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B.MAGAZINE編集長・菜波の「教えて!」ドラフト編

2025.12.26

その他

【(C)B.LEAGUE】


2026-27シーズン開幕に向けた『B.革新』の目玉の一つとなるのがドラフト制度です。候補選手が出そろい、各クラブの指名順も決定しました。B.LEAGUEのドラフトはどのようなものなのか。2026年1月29日の本番を前に、B.MAGAZINE編集長の菜波がイベントプロデュースグループの渡邊嶺、バスケットボールオペレーショングループの三浦慶也にお話を聞きました

本日の登場人物

 
【(C)B.LEAGUE】

渡邊嶺
公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ 2023年入社。B.LEAGUEではデジタルコミュニケーショングループを経て、2024年7月にイベントプロデュースグループに配属。オールスター、アワードなどB.LEAGUE主管興行を担当




 
【(C)B.LEAGUE】

三浦慶也
公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ 2021年入社。入社前は演劇事業の企画営業や、インフラ系イベントの企画運営に従事。入社後は競技運営に関わる業務を中心に、B.革新の競技レギュレーション設計を担当。

【B.LEAGUEドラフトはどのような制度?】

【(C)B.LEAGUE】

菜波 菜波 まずはB.LEAGUEドラフトの制度から教えてください。

三浦 一般の方にとって、日本のドラフトといえばプロ野球のイメージが強いと思います。プロ野球では各球団の指名が重複した場合、抽選で交渉権が決まります。B.LEAGUEはNBAと同じウェバー方式を採用していて、事前に各クラブの指名順を決めておき、ドラフト当日は指名が被らない形式です。そのため、その場で抽選が行われることはありません。

菜波 指名順はNBA同様にシーズンの結果次第ということですか?

三浦 本来は前シーズンの成績をもとに決めます。ポストシーズン未進出クラブを対象に、成績が低いクラブに高確率のオッズを設定し、上位の指名順を獲得できるような仕組みで抽選を行います。ただ、2026年、2027年に関してはB.革新後におけるリーグ体制の順位を反映できないため、全クラブの倍率を均一に設定して抽選します。

渡邊 2026年のドラフトについては12月22日に開催されたロッタリーで指名順が決定しました。島田(慎二)チェアマンがロッタリーボウルからカプセルを引き、サンロッカーズ渋谷が指名順1位を獲得しました。

三浦 ドラフト自体は2026年1月29日にKanadevia HALLで行われ、ドラフト参加クラブ、ドラフト志望選手を会場に呼び、誰が指名されるのかを見守ります。それぞれの場所で待機するプロ野球とは異なり、一部の選手には会場に来てもらうことになっています。

菜波 NBAのドラフトと同じような仕様ですね。

三浦 そのとおりです。選手自身がドラフト志望届を提出し、結果的に108名がエントリーしました。基本的にクラブはこの中から指名することになります。ただ、NCAA(全米大学体育協会)所属選手に関しては、事前にドラフト志望届を出さなくても、クラブが指名できるようになっています。

渡邊 志望届を提出した選手は、皆さんプロになりたいと思って出していただいています。各クラブにとっても「こんな選手がいるんだ」とわかるようになっています。クラブの関係者に披露するコンバインも行われ、「すごい逸材がいた」と感じた方もいるはずです。それらを含め、いい機会になったのかなと思っています。 

【NCAA、U18の選手はどうなるの?】

【(C)B.LEAGUE】

菜波 ところで、ドラフトの対象はリーグ登録国籍が「日本」の選手だけですよね?

三浦 はい。B.LEAGUEはNBAと異なり登録区分があるので、そのうちの日本人の枠に対するドラフトになります。

菜波 ありがとうございます。NCAA所属選手はドラフト志望届を出さなくてもいいとのことでしたが、クラブはリーグ登録国籍が「日本」になる選手であれば誰でも指名できるということですか?

三浦 学年に関わらず指名できます。NCAAの規定で選手が「プロに進みます」と言ってしまうと、その時点でNCAAにおけるプレー資格がなくなるので、彼らは事実上、志望届を出すことすらできないんです。B.LEAGUEのクラブが一方的に指名できますが、NCAAでのプレーを続ける選手も出てくると思うので、毎年のように指名され続けることが起こるかもしれません。

菜波 指名順が決まった現時点で、B.LEAGUEのクラブがNCAA所属選手に声を掛けてもいいのでしょうか?

