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2025.12.22

元チームメートとの対戦で連勝を飾った広島ドラゴンフライズのドウェイン・エバンス「楽しむ気持ちだったが、ただバスケをするだけ」

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ドウェイン・エバンス

朝山HC「エバンスの気持ちの強さはリーグの中でトップクラス」

この2勝の価値は、ただ勝利数が+2となっただけではない。どの試合も負けられない重要なものだが、広島ドラゴンフライズにとって今節の連勝は再浮上のための大きな2勝となった。

1221日、広島はアウェーで群馬クレインサンダーズと対戦。前日の第1戦は65-88と大勝し、この試合でも終盤の勝負強さを発揮して76-83で連勝を果たした。

序盤は拮抗した展開となったが、第2クォーターの入りから群馬に10-0のランを許した広島は、後半からディフェンス強度を上げて第3クォーター中盤で逆転に成功。最終クォーターの残り216秒に5点差まで詰め寄られて最終盤の時間帯を迎えたが、固いディフェンスで群馬のミスを誘発して、我慢の勝利を手に入れた。

広島の朝山正悟ヘッドコーチは、チームを讃える。「アウェーで2連勝するのは本当にタフなことですし、今日は群馬さんの気持ちが入っていて、自分たちが受け身になってしまった部分がありました。その中でもしっかりと我慢をして、選手たちが体現してくれました」

選手の奮闘だけでなく、この試合に向けて『群馬対策』を練ったコーチ陣にも感謝の言葉を忘れない。「コーチもこの試合に向けての準備や対応をして、しっかりとチーム全員で戦った結果での勝利でした」

特に群馬の攻守のカギとなるケリー・ブラックシアー・ジュニア対策は勝因の1つとなった。第1戦では27得点を許したものの、この試合ではファールトラブルに追い込み、13得点に抑えた。指揮官はブラックシアー・ジュニアとマッチアップする機会の多かったドウェイン・エバンスを高く評価する。

「彼は自分よりもサイズのある選手に対しても戦う気持ちを見せてくれます。もちろん身体の強さもありますが、その気持ちはリーグの中でトップクラスです。彼がやってくれたことが、連勝できた大きな要因です」

エナジーあふれるプレーは、チームにも良い影響を与えたと朝山ヘッドコーチは続ける。「伊藤達哉もですが、周りに伝染するようなプレーをスタートの選手がしっかりと出してくれました。目に見えないところでもチームに大きな影響があるので、自分たちがやらなければいけないところをしっかりと示してくれたのは評価できることです」

ドウェイン・エバンス

「得点できない時でもディフェンスのエナジーは大事」

エバンスのスタッツは3119秒の出場で、15得点7リバウンド3アシスト1スティール。現在、群馬はスモールフォワードのトレイ・ジョーンズがインジュアリーリストに登録されており、ウイングポジションでのアドバンテージをエバンスとクリストファー・スミスで得た。特に勝負所となった最終クォーターだけで、2本の3ポイントシュートを含む4本のフィールドゴールをすべて成功させて10得点を挙げた勝負強さは光った。

しかし、エバンスはディフェンスの奮闘が勝利に繋がったと試合を振り返る。「自分が得点できない時でも、ディフェンスのエナジーは大事なものです。それがしっかりできてよかったです」

現在、群馬に所属するカイル・ミリングヘッドコーチをはじめとしたコーチ陣、辻直人や中村拓人、ブラックシアー・ジュニアは、かつて広島で共に戦った仲間だった。特に中村とブラックシアー・ジュニアは昨シーズンまで長く一緒にプレーをして、Bリーグ優勝やEASL(東アジアスーパーリーグ)制覇を経験している。

エバンスは彼らとの初対戦を楽しみにしていたと話す。その関係性は、エバンスにとってやりやすいのか、やりにくいのかと問うたが、意に介さない様子で笑顔で「ただバスケをするだけでした」と続けた。

広島はコフィ・コーバーンの欠場もあり、中断期間明けから前節までの5試合を14敗と負け越していたが、今節の連勝で再び浮上の兆しを見せた。チャンピオンシップ進出のボーダーラインにいた群馬との直接対決で連勝して、チャンピオンシップ圏内まで2ゲーム差と射程圏だ。

エバンスは今節の連勝をきっかけに戦績を上げていくと意気込む。「良いチーム相手にアウェーで連勝できたのは良いことでした。これからも連勝できるように頑張っていきたいです」

シーズンの成績は1411敗。メイヨ ニックの帰化やスミスの獲得など、オフの間に充実のロスターを揃えて挑んでいるが、思い通りに成績は伸ばせていない。しかし、シーズンは半分も経過していない。今節で見せたディフェンス強度や勝負強さを発揮できれば、上位も十分に狙える力は備えている。そのためにエバンスの奮闘は不可欠だ。