チケット購入
2025.10.23

A東京・大倉颯太「もっと任せてほしい」連勝の裏で見せた飽くなき向上心

  • バスケットボールキング

◆■苦境を越えてつかんだ3連勝

「秋田戦の1勝が非常に大きかったです。選手たちは少なからずプレッシャーを感じていたと思いますので、秋田戦で勝利できた結果がこの3連勝につながったと思っています」

 開幕4連敗。東アジアスーパーリーグ(EASL)を含めると、アルバルク東京は5試合連続で勝ち星をつかめなかった。しかし、『りそなグループ B.LEAGUE 2025-26 SEASON』B1リーグ戦第3節からホームで3連勝。巻き返しの狼煙を上げた。

 デイニアス・アドマイティスヘッドコーチが強調した秋田ノーザンハピネッツ戦を経て、第4節では茨城ロボッツから2勝をもぎ取った。茨城とのGAME2は、延長戦に持ち込んでの薄氷の勝利。最終的には94-84で決着がついた。

「勝ちきれたことにはホッとしていますけど、僕らの目指している場所に行くためには今日のような内容でいいのか、という思いもあります」。大倉颯太は勝利に安堵しながらも、より質の高い試合を求める言葉を口にした。

 開幕からケガ人が相次いでいるチーム状況において、大倉のコンディションは良好だ。茨城とのGAME2では第4クォーターに3ポイントシュートと延長戦に持ち込む引き金となったリバウンドを奪い、「今日に関してはすごくポジティブな印象」と自身のパフォーマンスを振り返った。

 しかし、プレータイムは15分17秒と決して多くなかった。茨城戦から復帰したテーブス海は「プレータイムをコントロールしていた」(アドマイティスHC)が、最終的には約26分間の出場。第4クォーターとオーバータイムでも大半の時間コートに立ち、3連勝へ導いた。

◆■もどかしさの裏に燃える闘志

第4節終了時点では自己最長となる1試合平均18分5秒のプレータイムを獲得[写真]=B.LEAGUE

 A東京の攻撃を操るテーブスの復帰は紛れもない朗報である。それは同じポジションの大倉にとっても変わりない。ただ、自身の調子の良さを実感しているだけに、大倉はもどかしさをにじませた。

「もっと任せてほしい。もっと出してくれよっていう思いもあります」

 大倉自身、アドマイティスHCとの信頼関係はまだまだ発展途上という感触がある。だからこそ、1つの試合、1つのプレーで自分の価値を証明し続けなければならない。「いいパフォーマンスを続けていかなきゃいけないですし、それを積み上げていくことで信頼をもっと得られるのかなと」。指揮官からは日々の練習から「厳しい言葉をもらっている」と大倉は言う。けれど、叱咤の裏にある期待も確かに汲み取っている。

「それくらい信頼を置かれている、期待されていると感じていますし、成長できている部分もあります。チーム全体のミスはやっぱりガードの責任ですし、コーチに不満があるというわけではなく、自分の良さをもっと出して信頼を勝ち取っていきたいです」

◆■司令塔として挑み続ける覚悟

指揮官からも大きな期待を寄せられている[写真]=B.LEAGUE

 A東京での2年目を迎えた大倉が自負する強みは、洗練されたゲームコントロールだ。「40分間の中でホットな選手を見つけたり、逆に選手をホットにさせたりすることができる」とチームの歯車を加速させる26歳は、これからも「アルバルクのポイントガードとしてチームを勝たせること」に全力を尽くす。

 そんな大倉に対し、アドマイティスHCも「開幕から安定してチームを引っ張ってくれていますし、今後は今以上にリーダーシップを発揮してほしいと思っています」と期待を寄せる。

「今シーズンは本当に僕がステップアップしなきゃいけないと思っています。これからも失敗を恐れずにチャレンジし続けて、もっとやれることを証明したいです。シンプルにそれが優勝につながると信じているので」

 大倉は静かに、強い意志を込めて語った。3連勝の喜びに浸ることなく、圧倒的な勝利を求め続ける。その貪欲さこそが、A東京を優勝へと押し上げる原動力となる。

文=小沼克年

【動画】延長にもつれた…A東京vs茨城GAME2のハイライト映像