大塚裕土(アルティーリ千葉)が今季限りでの引退を発表
アルティーリ千葉のキャプテンを務める大塚裕土が、10月29日に千葉ポートアリーナで行われたアルバルク東京戦後に会見を行い、今季限りの引退を発表した。
現在38歳の大塚は、クラブ創設初年度の2021-22シーズンからA千葉に加わり、初代キャプテンとして今季で在籍5年目を迎えている。「THE GREAT HISTORY BEGINS」というキャッチフレーズとともに「5年でBリーグ王座獲得」の大胆な目標を掲げたA千葉は、その間にB3からB2、B1へと昇格を達成。大塚個人も一昨季、昨季と2年連続でB2のベスト3P成功率賞を受賞するなど、キャプテンとしての重責を果たしながら、最大の持ち味であるショットメイクの能力をいかんなく発揮してきた。
プロキャリア16年目となる2025-26シーズンの大塚とA千葉は、クラブ創設当初の目標を達成できるチャンスとともにB1の舞台に立っている。その状況での突然の引退表明は、A-xx(A千葉ファンの愛称)を驚かせる知らせに違いない。しかし「1秒でも長くコートに立てるようにしっかり準備していきたい」と話す大塚は、今季の戦いに向けた意欲をこれまでと変わらず高く維持している。
昨季はスターターの座をチームメイトに譲り出場時間も大幅に減らしながら、レギュラーシーズン最終戦でベスト3P成功率賞をさらう活躍で、A千葉を57勝3敗、勝率.950というB2歴代最高勝率新記録樹立と念願のB1昇格に導いた。2020-21シーズン以来のB1の舞台となる今季は、この日まで出場機会が6試合で平均4分に満たないが、その中でも3P成功率は40.0%を維持している。
B2から昇格したばかりのA千葉は、この日のA東京戦にオーバータイムの末94-98で敗れ、その時点で4勝6敗と黒星が先行している。しかしここまでの10試合でB1の強豪クラブ、名門クラブ相手に粘り強く戦いながら、試合を経るごとに改善点を見つけては修正を重ねてきており、今後台風の目にもなってくる可能性もありそうだ。クラブ創設からの功労者の引退を受け、クラブ内の勝利に向けた意欲もさらに高まっているに違いない中、引退発表で内面的により研ぎ澄まされた状態にもなるだろう大塚が、A千葉をどのようにけん引していくかは、引き続き今季の大きな注目事項だ。

会見に登壇した新居代表(左)と大塚(右)
☆株式会社アルティーリの新居佳英代表取締役CEOコメント要約
アルティーリ千葉創設の2021-22シーズン、B3の時代からキャプテンとして、プレーヤーとして、チームの中心人物として引っ張ってきてくれた大塚選手は、「ミスター・アルティーリ」といっても過言ではありません。キャプテンとして新しくできたばかりのチームを引っ張ってくることには、とてつもない苦労があったと思います。その困難を一手に引き受けながらここまでリードしてきてくれた、本当にアルティーリになくてはならない柱のような存在だと思っております。
アルティーリ千葉は世界中のファンを魅了するクラブを作るというビジョンでスタートしました。大塚選手はこのビジョンに共感して、チームをどう作っていくかというところから一緒に議論をさせていただきながら、本日この場までアルティーリ千葉を作ってきた同志です。私としても引退は非常に残念で寂しい思いですが、彼の決断を尊重し、ここから先の今シーズン、我々としても彼を全力でしっかりとサポートしてまいりたいと思っております。また、引退後もアルティーリのファミリーとして、何らか一緒に関わっていければと思っており、また時期が来たらお話しさせていただければと思います。
☆大塚裕土コメント要約
アルティーリに創設から関わらせていただいて、きっとアルティーリで引退するんだろうなと常々考えていました。新居社長の下、このクラブが人々を魅了するクラブになれるように、毎年自分なりに一生懸命貢献してきたつもりです。今シーズンをB1で戦って引退という形になりますが、まだシーズンは始まったばかりですし、チームがステップアップできるようにできることを全力でやっていきたいと思います。
プロとして16年目、B リーグのいろんなクラブで経験を積ませていただいて、オールスターにも4回出させていただきましたし、川崎ブレイブサンダース時代には天皇杯で優勝もしました。本当にいろんなことがあったキャリアですけれど、自分は今まで学んできたこと全てをチームとクラブに還元して、このクラブで(キャリアを)終えたいと思いました。この決断を皆さんの前で発表できたことは本当に幸せで、感謝しています。
まだシーズンは始まったばかりなので、1秒でも長くコートに立てるように、日頃からしっかりと準備していきたいと思います。
——昨季、出場機会を減らしながら個人タイトルを取ってチームのB1昇格に貢献した後、現在はBプレミアでプレーできるチャンスもある状態で、なぜ引退の決断になったのか?
正直に言えばもう1年、Bプレミアが始まるシーズンにチャレンジしたい気持ちはありました。B2だとしても 2年連続で3P王のタイトルを取って、特に昨シーズンはベンチから出てきて平均出場時間14分程度でのタイトル奪取。普通ではあり得ないことができたと思います。
でも、今のチームで求められることと自分のパフォーマンスがなかなか噛み合わない現状で今季を戦い、レギュレーションも大きく変わるBプレミア入りを前にクラブが編成を決めるときまで待って、どうなるかわからない状況で「今シーズンが最後だったんだ」という形にはなりたくありませんでした。いい状態で辞めることを明かすことで、ファンの皆様にも 1 年間「このシーズンで引退する」とういう思いを持って見てもらえるかなと。家族にも、新居社長や北舘洋一郎GM 、代理人にも相談させていただいて、自分の意思でこのクラブを最後に引退したいと伝えました。