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川島悠翔のウインターカップ 1年生にして大会ベスト5の大物

2023.12.29

選手

川島は福岡大附大濠の一員として、ウインターカップ2021の優勝に貢献。1年生ながら大会ベスト5に輝いた 【月刊バスケットボール】

 

12/23から始まったウインターカップ。Bリーグで活躍する選手たちの多くがウインターカップで活躍した。そこで、12月20日~29日まで、連載「Bリーグ選手のウインターカップ」を連日公開。最終回の第10回は川島悠翔選手(福岡大附大濠高校/現:NBAグローバルアカデミー)を特集。

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 2005年生まれの18歳で、200cmの長身を誇るオールラウンダー・川島悠翔。昨年はU16アジア選手権、U17ワールドカップ、U18アジア選手権と3つの国際大会に出場し、いずれも日本のトップスコアラーとして活躍を見せた。3年生になる直前の今年3月に福岡大附大濠を中退し、オーストラリアにあるNBAグローバルアカデミーに編入。現在は世界から集まった有力選手たちとともに、さらなるレベルアップを図っている。今夏にはU19ワールドカップに出場して過去最高成績の8位に貢献。今秋のアジア競技大会においては最年少でA代表デビューを果たした。

 そんな将来楽しみな逸材が、高校界でその名を全国に轟かせたのが、1年生の頃に出場した2021年のウインターカップだ。

「入学して最初の方は、中学との違いに戸惑って全然うまくいきませんでした」と振り返るように、川島は1年時のインターハイまで思うように実力を発揮できず、シックスマンの立場だった。だが「ウインターカップが近付くにつれ、チーム内での自分の役割や強みが分かってきました」との言葉どおり、秋からスタメンの座を勝ち取ると、チームにとって欠かせない選手へと成長していく。

 そして迎えた、初めてのウインターカップ。県予選で福岡第一に敗れた大濠はノーシードからの出場だったが、岩下准平(筑波大)ら3年生がチームをけん引して決勝へと進出。そして川島の真骨頂が発揮されたのが、その決勝戦だ。

 相手は、鉄壁のディフェンス力を持つコネ・ボウゴウジィ・ディット・ハメード(日体大)を擁する帝京長岡。大濠の副島成翔(筑波大)がベンチに下がった時間帯、川島はコネにディフェンスでつかれることになった。そこで片峯聡太コーチは「川島は3Pシュートも打てますから、川島の1対1を起点に攻撃しようと思いました」と決断。川島に3Pラインやエルボー付近でボールをもらわせ、「コネ選手が離れていれば積極的にシュートを打って、出てくれば抜け」と伝えたという。

 すると川島はその期待に応え、1年生ながら冷静に状況を判断してプレー。外に出てきたコネをドライブで抜き、小さい選手がカバーに来ても強気でシュートをねじ込んでバスケットカウントを獲得したシーンもあった。終わってみればチーム最多の15得点。ロースコアゲームとなった大接戦を制する原動力となり、大会ベスト5にも選出された。

 片峯コーチは「川島は頭がいいです。決勝の舞台でもこうして落ち着いて、工夫や状況判断を試して成長しようとするところは大物ですね」と高く評価。川島自身も、大きな自信を付けた大会となった。

川島は各年代の代表にも選出され、現在は豪州にあるNBAグローバルアカデミーで研鑽を積む【(c)fiba.basketball】

その後、川島は「もっと1対1を極めて、中からでも外からでも安定して点を取れるようにしたいです」と優勝してなお貪欲に自らの成長を誓い、2年時にはより3Pシュートの確率を高めるべく猛練習。2022年のウインターカップはベスト8だったものの、プレーの幅を広げて個のスキルを大きく伸ばした。

 ハイレベルな実戦を通して状況判断力を磨き、真のオールラウンダーへと成長していった川島。後に「中学生の頃の自分は何も考えていない選手でしたが、高校では戦術なども入ってきて能力や1対1だけではないバスケットを学ぶことができました。そうした頭を使うバスケットはこれからにも生きるはず。大濠に入学して、本当に良い選択だったと思います」と振り返っていた。

文=月刊バスケットボール編集部

SoftBank ウインターカップ2023 令和5年度 第76回全国高等学校バスケットボール選手権大会 特設ページ

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