CS準決勝進出を決めた千葉ジェッツ、指揮官トレヴァー・グリーソン「勝利をもたらしたのはディフェンスとタフさ、それに闘志」
チーム復調のきっかけとなった4月の広島戦
千葉ジェッツはチャンピオンシップクォーターファイナルで群馬クレインサンダーズと対戦。渡邊雄太が脳震とうで欠場したゲーム1は68-87と大敗したが、渡邊が復帰したゲーム2は85-79、ゲーム3も72-68と激闘を制し、逆転でセミファイナル進出を決めた。
今シーズンの千葉Jは、開幕10連勝と文句なしのスタートを切り、その後も順調に白星を積み重ねていった。しかし、ゴール下の要であるジョン・ムーニーが右手首の靱帯損傷で12月28日の長崎ヴェルカ戦を最後に離脱すると、徐々にチームの歯車が崩れていく。
強豪との対戦が続くタフスケジュールも影響しているが、天皇杯とオールスターブレイク明けの1月24日以降から3月にかけて8勝8敗と、貯金を作れず。さらに4月1日のシーホース三河戦に完敗を喫すると、続く4月4日の広島ドラゴンフライズ戦にも競り負け、チャンピオンシップ出場も危ぶまれる状況となった。
だが、ここからチームの顔である富樫勇樹に変えて田代直希をスタメン起用する荒療治で、課題だった立ち上がりのディフェンスのテコ入れに成功。また、試合を重ねるごとにパフォーマンスを上げていた渡邊の存在などもあり、レギュラーシーズン最後の12試合で10勝と復調し、東地区2位となった。そしてこの追い上げで勝ち取ったクォーターファイナルのホーム開催によるファンの声援が、群馬との大熱戦を制する大きな助けとなった。
千葉Jのトレヴァー・グリーソンヘッドコーチは、立て直しのターニングポイントを「4月4日の広島戦でした」と明かす。「この試合で負けた後、チームでしっかり話し合いを行い、翌日の試合でどんなプレーをするかが重要でした。そして5日の試合、ケガ人もいる中で選手はずっと戦い続け、オーバータイムで勝利しました。そこから勢いに乗ることができました。ここから私たちは良いパフォーマンスを続けて貯金を増やしていくことで、チームをどんどん積み上げていけました」
今の千葉Jは指揮官の語る積み上げによって、持ち味である破壊力のあるオフェンスが不発に終わっても我慢を続けて接戦を勝ち切れるタフさを身につけた。グリーソンヘッドコーチはこう語る。
「この試合、私たちの3ポイントシュート成功率は25%でした。これではオフェンスで勝つことはできないので、他の勝つ方法を見つけないといけない。今回の勝利をもたらしたのはディフェンスとタフさ、それに闘志でした。もちろん1万人を超える素晴らしいファンの皆さんの後押しのおかげでもあります」
富樫の献身性を絶賛「勇樹の振る舞いは本当に重要」
そして、今の千葉Jは粘り強さに加え、西村文男がレギュラーシーズン最終戦後、「これまでは『やる気のスイッチ』ではなく、『チームとしてみんなが一つになるスイッチ』が入る時と入らない時がありました。最近は少しずつ、チームでやろうという時間が伸びてきました」と語ったようにチームの一体感が確実に向上している。
グリーソンヘッドコーチは、このまとまりを生み出す大きな要因として富樫のチームファーストの姿勢を称える。「勇樹は日本バスケットボール界屈指の偉大な選手です。それなのに彼は、個人のエゴを全く出しません。彼は真のプロフェッショナルとしてチームに活力を与えてくれています。チームが勝つには自己犠牲のプレーが求められ、彼は率先してそれを体現しています」
「もし、彼が『僕をスタメンから外すなんてあり得ない』と不満な態度を見せたら、他の選手たちもエゴを捨てそれぞれの役割を全うしようと思わなかったでしょう。勇樹の振る舞いはこのチームにとって本当に重要です」
セミファイナルの相手、長崎ヴェルカはリーグ最強の爆発力を備えている。千葉Jもリーグ屈指のオフェンス力を持っているが、ハイスコアな殴り合いになったら長崎に分がある。千葉Jが勝つには、クォーターファイナル第3戦で示したディフェンス、リバウンド、ルーズボールでの執着心を再現することが絶対条件となる。その上で、オーストラリアNBLで通算5度のリーグ優勝を達成した、短期決戦での実績十分な名将がどんな采配をするのか楽しみだ。