三浦 大丈夫です。そこで選手に「まだプロに進む気はないです」と言われれば、指名を避けるクラブがあるかもしれません。とはいえ、他クラブとどのような交渉をしているのかわかりません。獲得できないのは理解しているけど、指名するというのも戦略なのかなと思っています。

菜波 志望届を出した選手は心の準備ができていますけど、「なんか指名されたよ」というNCAA所属選手が出てくるわけですね。ファン目線では興味深いです。B.LEAGUEにはユースがありますよね。U18所属選手もドラフトの対象ですか?

三浦 自分のクラブで育成し、登録期間などの条件を満たしたU18所属選手に限り、ドラフト前に優先的に交渉して、獲得できるような仕組みにしてあります。今回はレバンガ北海道、仙台89ERS、名古屋ダイヤモンドドルフィンズの3クラブがユース優先交渉権を行使しました。ドラフトが導入されることで、今後はユースにより力を入れるクラブが出てくると思っています。ユースが成熟していけば、将来的にはドラフトのシステムがなくなってもいいのかなと。ヨーロッパのサッカーのように、自分のクラブで育てて獲得するシステムになっていっても全く問題ないと思っています。ドラフトがあるからといって蔑ろにするのではなく、引き続きユースにも注力していきます。

菜波 NBAではドラフト当日のトレードが頻繁に発生しますが、B.LEAGUEはどうなりますか?

三浦 トレードはありませんが、B.LEAGUEでは若手選手の育成を目的とした育成契約選手制度を導入します。各クラブが25歳以下の選手2人まで、クラブ間の合意のみで選手を期限付移籍させることができます。ドラフト指名した選手もこの制度の対象とすることも可能で、B.PREMIERからB.ONEのクラブへ期限付移籍することは十分にあります。

菜波 育成を考えたら、選手とクラブの両方にとっていいことですね。多くの選手がドラフト志望届を出しましたが、クラブは何人まで指名できますか?

三浦 B.LEAGUEでは指名回避も可能ですし、逆にロスター枠すべてをドラフト指名選手で埋めることも可能です。2巡目までは必ず実施し、3巡目以降は全クラブの指名がなくなるまで続けます。1巡目での指名を回避するけど、2巡目、3巡目で指名したいというクラブもあるはずです。

菜波 それは年棒の関係ですよね?

三浦 はい。日本の大学の選手を指名すると、1巡目が1,800万円、2巡目が1,400万円、それ以降が1,000万円です。1,800万円は払えないけど、1,400万円だったら指名したいというクラブが出てくると予想しています。クラブ間での駆け引きがあると思うので、それはそれで面白くなるかなと思っています。

菜波 ちなみに、指名を拒否することもできますか?

三浦 指名されても「契約は締結しません」と断ることはできます。ただ、ドラフトの翌シーズンにB.PREMIERの他クラブとは契約できない仕組みにしてあるので、希望するクラブに入りたければ、翌年のドラフトを待つ必要があります。 

【B.LEAGUEがドラフトを導入した理由は?】

【(C)B.LEAGUE】

菜波 今回のドラフトに参加するB.PREMIERの23クラブがどのように動くのか注目です。NBAに次ぐリーグを目指すB.LEAGUEがドラフトを導入した理由を聞かせてください。

三浦 B.PREMIERが始まると、平日の試合が今よりも多くなり、NBAのように毎日どこかで試合が開催されるスケジュールになる予定です。お客さまが足を運びにくい平日の試合でも魅力あるものにしなければいけません。そういったことを考えると、戦力均衡が必要です。リーグとしてはサラリーキャップ制度を導入し、選手の報酬に使える総額を設定しました。加えて、新戦力獲得の機会を均等にしようということで、ドラフトを導入することに決めました。戦力均衡を長期的に見たとき、それを達成するためには必要なことです。

渡邊 今は資金力のあるクラブに優れた選手が集まりがちだと思いますが、例えば、これまでは様々な理由で有力な選手を獲得できなかったクラブが、将来の日本代表になるような選手をドラフトで指名できるとします。そのような選手が加入すれば、クラブとファンはもちろん、その地域にとっても喜ばしいと思います。また、将来的に見ても、全国各地に優れた選手がいることで、競争力が高まり、リーグをより魅力的なものにしてくれると思っています。

菜波 ドラフト制度を設計するにあたり、問題になったのはどのようなことですか?

