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『スタッツで見るBリーグ』“裏”4Factorsでディフェンスを数値化!

2024.01.16

選手

ディフェンス力で上位をキープするA東京【(C) B.LEAGUE】

文=しんたろう

昨年12月10日に公開された『スタッツで見るBリーグ』好調を維持するB1上位チームを4Factors分析!にて、勝利に必要な4つの要素「4Factors」を紹介した。それらは主にオフェンスのスタッツであったため、今回は「対戦した相手の」4Factorsを算出した“裏”4Factorsを使って、B1に所属するチームのディフェンス力を見てみよう。

“裏”4factorsとは?

・EFG%(実質シュート決定率)/OPPEFG%(対戦相手の実質シュート決定率)
勝利のために最も重要と言われているスタッツ。Bリーグ公式用語集によると、3Pシュートに比重(1.5倍)をかけて補正したフィールドゴール成功率。

・TOV%(ターンオーバー率)/OPPTOV%(対戦相手のターンオーバー率)
シュートを打てずに攻撃が終わってしまうことは最も避けたい結果だ。ターンオーバーの割合が高くなってしまうとシュートが打てずに相手に攻撃権を渡してしまうことになるため、TOV%は勝敗に大きく関わるスタッツである。計算式は「ターンオーバー数/自チームの攻撃回数」で求められる。

・ORB%(オフェンスリバウンド獲得率)/DRB%(ディフェンスリバウンド獲得率)
バスケットボールという競技において、シュートを打った本数が勝敗に直結することがある。シュート本数を増やすプレイの一つがオフェンスリバウンドである。ORB%の数値は、自チームの全オフェンスリバウンドシチュエーションにおける実際の獲得本数で計測できる。反対にディフェンスリバウンドは、相手のシュート本数を減らすことが出来るプレイだ。 

・FTR(フリースロー獲得率)/OPPFTR(対戦相手のフリースロー獲得率)
得点する確率が最も高いフリースローも、4つの指標に含まれる。決定率ではなく、「フリースローを獲得したこと」を評価している点は興味深く、相手のファウルトラブルなど付加的な要因も考えられている。

これらの4指標を見ることで、ディフェンスで勝利しているチームを見つけることができる。前置きが長くなってしまったが、早速ランキングを見てみよう。

 

失点ランキング

まずは、最も分かりやすいディフェンススタッツである「失点数」から見ていこう(Bリーグ公式サイト「OPPPTSPG」参照)。このスタッツは低い数値の方がポジティブであるため、上位に表現している。

順位 チーム OPPPTSPG
1位 A東京 65.4
2位 宇都宮 68.9
3位 FE名古屋 74.6
4位 秋田 75.3
5位 広島 75.5
6位 川崎 76.0
7位 三河 76.4
7位 佐賀 76.4
9位 SR渋谷 77.1
10位 琉球 77.2
11位 島根 77.4
12位 大阪 78.7
13位 三遠 79.0
13位 名古屋D 79.0
15位 群馬 79.5
16位 仙台 80.6
17位 横浜BC 80.9
18位 北海道 81.2
19位 千葉J 83.4
19位 長崎 83.4
21位 京都 83.7
22位 信州 84.5
23位 茨城 85.9
24位 富山 87.1

【(C) B.LEAGUE】

このスタッツを基準に以下のスタッツランキングを見ていこう。
 

OPPEFG%ランキング

順位 チーム OPPEFG%
1位 A東京 45.19%
2位 秋田 47.25%
3位 宇都宮 47.41%
4位 FE名古屋 47.94%
5位 三遠 48.19%
6位 佐賀 48.20%
7位 三河 48.77%
8位 広島 49.73%
9位 名古屋D 49.82%
10位 群馬 50.14%
11位 島根 50.34%
12位 大阪 50.89%
13位 仙台 50.96%
14位 川崎 51.20%
15位 琉球 51.39%
16位 長崎 51.65%
17位 横浜BC 52.72%
18位 千葉J 52.84%
19位 京都 53.06%
20位 信州 53.41%
21位 北海道 53.65%
22位 SR渋谷 53.72%
23位 茨城 54.38%
24位 富山 55.20%
リーグ平均 50.75%

※ネガティブなスタッツであるため、数値が小さいチームが上位となっている【(C) B.LEAGUE】

失点ランキング4強のA東京・宇都宮・FE名古屋・秋田は順位の変動こそあるものの4強を維持。気になるチームは三遠と川崎である。三遠は相手のショットを5番目に落とさせているにもかかわらず、失点ランキングは中位。反対に川崎は相手のシュート決定率はリーグ中位だが、失点ランキングはリーグ6位と好成績を残している。バスケットボールという競技特性上、相手のシュート決定率が失点の大小に直結するはずだが、この2チームは若干矛盾している。

