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2025.11.04

川崎ブレイブサンダースの新星、岡田大河が2試合連続2桁得点も反省しきりの理由「勝たないと自分が目指すガードの仕事は果たせない」

  • バスケット・カウント

岡田大河

「チームスポーツだけど1人で変えられる状況もある」

川崎ブレイブサンダースは111日、2日とホームで長崎ヴェルカに連敗を喫した。2試合とも90点以上の大量失点と、リーグ1の破壊力を誇る長崎のオフェンスを止められず力の差を見せつけられた格好となった。

現在、リーグ下位と低迷中の川崎だが、この連戦で光ったのは岡田大河のステップアップだ。15歳からスペイン、フランスと欧州のバスケットボール強国で活動していた21歳の若者は、開幕直後のチーム合流という難しい状況ながら、試合を重ねるごとに着実にチームメートとの連携を向上させている。この2日間はゲーム1、ゲーム2ともに13得点を挙げるなど、攻撃の起点として活躍。長崎のモーディ・マオールヘッドコーチもゲーム2終了後、「岡田選手は素晴らしく、彼のところからいろいろとチャンスを作られました」と語っていた。

岡田はゲーム2を次のように振り返る。「出だしで相手がシュートを決め切ったことで悪い流れで試合に入ってしまいました。練習から強く意識しているチームで我慢強くプレーすることができて、自分たちのスタイルを貫くことで接戦に持ち込むこともできましたが、後半は大事なところでシュートを決め切れなかったり、ターンオーバーが出てしまった。自分もゲームコントロールがうまくできず、きれいな形でのシュートで終われなかったです」

特にゲーム2の岡田は、これまでの自己最多17分を大きく上回る27分出場、13得点に加え5アシスト4リバウンドとエースガードとして川崎をけん引した。しかし、多くの時間コートに立っていたからこそ、岡田は敗因として矛先を自分に向ける。2試合連続2桁得点について聞くと、「プレータイムが増えたことも関係していると思います」と語るにとどまり、「結局チームは勝てていない。チームが勝たないと、どれだけスタッツが伸びても自分の目指すガードの仕事を果たしていないと思います」と反省しきりだった。

「バスケットはチームスポーツで、1人の力だけでチームを大きく変えることはできないです。ただ、プロの世界では1人で変えられる状況もあります。そこはしっかりと責任を感じて今後に繋げていきたいです」

岡田大河

「『若いから』という言い訳はしたくない」

ゲームコントロールを担う司令塔として、開幕前にチームメートと練習する時間を積めなかったことの難しさはある。だが、岡田はこれを言い訳にするつもりはない。「合流が遅くなったことは関係なく、『自分が変えてやる』という気持ちで遠慮せずに自分を出していきたいです。『誰よりもやるんだ』という気持ちをしっかり持ち、自分自身にプレッシャーをかけたことが今節は良い形で現れたと思いますが、結局チームは勝っていない。勝たせるためにしっかりと自分を見つめ直したいです」

今回の活躍もあり、21歳の岡田は『リーグを代表する注目の若手』というくくりで取り上げられることが増えていくはずだ。しかし、岡田は「いろいろな方に『21歳は若い』と言われますが、コートに入ったら年齢は関係ないです」と、年齢が自分の評価に組み込まれることをよしとしない。

「元々いた海外のチームの仲間たちはいろいろな場所でプレーしていて、良い刺激をたくさん与えてもらっています。自分も今の環境に甘えずやらないといけない。上には上がいますし、常に目標高く貪欲にやることは、今までの指導者の方たちから学んできたことです。そこは自分のスタイルを貫き通したいです」

だからこそ岡田は「『若いから』という言い訳はしたくない。Bリーグで結果を出しているトップの選手と同じ扱いをされるようになっていきたいです」と言い切る。

ゲーム2の後半、長崎はリーグ屈指のディフェンダーである馬場雄大を岡田のマークにつけ、止めにきた。岡田はこれを「(馬場が)自分についてくれたのは良い評価をしてもらった部分もあると思います」と振り返ると、「その中でもっと見せたかった。『この選手に守られたら思うようにプレーできない』となったら自分は終わりだと思っています。誰に守られてもコンスタントに活躍できるようにならないといけない」と、リーグ随一のディフェンダー相手に持ち味を発揮できなかったことへの悔しさを露わにする。

2023-24シーズンにニック・ファジーカスが引退した後、川崎はかつての常勝チームからリーグ下位へと苦しんでいる。ファジーカスは引退試合で「僕自身は川崎、日本代表でもずっと勝ちにこだわってきました。これまでと同じく勝ちに貪欲なチームであり続けてほしいです」とメッセージを送っていた。ファジーカスが作り上げた『勝利への飽くなき追求』という川崎のレガシーをなんとか紡いでいくためにも、『チームを勝たせる』、ただその一点に全身全霊を捧げる岡田の存在は頼もしい。