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2025.06.25

【インタビュー】アンドレ・レマニス(アルティーリ千葉HC)──「考える人」として自身のコーチングを磨く

  • 月刊バスケットボール

アルティーリ千葉が誕生した2021年以来、指揮官としてチームを率いてきたアンドレ・レマニス。念願のB1昇格には 2024-25シーズンまで4年の月日を要したが、その間B3B2のレギュラーシーズンで通算19727敗(勝率.879/ホームゲームでは10010敗[勝率.909])、ポストシーズンで 137敗(勝率.632)という驚くべき成績を残している。勝利の数々とともに、悔やんでも悔やみ切れない敗北を乗り越えなければならなかった4年間を、レマニスHC はどのようにとらえているか、じっくり話を聞かせてもらった。

こちらのインタビューは『月刊バスケットボール2025年8月号』掲載の冒頭です。全文は誌面にてご覧ください。

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——バスケットボールとの出会いはどんなものでしたか?

私は、メルボルンの移民キャンプに渡ったラトビア系移民の両親の間に生まれました。いろんなスポーツの中でバスケットボールは人気があり、父はジュニアクラブのコーチをしていたんですが、そこでプレーする兄の様子を見て興味を持つようになりました。6歳の頃には自分でもやるようになっていました。

——バスケットボールに関して影響を受けた人物といえば?

父をはじめ、大勢います。選手としての実績がさほどない私をコーチングの世界に導いてくれたのは、所属チームのヘッドコーチだったブライアン・ゴージャン(東京2020オリンピックで銅メダルを獲得したオーストラリア代表のHC)です。オーストラリアで最高のコーチの一人といわれる彼が、「プレーヤーとして君と契約することはできないんだが、コーチとしての君は有望だと思う。もしやる気があるなら力になるぞ」と言ってくれたことが、私がこの道に入るきっかけでした。

プロのコーチがどんなものかを教えてくれたイアン・スタッカー(NBLで最優秀コーチ賞を2度受賞した名将)。オーストラリア代表を指揮した当時アシスタントを務めてくれたルーク・ロングリー(シカゴ・ブルズでマイケル・ジョーダンのチームメイトだったセンターとして有名)。いろんな人から学び、助けてもらいました。

——その結果、あなたはどんな人物になったと思いますか?

私は「考える人」だと思います。情報を吸収して決断を急がず平穏で公平な心で判断しようとする。チームにおいては、誰もが意見を聞いてもらえていると感じられるようにしたいですね。皆が持ち寄る経験と知識のそれぞれが、良いチーム作りの要素ですから、一人で威張って自己中心にならず、協調性の中でチームとして成功したいです。自分なりには決断力もあって、様々な状況にうまく対応してこられたと思います。性格的にはおとなしく静か。コーチングのスタイルも計画や計算をしっかり行うタイプです。

NBLでヘッドコーチになった当初、ベテランのコーチから「自分らしくすればいいんだ」と言われました。「無理して他の人格になるな」とね。「プレーヤーは本音で接しないとすぐにうそを見抜く。常に自分に正直でなければいけないよ」。そんな教えでした。人は誰でも他者から認められたいものです。「この人はきちんと見てくれているな」と思ってもらうためには、まずは自分に正直になることだと思っています。



©月刊バスケットボール

レマニスHCはオーストラリア・メルボルン出身で現在56歳。オーストラリア代表HCとして、2016年のリオ・オリンピックと2019年のワールドカップで母国を世界の4強入りに導いたほか、NBLでも王座獲得の実績を持つ。2021年にA千葉の初代指揮官として来日後は、1シーズン目にB3からB2に昇格すると以降3年連続でB2東地区優勝とリーグ最高勝率更新という好成績を残し、2024-25シーズンに念願のB1昇格とB2王座獲得(富山グラウジーズと同時優勝)を果たした。

レマニスHCは今回の取材で、過去2シーズンの心を打ち砕かれるような敗北を乗り越える旅路がB1昇格とB2王座獲得で報われたことを素直に喜び、初めてのB1挑戦となる来季に向けた抱負を語っている。「『もうできるわけないよ』と思ってしまってもおかしくなかったでしょう。でもこのチームは投げ出すようなことをせずにこの結果にたどり着く道筋を見いだしたんです」——そんな言葉で2024-25シーズンの激闘を振り返りながら、クラブ関係者とチーム、そしてA-xx(アックス=アルティーリ千葉ファンの愛称)がこの旅路に投じた情熱のかけらを拾い集め、以前にも増して強力なチームを作ったその過程を、日本の文化である「金継ぎ」に例えている。

ほかにもレマニスHCは、2024-25シーズン中のカギとなった流れや、B1での戦いに向けた展望など興味深い話を聞かせてくれた。ぜひ8月号でインタビュー全編もお楽しみいただきたい。



続きは『月刊バスケットボール2025年8月号』をご覧ください。