富永啓生の3Pを完封「すごい楽しかった」群馬・中村拓人は“同郷ライバル対決”に感慨
◆■伝家の宝刀を封じ込めた守備
10月13日、B1第3節でレバンガ北海道と対戦した群馬クレインサンダーズは、99-72で快勝を収めた。今シーズンからBリーグに活躍の場を移した北海道の富永啓生は、ドライブなどで17得点を挙げたものの3ポイントのヒットはなかった。
B1初参戦でシューターとしての存在感を発揮していた富永を、今シーズン初の3ポイント成功0本に抑えた群馬。その守備について群馬のカイル・ミリングヘッドコーチは、個で対応するのではなくチームとして自分たちのディフェンスを遂行できたことが今回止められた要因の一つと振り返った。また、スイッチを駆使しながらも「しっかりガード陣が止めてくれたところは評価したいと思います」と、富永にマッチアップしたガード陣にも賛辞を送っている。
粘り強いディフェンスで富永の3ポイントを阻んだ場面もあった中村拓人は、ディフェンスをしっかり遂行したことが大勝につながったと評価。「ディフェンスからオフェンスにいい流れを持ってやれたというのが試合を通して良かった部分かなと思うので、チームとして準備してきたことをしっかりやれたのが一番良かったなと思います」とコメントしている。

富永は4試合連続2桁得点をマークしたが3Pは0/6本[写真]=B.LEAGUE
一方、北海道のトーステン・ロイブルHCは、富永について「どのチームも富永選手にはベストディフェンダーをつけてプレッシャーをかけてきます。彼はそこまでスペースがなくてもシュートを打てる選手ですが、今日はアウトサイドシュートが入っておらず、スリースローにつながる機会も少なく、あまりリズムを作れていませんでした」とコメント。しかし、そんな富永がチーム最多得点と他の主力選手たちも奮わず、チームとして選手間のサポートが足りなかったことも指摘した。
自身のプレーの状態は徐々に良くなっていると語る富永は、チームとして攻守で自分たちのリズムを作ることができなかったと反省しながらも、「そこさえ上手く作ることができれば、自分たちの武器をもっと発揮していけると思っているので、試合中に、早い段階で長い時間、もっと出していけるようにしなければいけないと思っています」と、次戦を見据えた。
◆■同郷のライバルが高校時代以来の対戦

[写真]=B.LEAGUE
また、一つのハイライトとなったのが、富永と中村による同学年のマッチアップだった。ともに愛知県の強豪である桜丘高校と中部大学第一高校でしのぎを削ってきた間柄。中村は高校時代以来の対戦に「彼も彼のストーリーがあって、僕も僕のストーリーがあって、この舞台で戦えるというのは個人的にすごい楽しかったです。やはり彼を乗らせないことが一番のキーだったと思いますし、もちろん彼にやられた部分もありますし、でも僕も負けてない気持ちもありましたので、そういったところでやりあえたことは非常に楽しかったので、今日のゲーム楽しかったというのが一番です」と、かつてのライバルとの再戦を噛み締めた。
Bリーグ1年目の富永も「これまでの6年間はアメリカにいたので、このような機会がなかったですが、今シーズン日本に帰ってきて、一緒にプレーしたことのある選手との対戦はすごく楽しみにしている部分もありますし、負けていられないという気持ちも強いので、プライドを持って臨んでいます」と明かした。

開幕前には3P成功率50%という目標も掲げていた富永[写真]=B.LEAGUE
NBA挑戦も目指し注目を浴びている富永だが、「今はこのチームで戦うことに集中しています。 自分のキャリアどうこうに関わらず、まずはレバンガをチャンピオンシップ(CS)に連れて行くこと、そのためにチームを勝たせることに集中して、それを実現することができれば、そこから色々なことが起きてくると思っています。そのためにも、まずは自分がチームにできることを考えて、目の前の試合に臨んでいます」と、あらためて北海道の一員として戦う意気込みを口にしている。
どのチームからも警戒される富永が、今後スコアラーとしてどのように開花していくのか。そんな富永の3ポイントをチームディフェンスで封じた群馬がこれからどのような躍進を見せるのか、目が離せない。
【動画】富永啓生を徹底マークで封じ込める中村拓人