岩屋 頼(早稲田大学)/「ドラフトにかかるなんて正直思っていない」高い順応力を武器とするクールなスコアリングガード B.LEAGUE DRAFT 2026

日本バスケットボール界が大きな転換期を迎えるなかで開催される「B.LEAGUE DRAFT 2026」 。この舞台に立つ候補選手たちは、いま何を想い、どのような覚悟でプロへの扉を叩こうとしているのでしょうか 。本連載は、実績やデータだけでは見えてこない彼らの”等身大の声”に迫ります。度重なる苦難を乗り越えた不屈の精神や、チームのために徹した献身的な姿勢 。一人のアスリートとして、人間として歩んできたこれまでの軌跡と、新たなステージへの決意 。ドラフトという運命の日を目前に控えた、彼らの「現在地」を届けます。
岩屋 頼
いわや・より/早稲田大4年/183cm・78kg/PG/2003年4月20日(22歳)/洛南高卒/大阪府出身
※年齢はドラフト当日の2026年1月29日時点

ハイペースなオフェンスから3ポイントシュートの“豪雨”を降らせ、57年ぶりの関東大学リーグ(1部)優勝、50年ぶりのインカレ準優勝というすばらしい成績を挙げた早稲田大学。今年度の大学バスケ界の台風の目となった同大を、キャプテンとして、そして司令塔としてけん引したのが岩屋頼選手です。
大阪府茨木出身の岩屋選手は、年明けの京王Jr.ウインターカップ2025-26で初優勝を果たした京都精華学園中学校男子部の1期生。3年時には夏の全国中学校バスケットボール大会で3位入賞、優秀選手賞という成績を残し、京都・洛南高校では1学年上の小川敦也選手(宇都宮ブレックス)や淺野ケニー選手(群馬クレインサンダーズ)、1学年下の星川開聖選手(宇都宮ブレックス)らと共に、インターハイやウインターカップで多くの経験を積みました。
「小さい頃から大阪エヴェッサや京都ハンナリーズの試合をよく見に行っていました。家族もみんなバスケが好きなので、家にいるときはいつもバスケットLIVEで何かしらの試合が流れているような環境でした。迫力があって見ているこちらも熱が入る。面白いなと思っていました」
そんな原風景を持つだけに、「プロバスケットボール選手」という将来像は早くから頭に浮かんでいたと岩屋選手は振り返りますが、大学入学当初に思い描いていたのは「プロが無理なら実業団でバスケを続ける」という安定路線。「プロになりたいなら、それ一本で目指さないと」と部の関係者から発破をかけられたことで、高い志をもって再出発を図ったものの、なかなか思うような成績が挙げられない年が続きました。しかし、最終学年となった今年度、冒頭に記した見事な有終の美を飾ったのです。
PGとしては大きめの183cmの上背。ライバルチームの指導者たちが「なまじっかな(中途半端な)選手ではあのバスケはできない」と舌を巻いた早稲田大学の高度なバスケットボールを体現できるスキルとバスケットボールIQ、そして高精度の3ポイントシュート(トップレベルのPGに必要不可欠とされるプルアップの3ポイントも得意)。長期離脱を一度も経験していない安定したフィジカル…。
岩屋選手のスペックはいずれもB.PREMIER基準を満たすものですが、最高峰の舞台でいっそう重宝されるであろう能力が、自身もアピールポイントとして挙げる「アジャスト力」です。
「選抜や世代別代表など自チームを離れてプレーした経験もありますが、チームやコーチが変わっても求められたことを遂行するのは得意だと思っています。個人で点を取ることもできれば、アシストに重きを置いてプレーすることもできる。これまでどのカテゴリーでもコーチからの『こういうプレーをやってほしい』という要望に応えてきたと思うし、そういうことを自分に求めてくださったコーチの方々のおかげで自信も付きました」
さらに、一喜一憂せず現状を冷静に把握できる性格も、プロのPGとして評価が高いポイント。来る「B.LEAGUE DRAFT 2026」についても「『サラリーキャップがある中で、若い選手にいきなり高いお金を払うのはリスクだ』という意見もありますし、正直、自分がドラフトにかかるとは思っていないです」と非常にシビアにとらえていますが、このような地に足のついた感覚を持つルーキーに魅力を感じるクラブは、少なくないはずです。
プロの舞台で力を発揮するための直近の課題としてとらえているのは「大学とプロの一番の差」と考えるディフェンスとフィジカル。しっかり体作りをし、コンディションに気を配りながらプロとして目指すものを尋ねると、岩屋選手らしい答えが返ってきました。
「活躍したいというのは大きな思いとしてあるんですけど、できれば長くバスケットを続けたいです。大きなケガをせずに、とにかく長いプロキャリアを歩みたいなと思っています」
地に足をつけ、一歩一歩をしっかりと踏みしめてたどり着いた先にはどのような世界が待っているのでしょうか。楽しみにしたいです。
