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『スタッツで見るBリーグ』ディフェンスから読み解くチャンピオンシップ

2024.05.10

選手

【(C) B.LEAGUE】

 

文=しんたろう

「オフェンスが客を呼び、ディフェンスが勝利を呼ぶ」

これはNFLに伝わる名言だが、バスケットにおいても当てはまることは多い。

例えば、NBAでは過去10年間において優勝したチームの70%は、ディフェンシブレーティング(守備効率指標)が上位10位以内に入っている。Bリーグに至っては、すべての優勝チームが上位5位以内だ。

今回は、そんなリーグ優勝のカギとなるディフェンスについて、チャンピオンシップ出場チームのシーズン平均スタッツと敗戦平均スタッツを比較。そのチームの傾向、強み、弱点を分析していきたいと思う。

ディフェンススタッツ紹介

今回使用するディフェンススタッツの意味と目的をまずは解説する。

DEFRTG(ディフェンシブレーティング):相手に100回攻撃された場合の平均失点。被攻撃回数が多いチームと少ないチームを100回という同じ回数で比較できるため、平均失点よりも実際のディフェンス力を表しているスタッツ。この数値が低いほど守備効率が高いチームと言える。

Opp2FG%(2ポイント被決定率):相手の2点シュート決定率

Opp3FG%(3ポイント被決定率):相手の3点シュート決定率

Opp3PTA%(3ポイント被試投割合):相手のシュート(フリースローになったシュートも含む)のうち、3ポイントが占める割合

Opp3PTA%(3ポイント被試投割合):相手のシュート(フリースローになったシュートも含む)のうち、3ポイントが占める割合

OppFTD%(フリースロー被試投割合):相手のシュート(フリースローになったシュートも含む)のうち、フリースローになったシュートが占める割合

OppPitP%(ペイントエリアでの失点割合):総失点のうち、ペイント内での失点が占める割合

OppFBP%(速攻による失点割合):総失点のうち、速攻での失点が占める割合

OppSCP%(セカンドチャンスによる失点割合):総失点のうち、セカンドチャンスからの失点が占める割合

OppPfT%(ターンオーバーからの失点割合):総失点のうち、ターンオーバーからの失点が占める割合

DR%(ディフェンスリバウンド獲得率):ディフェンスリバウンドが発生するすべての機会総数に対して自チームがディフェンスリバウンドを獲得できた割合

OppAST%:相手のシュート成功またはフリースロー獲得が、相手のアシストから生まれた割合

OppTOV%:相手の総攻撃数に対して、ターンオーバーを奪った割合

チーム分析

※ディフェンススタッツは下位の方がポジティブ(OppTOV%、DRB%を除く)

※スタッツは34節時点

東地区 宇都宮ブレックス

【(C) B.LEAGUE】

特徴:リーグで2番目に低いDEFRtgが表わす通り、強固なディフェンスチーム。 3ポイントシュートを多く打たせる傾向にあるが、被決定率はリーグで3番目に低く相手にタフな3ポイントを強いていることがわかる。3ポイントを打たせるということは、フリースローを与えにくいためこちらもリーグ16位。DRB%や、相手のターンオーバーを誘発させる割合も高くそもそも相手の攻撃回数を制限している。 セカンドチャンスから失点しているように見えるが、DRB%の高さからも分かる通り、セカンドチャンスからしか取られていないとも言えるだろう。

東地区 アルバルク東京

【(C) B.LEAGUE】

特徴:リーグで最もディフェンス効率が高いチーム。そのディフェンススタイルは一貫しており、リーグで最も2ポイントを打たせ、リーグで最も3ポイントを打たせないチームである。 アシストからの失点も少ないことから、ピック&ロールではハンドラーのタフショットを誘発させる、ないしはペリメタショットなど難しい2点を強いている傾向がある(ペリメタによる失点割合はリーグ6位)。速攻による失点割合が低いにも関わらずOppPitP%が高い傾向にあるため相手のハーフコートオフェンスを自分たちのディフェンスで守ることができている(速攻はPitPとなる割合が高い)。 DRB%もリーグ1位と高く、OppSCP%も低く抑えられていることから相手の攻撃をシュート1回で終わらせている。

