大黒柱を失い崩れた琉球…岸本隆一が果たすべき責任は「コートの中で」

5月24日、決着か、“もつれるか”の「りそなグループ B.LEAGUE FINALS 2025-26」GAME2は、第3クォーターの攻防が明暗を分けた。
9-21。この10分間、琉球ゴールデンキングスは長崎ヴェルカの勢いに飲み込まれ、反撃も及ばず60-66でタイムアップ。敗戦後、桶谷大ヘッドコーチは「隆一のファウルトラブルがキーになったと思います」と口にした。
試合は2点ビハインドでハーフタイムへ突入。しかし、第3クォーター開始1分12秒で岸本隆一が4つ目のファウルを犯してベンチへ下がると、相手に8-0のランを献上。第3クォーターが終わった時、スコアボードには38-52の数字が並んでいた。
5ファウルで退場となるバスケットにおいて、試合の約半分を残しての4ファウルは、選手、さらにはチーム戦術からあらゆる選択肢を奪う。それが絶対的存在であれば、なおさらである。
微妙な判定もあったかもしれない。だが、レフェリーの笛にアジャストすることは毎試合行わなければならないタスクであり、岸本自身も十分理解している。第3クォーターについて問うと、岸本は淡々と答えた。
「ジャッジは変えられないので。ただ、その前後でどういった傾向があったかは自分でもアジャストできる部分はあったと思います。次の試合ではそういうことがないようにしたいですし、同じような展開になったとしてもその時にできる最善のことはあります。それはベンチにいてもコートにいても関係ないと思っているので、今日のことをしっかり反省して次に生かしたいと思います」
[写真]=B.LEAGUE
「ベンチにいても」——その言葉に引っかかった。
岸本隆一という男は、コートに立ってこそ輝く選手だ。少なくとも私はそう思う。第4クォーターはコートに戻って追い上げをけん引し、最後のブザーが鳴るまで立ち続けた。GAME1ではプレッシャーのかかる最終盤に3本のフリースローを沈めて勝利をもたらし、「シーズンをとおして僕が責任を全うしないといけない」と述べた。
ケガでコートに立てなかった昨シーズンのチャンピオンシップを振り返れば、あと1勝が足りず準優勝。大会後、取材エリアに現れた岸本はこんな言葉で悔しさを表現している。
「自分はコートの中でいかに仕事ができるか、ということに対してとにかくこだわりを持っているタイプ。個人的にプレーできなかったってことに対しては何もすっきりしていない」
GAME2終了後の記者会見で、桶谷HCも岸本に対しての思いを語った。
「『キングスは誰のものでもない』という話をよくしますけど、とはいえ、隆一はBリーグが始まった時の開幕戦に出て、(現行制度では)Bリーグの最後の試合に出るということは、僕たちにとっても一番のストーリーになります。誰がなんと言おうと大黒柱だと思っていますし、昨シーズン出られなかった隆一のためにも優勝したい、今シーズンはコートで戦っている隆一もみんなのために優勝したい、やっぱりそういうチームのムードはあると思っています」
[写真]=B.LEAGUE
5大会連続でファイナル進出を果たしている琉球にとって、5月26日に行われる一戦は3年連続のGAME3となる。
「本当に簡単には終わらせてもらえない」。指揮官がそう吐露すれば、36歳の大黒柱も「まぁ、甘くないよなっていうのは純粋に思いました」と呼応するように思いを重ねた。
ストーリーの完結、10年の集大成という言葉や思いは岸本の頭の中にはない。「もう1試合できることに対して、純粋に喜びを持ってプレーすることが必要かなと思います」。
原点を忘れず、コートで輝き、優勝で証明する。それがMr.キングスの答えだ。
文=小沼克年