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田代直希 B.LEAGUE開幕・新時代の目撃者vol.2「ファンの人たちの心に響くモノを届けることが大事」 B.LEAGUE10周年記念インタビュー

2026.02.27

選手

【(C)B.LEAGUE】

コロナ禍の制限解禁「アスリートとして生活できる喜びみたいな感情が帰ってきた」

今シーズン、Bリーグは節目の10年目を迎えた。コロナ禍による観客制限からのシーズン中断など様々な困難を乗り越え、リーグ誕生時に比べると平均観客数は約2倍と大きな発展を遂げている。さらなる成長を目指し、『B.革新』の名の下に来シーズンから新たなフォーマットを導入する中、記念すべきBリーグ開幕戦(2016年9月22日)でコートに立ったアルバルク東京、琉球ゴールデンキングスの面々にこの10年の歩みを振り返ってもらった。今回は当時、琉球の一員としてプレーし、現在は千葉ジェッツ所属の田代直希のメッセージを紹介する。

【(C)B.LEAGUE】

――Bリーグ開幕戦についてどんな思い出がありますか。

たくさんの人たちが注目する開幕戦のチームにキングスが選んでもらえたことはめちゃくちゃうれしかったです。ただ、当時の僕は「Bリーグが始まるんだな」、「すごい試合でプレーさせてもらえる」くらいにしか思っていなくて、浮かれていた感じでした。開幕戦でプレーできることの意味について意識していなくて、もっといろいろと考えて視野を広げた上でプレーできたら良かったというちょっとした後悔があります。LEDのコートはすごかったです。会場の盛り上がりも相まってお祭りみたいな感覚で、すごく良い経験をさせてもらえたと思っています。

【(C)B.LEAGUE】

――コロナ禍の入場制限で声出し禁止を経て、制限がなくなり声出し解禁となった時はどんな思いでしたか。

沖縄アリーナ(現:沖縄サントリーアリーナ)がオープンした 2021年は入場制限の時で、それでも5000人くらいが入ってマスクをしていました。このシーズン(2020-21シーズン)は、B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2020-21のセミファイナルで千葉Jに負けてしまいましたが、ファンの皆さんもコロナで外出もできない、エンタメを体験できる機会が少ない中、皆さんの溜まっていた鬱憤みたいなものが、バスケットの試合で解き放たれたような感覚がありました。バスケットをできる喜び、アスリートとして生活できる喜びみたいな感情が帰ってきたのはその時期でした。

声出し解禁の時はやっぱり昂るものがありました。声出し禁止でマスクをつけている時でさえ、「おぉ」とか「あぁ」といった声は漏れていて、ファンの人たちが熱い思いで応援してくれているのは感じていました。だから声出しだったり、いろいろなものが解禁になった時は選手としての喜びは強かったですが、それ以上にファンの人たちがあるべきところに戻ってきてくれた安堵感の方が強かったです。

――今、田代選手が在籍する千葉Jの本拠地『LaLa arena TOKYO-BAY』は1万人以上が入ります。当初の4000人で満員という体育館から、より大きなアリーナへ舞台が変わることでどうしてもファン一人ひとりとの関係性は薄れがちになるかと思います。選手として、何を意識しないといけないですか。

関わり方のところでは、1万人となると4000人で満員の会場と比べて難しくなってきます。その中でやっぱり良い試合を見せる、勝ち負けではない部分でファンの人たちの心に響くモノを届けることが大事だと思います。試合を見に来てくれる皆さんが全員、その時ハッピーなわけではない。仕事が大変だったり、いろいろと辛い思いを抱えながらアリーナに来ている人もいると思います。そういった人たちに何かを届けないと僕たちは意味がない。勝ち負け以上に「良いものが見れた」、「あの選手のプレーがすごく私にとって支えになった」と感じてもらえるお客さんを増やしていかないといけないです。1万人が入るということは、僕たちが下手なプレーをすればがっかりして帰る人の数も増えてしまう。そのことへの危機感を持ってコートに立たないといけない。そこはチームとして常に掲げたいテーマです。

【(C)B.LEAGUE】

「バスケットボールだけ上手くてもプロになれるわけではない」

――Bリーグの発展で、将来プロバスケットボール選手になりたいと思うバスケ少年はどんどん増えていると思います。彼らにアドバイスを送るとしたらどんなモノになりますか。

難しいですが、バスケだけ上手くてもプロになれるわけではないです。僕は原(修太)ちゃんと同級生で学校は違いますけど、小さい時から切磋琢磨してきた関係です。地元で僕たちよりうまい選手は周りにたくさんいましたけど、結果としてプロになったのは僕と原ちゃんで、自分で言うのはおこがましいですけど、今もプロの最前線でプレーさせてもらっています。その僕が感じるのは、チームにとって自分はどういう立ち位置でどういうことをしたらチームに貢献できるのかを考える力、バスケ以外で自分が生きていく道を見つけ出すこと。バスだけでなく、いろいろなところに目を向けて、いろいろな人の話を聞いて、自分の生き方を模索していくことはこれからの若い選手たち、もちろん僕にとっても大事だと思います。

――今後、Bリーグが成長していくために大切な部分は何だと思いますか。

一選手としてまずやるべきことはスキルを磨き、身体を鍛えることです。ただ、それがすべてではないと思います。例えば能力が本当に優れている選手は、河村(勇輝)選手みたいにNBAに挑戦したりと、Bリーグからステップアップしていきます。Bリーグでプレーを続ける選手としては、努力を重ねるとともに、例えば千葉Jだったら船橋市、ブースター(ファン)の人たち、パートナー(スポンサー)さんのようなステークホルダーの皆さんとうまく手を取り合って進んでいくべきだということを意識しないといけないです。

――ファンへのメッセージをお願いします。

僕が小学校の時は読売ジャイアンツ、特に松井秀喜さんが大好きで「昨日、松井選手がホームランを打ったんだ」と言えば話が通じました。同じように千葉県の学校で、「ジェッツの富樫選手が……と、みんなの話題になることが素晴らしい未来だと思います。もっとジェッツが、バスケに詳しい人以外にも広がってほしいので、ファンの皆さんにはおこがましいですがバスケを知らない友達をLaLa arena TOKYO-BAYに呼んでほしいです。リピート率が高いのはもちろんうれしいですが、バスケットを知らなかった人が見ても面白かったと思ってもらえるようになることを目指していきたいです。

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