OPPTOV%ランキング

順位 チーム OPPTOV%
1位 FE名古屋 20.1%
2位 宇都宮 19.3%
3位 群馬 19.0%
4位 川崎 18.7%
4位 長崎 18.7%
6位 A東京 18.3%
6位 千葉J 18.3%
8位 大阪 18.0%
9位 SR渋谷 17.7%
10位 北海道 17.5%
11位 三河 17.4%
12位 仙台 17.2%
13位 佐賀 16.9%
14位 広島 16.8%
14位 秋田 16.8%
16位 三遠 16.6%
17位 信州 16.4%
18位 横浜BC 16.3%
19位 名古屋D 16.1%
19位 島根 16.1%
21位 茨城 15.0%
22位 琉球 14.8%
23位 富山 14.3%
24位 京都 13.9%
リーグ平均 17.10%

※このスタッツは高い数値の方がポジティブであるため、上位として表現している 【(C) B.LEAGUE】

FE名古屋が20%台という高い数値で堂々の1位。12節終了時点でのスティールランキングTOP10に、ジェレミー・ジョーンズと川嶋勇人の2名がランクインしている。FE名古屋と対戦するチームは攻撃5回につき1回はターンオーバーをさせられてしまう計算だ。また、失点ランキングでは15位の群馬が3位と好位置につけている。

DRB%ランキング

順位 チーム DRB%
1位 A東京 74.33%
2位 川崎 72.91%
3位 仙台 72.80%
4位 琉球 72.62%
5位 北海道 72.49%
6位 三河 71.29%
7位 宇都宮 71.14%
8位 佐賀 70.82%
9位 名古屋D 70.76%
10位 茨城 70.52%
11位 三遠 70.45%
12位 島根 70.22%
13位 大阪 69.65%
14位 富山 69.59%
15位 千葉J 69.14%
16位 長崎 69.06%
17位 横浜BC 68.91%
18位 京都 68.62%
19位 秋田 68.54%
20位 SR渋谷 67.86%
21位 信州 67.61%
22位 群馬 66.56%
23位 FE名古屋 65.68%
24位 広島 65.43%
リーグ平均 69.88%

※このスタッツは高い数値の方がポジティブであるため、上位として表現している 【(C) B.LEAGUE】

【(C) B.LEAGUE】

失点ランキングTOP4のうち、A東京のみがランクイン。秋田とFE名古屋についてはリーグ下位に沈んでいる。「リバウンドを制するものはゲームを制する」という有名な格言が存在するが、現時点では失点に直接関係が無い可能性が示唆される。

OPPFTRランキング

順位 チーム OPPFTR
1位 川崎 21.60%
2位 宇都宮 22.05%
3位 茨城 22.63%
4位 広島 22.88%
5位 三遠 23.77%
6位 京都 23.81%
7位 三河 24.51%
8位 大阪 24.81%
9位 島根 25.38%
10位 横浜BC 25.63%
11位 琉球 25.84%
12位 FE名古屋 26.14%
13位 群馬 27.33%
14位 A東京 27.68%
15位 名古屋D 27.89%
16位 千葉J 28.06%
17位 富山 28.26%
18位 信州 28.53%
19位 SR渋谷 28.68%
20位 仙台 30.51%
21位 佐賀 30.88%
22位 秋田 31.60%
23位 長崎 32.08%
24位 北海道 35.86%
リーグ平均 26.93%

※このスタッツは低い数値の方がポジティブであるため、上位として表現している 【(C) B.LEAGUE】

【(C) B.LEAGUE】

川崎が1位、宇都宮が2位の結果となった。このスタッツはA東京が唯一平均を下回ったスタッツである。フリースローを獲得しやすいペイントエリアからのショットを増やし、ファウルを得る事がA東京に対する戦略の一つになりそうだ。


ここまでランキングを見てきたが、OPPEFG%が低かった川崎はその他のスタッツがTOP4に入っていることから高いディフェンス能力を示している。
また『スタッツで見るBリーグ』好調を維持するB1上位チームを4Factors分析!の記事で公開した内容も併せてみると、TOP8ランクインしているスタッツが4Factorsの方が多い琉球や三遠はどちらかと言えばオフェンスで地区1位をキープしており、反対に4Factorsでは1つのスタッツしかTOP8にランクインしていなかった宇都宮は、“裏”4FactorsではすべてのスタッツがTOP8に入っていることから、ディフェンスで勝率76%を維持していることが分かる。さらに合わせて7つのスタッツでTOP8入りしているA東京は勝率1位も納得の結果であった。

宇都宮は“裏”4factorsでトップこそないものの、各項目で高い数値を記録【(C) B.LEAGUE】

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