三浦 いつまでにプロ選手になれば、1回目のドラフトの対象にならないのかという部分。最終的に今シーズンの開幕前と決めましたが、その期日はすごく迷いました。期日を早めれば早めるほど、選手を縛ることになってしまいますから。全日本大学バスケットボール連盟とも事前にミーティングを重ねましたが、ドラフト前にプロに転向する選手が発生することは想定していました。

菜波 先日公開された関係者によるドラフト座談会の動画を拝見しましたが、お話いただいたことも含め、導入に至るまで苦労したと思います。

渡邊 今回のドラフトに限らず、誰もが納得する制度はないと思っています。三浦も担当として数年かけて取り組み、関係者と何度も議論を重ねた上で制度が作られました。個人的には、決めた以上は信じて突き進むしかないなと。制度にご意見がある方もいらっしゃると思いますが、ご意見をいただきながら、より良いものにしていかなければいけません。

三浦 白鷗大学男子バスケットボール部の網野(友雄)監督は大学や学生側の視点で、元選手でB.LEAGUE理事の岡田(優介)さんは選手やリーグといったそれぞれの立場を総合的に鑑みて、「選手のためなら本来はこうあるべきじゃないのか」と議論していました。我々はクラブと向き合う機会が多く、両方のバランスを見る立場にはなりますけど、選手にとっては就職活動の場でもあります。先日の座談会は制度について改めて考える機会になりました。
 



【今シーズンからドラフト指名選手のプレーを見られる!?】

【(C)B.LEAGUE】

菜波 ドラフトの開催は1月ですが、クラブへの所属はいつからになりますか?

三浦 クラブと選手の交渉次第で、今シーズンからでも、来シーズンからでも問題ないです。今シーズンは基本的に特別指定選手として在籍することになると思います。極端な話ですが、クラブAに指名された選手が今シーズンはクラブBの特別指定選手としてプレーして、来シーズンからクラブAと契約することも可能です。

菜波 早ければ2月には、ドラフト指名選手をB.LEAGUEの試合で見られる可能性があるということですね。ファンの方はドキドキしていると思います。最後に、イベントという観点でどのように盛り上げていこうとお考えですか?

渡邊 まずはドラフトを開催していると認知してほしいです。ドラフトはB.革新最初のイベントですので、「ドラフトをやるんだ、新たなリーグ構造に生まれ変わるんだ」と知っていただけたらいいですね。ドラフト当日は選手が指名される瞬間を際立たせたいです。選手はドラフトにエントリーして、コンバインでクラブにアピールして、会場に来て、指名されてステージに上がっていく。その一連のシーンで選手が注目されて、輝く瞬間を作ってあげたいです。NBAのように選手の家族や友人を招待し、その方々も含めて喜んでもらえればなと。例えば、無名ながら努力してきた選手が指名された時を考えたら感慨深いというか、これまで関わってきた方々は「プロになれて本当に良かったね」と思うはずです。全国にはドラフトがなければ埋もれてしまう選手もいると思いますから。加えて、ドラフトを見た子どもたちに「自分もあの場所に立ちたい」と思ってもらえるイベントにしたいです。ドラフトの模様はバスケットLIVE、スポーツナビ、B.LEAGUE公式YouTubeで配信されます。当日を楽しみにしていただけたらと思います。



三浦 ドラフトはこれまで日の目を浴びなかった選手が日の目を浴びられるチャンスです。自分が主人公になれるのは生まれた時、結婚式、死ぬ時の3回とよく言われますけど、そこにドラフトが追加されればいいなと。ドラフトで指名されなくても、選手の存在を知ったB.ONEやB.NEXTのクラブが声を掛け、プロになる可能性も十分にあるので、そのための近道にもなればいいなと思っています。

【(C)B.LEAGUE】
 

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