【B1クラブ展望/三河】「ショッキングな完敗から雪辱へ…継続路線で試される組織力」
2シーズン連続で辿り着いたチャンピオンシップ(CS)の舞台で、シーホース三河の選手とスタッフは文字通り大きな「カルチャーショック」を受けた。
エースの西田優大は「宇都宮さんのカルチャー、組織の強さが一枚も二枚も上手だった。ねじ伏せられた」と振り返り、キャプテンの須田侑太郎は「明確にあれ(宇都宮)を超えないと先がないということを見せつけられた」と語った。
敗退が濃厚となったCSクォーターファイナルのGame2終盤。西田と須田はコート上で「来シーズンのためにもやり続けよう」と話をしていたという。「気持ちは既に来シーズンに向かっていた。この2シーズンでチームが向かっている方向性は間違っていない。やり続けるだけ」(西田)。
その思いを持っていたのは、西田と須田だけではない。12人の選手が契約を継続したことがその証左だ。選手それぞれがステップアップし、戦術の成熟度を高めて、今シーズンこそ、クォーターファイナルの壁、優勝した宇都宮の壁を越えて、「6勝」を達成することを期する。
新加入は帰化選手のトーマス・ケネディと、ワシントン・ウィザーズでライアン・リッチマンヘッドコーチと共闘したアーロン・ホワイト。ともに昨シーズンは富山グラウジーズのB2優勝に貢献している。2人とも多くのチームを渡り歩いているため、早い段階でチームにフィットすることが期待できる。
継続路線でスタートダッシュが期待されたが、プレシーズンに行われた「AICHI CENTRAL CUP 2025(ACC)」ではまさかの最下位。新たなショックを教訓に、どれだけの危機感を持って準備してきたか、開幕戦が楽しみだ。
当面の課題はリバウンド。昨シーズンにチームトップの平均8.8リバウンドを記録したザック・オーガストが退団した上に、ACCで日本人ビッグマンのシェーファーアヴィ幸樹が負傷。シェーファーはACCの初戦で6リバウンドを記録しており、リッチマンHCも「今シーズンは彼にとって大きく飛躍するシーズン」と期待していただけに、離脱の影響は小さくない。序盤から「組織の強さ」を試されている。
◆■KEY PLAYER/SG・SF #13 須田侑太郎

今季は西田優大、石井講祐とともにトリプルキャプテンの一角を務める須田[写真]=B.LEAGUE
「リッチマンHCのもとで成長したい」と昨シーズン名古屋Dから活躍の場を移し、加入1年目ながらキャプテンとして、類まれなるリーダーシップでチームに一体感をもたらした。リッチマンHCも「彼のリーダーシップが私たちにいい影響をもたらしてくれました。いい時も悪い時もチームとして集中できるようになった」と絶賛する。
一方で、個人のパフォーマンスには須田自身も「満足していない」。勝負の2シーズン目、ACCでは持ち前のディフェンス力を活かしたスティールや高確率な3ポイントシュートで攻守に存在感を示した。らしさを取り戻したキャプテンが三河を高みへと導く。
文=山田智子