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2025.10.15

初勝利の裏に光った攻めの守備「成長できた」茨城ロボッツのルーキーが存在感

  • バスケットボールキング

◆■群馬戦で光った陳岡流羽の奮闘

 10月11日に行われた『りそなグループ B.LEAGUE 2025-26 SEASON』第2節のGAME1、茨城ロボッツはロバート・フランクス、タイラー・クックの2名が欠場という逆境の中で、延長戦の末に群馬クレインサンダーズを85-79で破った。フランクスが復帰したGAME2は56-76で敗れたが、キャプテンの長谷川暢はチームの可能性を実感していた。

「状況的には厳しかったですけど、逆にみんなが吹っ切れたことでGAME1のような試合ができたと思っています。群馬さんに勝てるということは他のチームにも勝つチャンスがたくさんあると思うので、次の試合も全力で勝ちにいきたいですし、チームとしてどんどん良くなっていければと思っています」

 群馬とのホーム開幕戦でけん引役となったのは、キャリアハイの28得点を挙げた駒沢颯、オーバータイムだけで10得点を稼いだ小島元基、そしてゴール下で体を張り続けたエリック・ジェイコブセン。彼らの活躍なくして初勝利はなかったといえる。しかし、22歳のルーキーの存在も、勝利の立役者として記憶されるべきだろう。

[写真]=B.LEAGUE

「彼はすごく頑張ってくれました。確実に成長していると感じています。今週末の試合はすごくタフなタスクだったと思いますけど、昨日は2メートルを超える外国籍選手たちを相手に体を張って守って、リバウンドも取ってくれましたし、今日の試合でもルーズボールにダイブして駒沢選手の速攻につなげてくれました。彼がたくさんハードワークをしてくれたからこそ、チームにいい流れを呼ぶことができたと感じています」

 群馬との連戦を終え、クリス・ホルムヘッドコーチは陳岡流羽の奮闘を讃える言葉を述べた。

◆■泥臭いプレーで存在感を発揮

 188センチながら93キロの体格を武器とする陳岡は、体を張った泥臭いプレーでの貢献が光った。GAME1では4本のオフェンスリバウンドを含む9リバウンドをもぎ取り、3スティールを記録。プレータイムは26分17秒に及んだ。GAME2でも約17分間コートに立ち、4リバウンド2スティールをマーク。第3クォーター終盤にはジェイコブセンのアリウープをお膳立てして観客席をどよめかせ、MIPにも選出された。

 敵地で行われた仙台89ERSとの開幕節では、陳岡の出場機会は2試合連続で10分未満にとどまった。「オフシーズンはめちゃくちゃ練習しましたし、夜まで体を動かす日々が2、3カ月続きました。だからこそ仙台戦であまりプレータイムがなかったことはすごく悔しかったですね」と本人は振り返る。

[写真]=B.LEAGUE

 それでも陳岡は「成長していないわけじゃない」と自分に言い聞かせ、ホーム開幕戦では守備でも“攻めの姿勢”を貫いたことが実を結んだ。

「チーム全員で取るしかない状況でしたし、積極的にリバウンドに入ろうという気持ちでプレーしたら何本も取ることができました。この2日間でも成長できた実感はありますし、だからこそプレータイムも必然的に伸びたのかなと思っています」

◆■飛躍の予感漂うルーキーの夜

 陳岡は昨シーズン途中に練習生から特別指定選手となり、今シーズンはプロ1年目として開幕からの戦いに挑む。昨シーズンの平均プレータイムが5分ほどだった大卒ルーキーにとって、群馬との初戦で得た出場時間はキャリアハイを大きく更新するものだった。

[写真]=B.LEAGUE

「あんなに試合に出られたのは初めてだったので、(試合後も)アドレナリンがずっと出ていたんですよ…。夜中も2時、4時、6時って2時間おきに起きてしまって、全然寝れなかったです。まだ若いので、体は疲労でバキバキだけど、気持ち的には早く試合がしたいというモードになっていましたね」

 苦笑まじりにルーキーならではの体験を明かした陳岡だが、最後は柔らかな表情で締めくくった。

「やっぱり試合に出られると楽しいっすね。60試合は相当長いと思うんですけど、楽しみです」

 地元出身の“フィジカルゥモンスター”は、すでにディフェンスや献身的なプレーで茨城に欠かせない存在となっている。今後は「得点面でも結果を残せるようになりたい」と話し、飽くなき向上心を胸にコート上で進化を証明していく。

文=小沼克年

【動画】ルーズボールに飛び込んだ…陳岡流羽の好プレー