェイアールを中心に比江島慎、金丸晃輔、ギャビン・エドワーズ、橋本竜馬に柏木真介というタレント集団による三河の質の高いハーフコートオフェンスを要所で止められなかった。2試合とも僅差の敗戦となったが、点差以上に確かな力の差を感じる連敗でシーズンを終えた。
この2試合を経験して今も在籍している岸本は、当時の試合後「勝つためにまだまだ足りないことは否めないです。来シーズン、勝てる何かをこれから見つけないといけない。悔しさというよりも、もっと危機感を持って取り組んでいきたいです」と語っていた。
そしてこの苦い敗北を受け、チームはbjリーグ時代と主力をほぼ変えずに臨んだBリーグ1年目からロスターの大幅な再編を実行。勝利を貪欲に求めるため、大きなこだわりを持っていた沖縄出身選手たちが日本人ロスターの大半を占める編成から決別し、指揮官も沖縄バスケ界のレジェンドである伊佐勉から佐々宜央(現・アソシエイトヘッドコーチ)を新指揮官に招聘する変革を実施した経緯がある。
こういった過去を踏まえ、岸本は「Bリーグが始まった年のチャンピオンシップをああいう負け方で終わったことは、このシリーズが入る前から個人的には意識していました。お互い状況はいろいろと変わっていますけど、今回2つ勝てたことで、10年越しに壁を越えたというか、自分の中で消化しきれなかった気持ちが少し消化できた思いです」と語る。
Bリーグ初年度に岸本が切望した『勝てる何か』、それを今の琉球は確かに持っていることを証明した10年越しのリベンジだった。