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2016.08.05

復興支援への熱き思いを示す場に

  • COLUMN

2016年4月14日に発生し甚大な被害をもたらした熊本地震。今も多くの方々が避難生活を送っているなか、被災地への支援を目的として8月24日(水)に東京・代々木第二体育館で『がんばるばい熊本 B.LEAGUEチャリティーマッチ』が開催される。そこでこの試合にどんな思いを持って臨むのか、主催するB.LEAGUEスタッフ、出場する選手の双方に伺った。

文・写真◎鈴木栄一

B.LEAGUEとしてやらないといけない活動が復興支援

 まず、B.LEAGUE事務局長の葦原一正は、2つの経緯から今回の復興支援試合が実現することになったと振り返る。

「まず、B.LEAGUE所属の熊本ヴォルターズの地元である熊本で震災が起きたことで、B.LEAGUEとして何か支援ができないかという声が自然と上がってきました。また、様々な社会的課題、社会問題に対して、B.LEAGUEは何ができるのかという議論はずっとされていました。そのなかで色々と考えた結果、まずはシンプルに復興試合をやろう、というのが実現に至った流れです」

 そして開催地が東京になった点と、出場メンバーについては「本当は九州でやることができれば一番よかったのですが、場所を見つけるのも難しい。そして早く開催したかったので8月に東京で行うことになりました。九州出身のB.LEAGUE選手は多く、本当に能力の高い選手が揃っています。メンバーを見ても強いチームだと思いますので、今回は九州選抜、B.LEAGUE選抜という提案をさせてもらいました」と述べている。

 また、葦原が今回の復興支援試合で強調したいのは、スポーツ団体であるB.LEAGUEだからこそできる、もしくはやるべき社会貢献をしっかり遂行する、ということだ。

「開幕戦は突き抜けたエンターテイメントにするつもりですが、復興支援試合はスポーツ団体としてやるべきことをきっちりやる試合になります。また、実際の試合でどんな支援を実施していくかなど、選手たちに意見を聞いて一緒に考えていきたいと思っています。」

「B.LEAGUEだからこそ、プロスポーツ選手だからこそできる社会貢献活動とはどういうものなのか、今回の復興支援試合はそういう部分での頭出しの場になると思います。何かアクションを起こすことに大きな意味がある。真面目なことを真面目に愚直にやっていくだけです」

震災のことを忘れて欲しくない、と伝えていきたい

復興支援試合には、熊本ヴォルターズの所属選手に加え、かつて熊本ヴォルターズに在籍していた選手たちも出場する。そのなかでも熊本への結びつきが強い選手の代表格といえるのが、小林慎太郎だ。熊本出身の彼は、ヴォルターズ創設1年目から在籍し、キャプテンも務めてきている。

「バスケットボールを通じて見ている方たちに楽しんでもらい、感動を与えられるようにしていきたい。シーズン開幕前の試合だからと遊び半分でやってはそれなりのものしかお客さんには伝わらない。だからこそしっかりとしたプレーを披露していく必要があります。僕自身としては、ゴールに向かう姿勢を見てもらいたいです」

「震災当初は、本当に食べ物がない、飲み物がないという過酷な状況だったのでバスケットボールどころではなかったです。それが今やっとバスケットボールを通して、バスケットボールをすることで何かができる状況になったと思います」

 このように今回の復興支援試合開催について語る小林は、地震発生当初から被災地を回り、支援活動を精力的に行ってきている。だからこそ、復興支援試合が地元ではなく、東京で開催されることについてのプラス面を語る。

「本当は熊本で、もしくは熊本に近い場所で試合を行うことが一番だと思いますが、県外の、それも日本の中心である東京で開催できることも大きいと思います。僕たちは今も被災地を訪問していますが、(特に被害の大きかった)南阿蘇や益城町に行くと本当に復興までまだまだだと実感します。しかし、東京ではメディアで報じられることもどんどん減っているのが現状だと思います。だからこそ、(日本の中心である)東京で試合を行うことで、被災地は当然のようにまだまだ復興途中であることを全国に発信し、この地震のことを忘れてほしくないと伝えていきたいです」

 出場メンバーについて「九州選抜は、顔なじみでほとんど知っている選手たち。九州に馴染みのある選手しか選ばれていないので、意義のあるものにできるはず。みんなも復興してほしいというつもりで参加してくれていることは間違いないと思います」と語る小林。さらに「僕にとっては、熊本ヴォルターズの一員としてこの復興試合に参加させてもらえることは本当に大きいことです」と続け、熊本ヴォルターズへの愛着を強調する。

「オフシーズンに入っての契約交渉の場で、チームの社長、GMに自分は熊本ヴァルターズになんとしても残りたい、だからこそ残れる条件を作ってほしいと伝えました。これはお金の話ということではなく、バスケットボールをプレーできる環境を何としても整備してもらいたいという意味です。熊本はB2からのスタートですし、いちアスリートとしてB1でやりたいという思いはありました。ただ、僕は熊本出身でずっとチームの主将であり、何よりも熊本への思いで残留を選びました」

 また、小林は、今回の試合では以下の点を表現していきたいと考えている。「1つはバスケットボールができる幸せ。この空間に一緒にいられる幸せを味わいです。地震が発生した時、僕たちは神奈川でリーグ戦の試合がありましたが、正直にいって試合を楽しめる気持ちではありませんでした。ただただ早く熊本に帰りたいという思いだけでした。その分、今回のチャリティーマッチでは、この幸せを感じ、感謝しながらプレーしたいです」

「2つめは試合に臨む姿勢です。今まで人のために頑張る姿勢というのを頭ではわかっていましたが、どう表現していいかわからないことがありました。それが今回の支援活動を通して、出せるようになったことを見て欲しいですし、表現していきたいです」

 そして最後に、被災地のことを“忘れてほしくない”ということが一番強調したいことだと締めくくってくれた。

「お客さんには、ただのイベントではなく、復興試合をやることで地震、被災地のことをもう1回しっかり思い出してほしいし、被災地の復興はまだまだだということを感じてほしいです。」

小林慎太郎(こばやし・しんたろう)

1985年6月27日生、184cm 83kg 熊本県出身

小林高校、東海大学を経て2008年にパナソニックトライアンズに入団。 その後、2013年のチーム創設1年目から熊本ヴォルターズに在籍している。