東地区 千葉ジェッツ

【(C) B.LEAGUE】

特徴:DEFRTGが12位と低く見えるが、ロスターがケガから復帰し連勝が始まったシーズン後半戦においてDEFRTGが106(上位9位圏)まで下がるため、ディフェンス効率が低いチームだと判断するのは早計である。 ただ、ディフェンスよりもオフェンスで勝っているチームと言わざるを得ない。相手に良い3ポイントを打たれているという傾向はシーズン通しての傾向 (Opp3TA%高、Opp3FG%高)。さらに、OppFTD%が高い点にも注意が必要で、低く見えるOppPitP%はフリースローを与えているため低くなっている可能性も見えてくる。意外にもDRB獲得率がリーグ下位圏に位置している。

中地区 三遠ネオフェニックス

【(C) B.LEAGUE】

特徴:ディフェンス効率はリーグ7位。強固なディフェンスではあるものの、リーグ順位から考えると、どちらかと言えばオフェンスで勝つチームと言える。 傾向としては2ポイントを多く打たせるチームで、総失点の49%をペイントエリアから奪われており、Opp2FG%も高めである。これは低めのDRB%からもわかるように、セカンドチャンスからの失点が多いことも要因だろう(オフェンスリバウンド後はリングに近いショットを打たれる傾向が強い)。 ただし、Opp3FG%は30.47%と元々打たせない上に決定率も低いため、3ポイントチームからすると恐怖でしかないディフェンスである。

中地区 シーホース三河

【(C) B.LEAGUE】

特徴:過去数シーズンにわたるオフェンスチームの印象からは大きく変わり、リーグ6位の守備効率を誇るディフェンスチームへと変貌を遂げている。リーグで最も3ポイントを打たせるチームでありながら、その決定率も低く抑えられており、DRB%も高い。OppAST%が非常に高くネガティブに見えるが、現代バスケットにおいてはパスを受けてからの3ポイント試投の方がプルアップ3よりも多いため、そこまで問題ではない。 気になるのはOppFBP%で、平均して2桁を取られている。これは、速攻によってしかとられていないとも受け取れるが、下げきれないOpp2FG%の要因となっているだろう。

西地区 琉球ゴールデンキングス

【(C) B.LEAGUE】

特徴:DEFRtgは10位と、上位3チームに入っていた過去3シーズンと比較すると、若干オフェンシブなシーズンを送っている。相手に2ポイントを打たせる傾向にあり、OppAST%の低さから基本的には1対1に持ち込んでショットを打たせている。 多くの2ポイントを打たせているにも関わらず、リーグ18位というOppFTD%は特筆すべき点である(ペリメタショットを多く打たせている可能性が高いとも考えられる)。

西地区 名古屋ダイヤモンドドルフィンズ

【(C) B.LEAGUE】

特徴:リーグでは9番目にディフェンス効率が高いチーム。3ポイントを相手に多く打たせる傾向にあり、各種被決定率はリーグトップ10圏内の低さ。気になるのはリーグ下位のDRB%と伴って高いOppSCP%。さらに総失点の2割以上がターンオーバーからの失点となっており、ライブターンオーバーからの速攻を受けていることも読み取ることができる。これらは戦略の醸成によって改善する可能性を秘めているが、元々ディフェンスリバウンドを取りにくいゾーンDFを多用するためリバウンドを改善するためにどのような戦術を選択するかも注目である。

西地区 広島ドラゴンフライズ

【(C) B.LEAGUE】

特徴:昨季のオフェンシブな印象からは一転、リーグ5位のDEFRtgを誇るディフェンスチーム。リーグで2番目に3ポイントを打たせ、リーグで4番目に低い決定率に抑えている。 非常に高いOppTOV%を誇っており、ペイントエリアを封じ、誘ったキックアウトをスティールしているシーンも想像に難くない。意外にも(?)、DRB%がリーグ下位。セカンドチャンスと相手の速攻を抑えることができれば、リーグ中位のOpp2ptFG%を下げることができ、DEFRtgも向上するだろう。

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