バスケットLIVE
2026.05.07

千葉ジェッツ西村文男、最後のCSへの思い「苦しい経験をしてきたからこそ大事な場面で力強く戦えるんじゃないか」

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西村文男

「ああいう感じなのも僕らしいなと思いました」

千葉ジェッツは5月2日、3日のレギュラーシーズン最終節で、アルティーリ千葉との千葉ダービーに連勝。ここ12試合で10勝と勢いに乗った状態で、Bリーグ誕生から全出場となる9回目のチャンピオンシップを迎える。

今シーズン限りでの現役引退を表明している西村文男にとって、3日はレギュラーシーズン最後のホームゲームとなった。勝敗の決した残り13秒で西村がこの試合初めてコートに立つと、1万人を超えるLaLaアリーナの観客が大歓声で迎え入れた。

A千葉のポゼッションで始まったが、ナシール・リトルがスティール。そのまま敵陣へと進んだリトルは自らシュートを打つことはせず、後方から走ってきた西村にラストショットを託す。だが、西村は試合終了のブザーの前に放つことができず、遅れて放ったシュートは惜しくも外れた。

この場面を西村はこう振り返る。「ディフェンスだったので、そのまま終わると思っていました。それで(自分にボールが回ることはないと)リラックスしていて、試合後にディー・ジェイ(ホグ)に『なんで走らないんだ』って怒られちゃいました(笑)。前に進んでいる選手がシュートを打つタイミングで後ろを振り向くのは初めて見ました。それを含めてみんなの感謝の気持ちだと思います。走れば良かったですが、ああいう感じなのも僕らしいなと思いました」

千葉ジェッツ

「チームでやろうという時間が伸びてきたのは良いこと」

千葉Jは4月1日のシーホース三河戦、出だしから攻守に精彩を欠いて完敗を喫した。この時、西村は「一人ひとりが試合中に『バスケットボールはチームスポーツ』ということに気づいたほうが良い」と、まとまりに欠けたチームを評していた

改めて当時の思いを尋ねると、西村は「単純に『今のままではCSも出られないだろう』という危機感から話しました」と明かす。だが、そこからチームは一体感を高め、東地区2位でクォーターファイナルのホーム開催と良い流れでチャンピオンシップを迎える。約1カ月前のどん底状態との違いを聞くと、「個人の意識の問題と思っています。最近はCSに向けてスイッチが入ってくれています」と答えた。

「これまでは『やる気のスイッチ』ではなく、『チームとしてみんなが一つになるスイッチ』が入る時と入らない時がありました。それが最近は少しずつ、チームでやろうという時間が伸びてきたのは良いことだと思います」

シーズン開幕から破竹の10連勝と最高のスタートを切りながら、ゴール下の要であるジョン・ムーニーの離脱などさまざまな困難を乗り越え、千葉Jは今年もチャンピオンシップの舞台へとたどり着いた。

西村は今のチーム状況について「10連勝した時にみんなが描いていたチーム像とは全然違うと思っています」と語る。だが、それは現状を悲観しているわけではない。「だからといって僕は今のチームで勝てないとは思っていないです。前回リーグ優勝した時(2020-21シーズン)も、レギュラーシーズンでは中々にひどい内容の試合がありました。山あり谷ありで、苦しい経験をたくさんしているチームの方がもしかしたら底力はあって、CSの大事な場面で力強く戦えるんじゃないかという期待もあります」

そしてチーム在籍12年目を迎える『超Mr.ジェッツ』は、現役最後のチャンピオンシップへ向け「(レギュラーシーズンで)あまりうまくいかない時が多かったからこそ、どうなるんだろうなっていうワクワク感もある感じです」と締めくくった。

チャンピオンシップで西村がコートに立つのは勝敗が決した場面のみかもしれない。だが、彼の豊富な経験と卓越した戦術眼に裏付けられた知見は、間違いない千葉Jの大きな戦力だ。最後の舞台でも西村はチームにとって唯一無二の頼りになる存在としてチームを支えていく。