プロレフェリーが過ごした充実の4日間…スキルアップを目的としたキャンプ初開催、B.LEAGUE節目のシーズンへ

【(C)B.LEAGUE】
B.LEAGUEは9月11日から14日にかけての4日間、日本バスケットボール協会公認プロフェッショナルレフェリーを対象としたキャンプを開催しました。
B.LEAGUEは独立行政法人日本スポーツ振興センター(以下「JSC」)と、スポーツくじWINNERの取り組みに加え、JBA公認プロフェッショナルレフェリーを中心とした審判支援、リスペクト精神の浸透を目指した新たなパートナーシップ契約を締結。その取り組みの一環としてキャンプが実施され、「FIBA ユーロバスケット2025」へ派遣されていた加藤誉樹レフェリーを除く8名のプロレフェリーが参加しました。

【(C)B.LEAGUE】
キャンプ1日目は座学とカンファレンス。座学では江原潤氏を招き、レフェリーに必要不可欠なコミュニケーションの本質、物事を論理的に考えるロジカルコミュニケーションなどについて学びました。その後、講義を踏まえて実戦形式でディベートを実施。『コンビニの深夜営業』をテーマに「なくすべき」、「なくすべきではない」の2グループに分かれて、それぞれの結論をもとに、理由や事例を挙げ、限られた時間で意見を交換しました。

【(C)B.LEAGUE】
プレーヤーとレフェリーの経験があり、現在は高校バスケットボール部の監督も務める江原氏は「(レフェリーの皆さんは)スピーディーに考える力があり、考えることが習慣化されている印象を受けました。とても積極的で、私自身も楽しかったです」と感想を語り、「レフェリーはジャッジする立場です。判定は白か、黒かですが、その中間にある「グレー」=「曖昧さ」をどう判断されるのかがとても大切なように思います。バスケットボールは人と人のスポーツ。人には感情があり、論理だけでは伝わらないこともあります。そのあたりも含め、お伝えすることができていたらと思っています」と話しました。

【(C)B.LEAGUE】
大河原則人レフェリーは「自分たちはコミュニケーションを取ることが大事ですが、それが得意な人も不得意な人もいると思います。講義からヒントを得られて、考え方が変わりました」と明かし、「ストレングストレーニングを含め独学が多いので、専門家の方に教わるのは貴重な機会です。学んだことを、講義を受けられなかったレフェリーに還元していていきたいです」とコメントしました。

【(C)B.LEAGUE】
カンファレンスでは、はじめに上田篤拓氏(JBA審判グループシニアテクニカルエキスパート/FIBAレフェリーインストラクター)から『革新していく』、『オン&オフコートでモデルとなる姿勢と取り組み』、『感謝の気持ちとアプローチ』といった3つのテーマが掲げられました。試合に向けた準備として必要なことを再確認し、NBA Gリーグ・ユナイテッドとの国際親善試合に出場する群馬クレインサンダーズとアルバルク東京のプレー映像をチェック。漆間大吾レフェリーを中心に、実戦に向けてスカウティングを行いました。

【(C)B.LEAGUE】
12日、13日と担当を分け、試合をジャッジ。前日、試合当日に確認したことを活用し、ハイレベルな戦いを無事に締めくくりました。A東京戦で笛を吹いたのは阿部聖レフェリー、秋山厚志レフェリー、内田祥平レフェリーの3名。

【(C)B.LEAGUE】
阿部レフェリーは次のことを試合で意識していたようです。

【(C)B.LEAGUE】
「群馬戦を踏まえ、Gリーグ・ユナイテッドは多くの3Pシュートを打つ認識でした。まずは足元のケガをさせないように、そこへの抑止力を徹底していこうと話していました。加えて群馬とA東京も含め、素晴らしいシューターがそろっているので、彼らをフリーにするためのスクリーンもポイントでした。正当なのか、正当でないのかという線引きをしっかりとした上で試合に臨みました」

【(C)B.LEAGUE】
A東京は試合開始前にブランドン・デイヴィス選手、セバスチャン・サイズ選手、ライアン・ロシター選手の欠場を発表。3名のビッグマンを欠く戦いになりましたが、阿部レフェリーは「通常のリーグ戦でもスカウティングの内容とは違うことがよくありますので、(試合当日の発表でも)驚きはありませんでした」と動揺しなかったようで、秋山レフェリーは「その状況でA東京がどのようなバスケットボールをするのか。これまでの経験から『こういうことをしてくるのでは』と予想できたので、瞬時に切り替えられました」と続けました。

【(C)B.LEAGUE】
内田レフェリーは「できた部分とできなかった部分があると思っています。レフェリー3人が協力して動く部分は、昨シーズンから少し変わっています。変更への対応はまだこれからです」と課題も口にし、「僕は今シーズンからプロ契約です。キャンプで学んだロジカルコミュニケーションやストレングストレーニングをもう一度振り返って、まずはシーズンを乗り切れるように準備したいです」と意気込みました。

【(C)B.LEAGUE】
レフェリーの育成に携わる上田氏は、B.LEAGUE初の取り組みとなったキャンプについて「近年はコロナ禍の影響があり、一同に集まっての研修を開催できませんでした。言葉や意見を交わし、表情を見ながら話せる大事な機会になりました」と振り返り、「プロの強化はもちろん、参加できなかったレフェリーへ還元することも目的です。例えばトレーニングの話。プロの感想を入れた資料を作成し、レフェリー全員に使ってもらえるようにしたいです」と今後の狙いも語りました。
2026年秋のB.PREMIER開幕へ、目標とするプロレフェリー採用は20名を目標にしています。上田氏は「レフェリーとして、これが1つのマーケットだと認識しなければいけません。今の9名から増やしていきたいと思っています」と明かしつつ、「プロ以外には仕事をこなしながら、平日、休日を問わずに担当してくれるレフェリーがいます。彼らはノンプロの立場ですけど、プロ以上にプロ意識を持って取り組んでいます。レフェリーはリーグにおいて1つの大きなパーツだと思っています。環境が変わることで、最初はアジャストが必要だと思いますけど、今はレフェリー全員が成長を続けているので、僕は心配していません」とも話しました。
旧リーグ時代から活動し、初年度からB.LEAGUE担当審判員を務める大河原レフェリーは「まずはレフェリー全員が一体となり、10シーズン目をしっかりと終わらせること。そして、B.PREMIERの開幕を迎えたいと思っています」と意気込み、最後に「素晴らしいレフェリーたちが各都道府県にいます。そういった方々の姿を見て、学んで、わからないことがあれば聞いて。オンコート、オフコートの両方を磨きながら、目の前の試合にチャレンジしてほしいです」と、プロレフェリーを目指す方へアドバイスを送ってくれました。

【(C)B.LEAGUE】
前日の試合を振り返り、キャンプ4日目を終了。レフェリーは試合を円滑に進めるために欠かせない存在です今シーズンより、JSCの支援を受け、B.LEAGUEではB.LEAGUE SCS推進チーム内のスポーツパフォーマンスや食品・栄養などの専門家の知見や人材を活用し、レフェリーにトレーニングメニューの提供や指導、リカバリーやコンディショニングのサポート等の取り組みを進めていく予定です。これにより、判定の理解やスキル習得だけでなく、アスリートと同等にスポーツパフォーマンス領域においてレフェリーの活動充実を図ってまいります。

独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC)のB.LEAGUE SPORTSPROMOTION&REFEREE SUPPORTING PARTNER決定についてはこちら