千葉ジェッツが劇的勝利で開幕6連勝、好調キープの渡邊雄太が語る昨シーズンとの違い「今年はイメージ通りに身体が反応している」
「こういう勝ち方をできたのはすごく大きいです」
10月18日、千葉ジェッツはホームで群馬クレインサンダーズと対戦。終了間際にディー・ジェイ・ホグのプットバックで勝ち越し、80-79と劇的な勝利を収めた。
千葉Jは第1クォーターだけで8つのオフェンスリバウンドと、ゴール下で優位に立って主導権を握る。だが、第2クォーターになると、群馬がこのクォーターでエージェー・エドゥ、ヨハネス・ティーマンの両ビッグマンで18得点とペイント内を支配することで反撃する。
後半に入っても僅差のまま試合は推移していく中、千葉Jは残り1分11秒、ここまで不発だった富樫勇樹がさすがの決定力で3ポイントシュートを沈めて勝ち越すも、残り12秒にケリー・ブラックシアー・ジュニアにバスケット・カウントを決められ再逆転を許す。迎えた千葉Jのラストオフェンス、渡邊雄太の放った3ポイントシュートは外れ、さらにリバウンドを押し込んだ富樫のシュートも外れてしまう。しかし、このこぼれ球をホグがダンクで叩き込んで激闘に終止符を打った。
千葉Jのトレヴァー・グリーソンヘッドコーチは「今日みたいな思い通りにいかない試合でも、チームとして最後まで我慢強く戦ってくれました。イージーシュートを外しても頭を下げるのではなく、すぐに気持ちを切り替えて戦い続け最後に勝つことができてよかったです」と、逆境を乗り越えた選手たちを称える。
千葉Jの渡邊は14得点5リバウンドを記録。シュートタッチは悪かったが、得失点でチームトップのプラス6が示すように、攻守にわたってポジティブな影響をもたらし勝利に貢献した。
「本当にタフな試合で、ああいう形で逆転された後で勝つのは難しいですが、最後まであきらめなかったことがディージェイのプットバックダンクに繋がったと思います。こういう勝ち方をできたのはすごく大きいです」
こう語る渡邊は、逆転のプレーを次のように振り返る。「勇樹に本来は打ってもらいたかったですが、激しいマークを受けたのであの場面は僕が打つしかなかったです。(残り5秒で打ったのはショット)クロックギリギリで打って外すことを一番やりたくなかった。最悪シュートが外れ、オフェンスリバウンドを取れなくても、そこでファウルをして相手にフリースローを与えた上で、自分たちの攻める時間は保持したかったからです」
「そのため崩れた体勢でしたけど、シュートを打ち切ることを重視しました。その後、勇樹のオフェンスリバウンドは中々見ることがないと思いますけど、彼のオフェンスリバウンドに行く意識が最後のディー・ジェイのダンクに繋がった。自分たちが逆の立場だったらボックスアウトを徹底しないといけないとあらためて感じました」
「なんとしても勝ちに行く気持ちで立ち向かえている」
これで千葉Jは開幕6連勝。スタートダッシュに成功したが、渡邊の貢献度は大きい。昨シーズンは開幕2試合目で負傷退場し、その後も故障離に苦しんでいたことを踏まえ、「まず、2試合目を健康に終えられた時点で、去年の自分を一旦は超えられたとプラスに捉えています」と渡邊は語ると、このようなメンタルで臨んでいると明かす。「ただ、ケガはバスケットをやっている以上、必ずついてくるものであまり考えても仕方ない部分はあります。今は健康でいられることをありがたく感じますし、60試合なんとか出場したい気持ちがあります」
今夏、渡邊はこれまでずっと参加していた日本代表への参加を見送り、一から身体を作り直すためトレーニングに専念していた。そして、この成果を次のように見ている。「去年は2戦目でケガをして、そこから復帰してもパフォーマンスが上がってこない焦りがありました。それがプレーにも悪影響を及ぼしていたと思います。また、自分のイメージに身体が全然ついてこなかったです。『ここで動ける、飛べる』というところで反応がワンテンポ遅れていたのが、今年はしっかりとイメージ通りに身体が反応している。それが夏のトレーニングの成果だと思います」
また、シーズン開幕前にインタビューした際、「昨シーズンはいい子ちゃんになりすぎていました」と反省したメンタル面についても、「一番は落ち着いてプレーできています。そして、目の前の相手に対して、なんとしても勝ちに行く気持ちで立ち向かえている。ここも緩めずに継続してやっていきたいです」と手応えを感じている。
今の渡邊は、1年前と比べ心身ともに充実した状況でプレーできている。ただ、「本来こうでなければいけないです。去年はあまりにもひどすぎました」と本人に満足感はない。NBAの過酷な世界で6シーズンに渡って戦い抜いた彼の本来の力が発揮されるのはまだまだこれからだ。