【CS出場チーム紹介⑥】島根スサノオマジック「複数のビッグライナップを生かして頂点を目指す」
レギュラーシーズン上位8チームによる「りそなグループ B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2024-25」がいよいよ幕を開ける。本稿ではチャンピオンシップの出場チームを紹介。6チーム目は西地区2位でチャンピオンシップ出場権を獲得した島根スサノオマジックをピックアップする。
安藤誓哉、ニック・ケイのダブルキャプテンの二本柱とポール・ヘナレヘッドコーチ(HC)体制で4シーズン目は、西地区2位を確実にキープして昨シーズン逃してしまったチャンピオンシップ(CS)出場権を獲得した。今シーズンの一つの強みは機動力、フィジカル、どちらも対応できるバランス型のビッグラインナップを複数の形で組めることによる強固な守備力。マンツーマンが基本ではあるものの、ハーフコートゾーンの3-2や2-3、オールコートでも2-2-1や1-2-2を敷くことができ、そこからのマンツーマンへのチェンジングの守備戦術も相手のオフェンスを停滞させる要素となっている。
オフェンス面は平均10得点を超える選手が4名、続くエヴァンス ルークも9.9点となっており、ここでもバランスの良さが見て取れる。安藤の個での打開力に加え、津山尚大のスコアリングガードとしての台頭、晴山ケビンの高確率のアウトサイド、ビッグラインナップで生まれる相手とのミスマッチを利用するシーンも多い。また、チームとして抱えているフリースロー成功率の悪さに対しては、コティ・クラークの復帰が好材料。相手チームがハック戦術を取ったとしても、それをきっかけにボーナスの状況を作れば、フリースロー成功率の高い安藤、ケイ、クラークといった選手がそろう島根にとってはそこまで大きな問題にはならないだろう。
CSではジェームズ・マイケル・マカドゥを筆頭に、ディフェンスリバウンド獲得からのボールプッシュをチームとして徹底する時間帯は必ずや相手にとっての脅威となるはず。プレーの強度が1段、2段上がる中で、安藤のスキルフルな1on1がどのぐらい炸裂するかにも注目したい。クォーターファイナルは琉球ゴールデンキングス戦が確定しており、リーグ屈指のホームアリーナとファンのパワーを跳ね除けることができるのか。三度目となるCS、頂点への挑戦が始まる
◆KEY PLAYER/PG #3 安藤誓哉

司令塔の安藤がエースとしても島根をリードする [写真]=B.LEAGUE
年々強くなる各チームの“安藤警戒体制”をかい潜り、なおも得点力の高さを見せつけた今シーズン。ゲームメイクをより意識する必要のあったシーズン序盤から、より得点を意識する必要が出てきたシーズン中盤以降など、チームを勝たせるために自らに課した役割を乗りこなし、CSの舞台に返り咲く大きな原動力となった。
安藤の最大の魅力はドリブルスキルに加えて、身体の動き、目線など、様々な要素を織り交ぜたフェイクにある。そこからできるディフェンスのズレを利用し、プルアップの3Pシュート、ペイント近辺でのストップからのターンアラウンド、ステップイン、多彩なリム周りのフィニッシュとスコアのバリエーションも豊富だ。また、遅れたディフェンスからのファウルを引き脱す技術も非常に秀逸で、優秀なディフェンダー1枚だけでは守り切ることは困難を極めるだろう。
文=朴航生
構成=バスケットボールキング