【EASL】琉球ゴールデンキングスの脇真大、迷いを払拭してEASL FINALS MACAU 2026へ「優勝の喜びを分かち合いたい」

琉球ゴールデンキングスの脇真大は、ルーキーイヤーだった昨シーズンに全60試合に出場した。そのうち49試合は先発で、平均21分半の出場で7.3得点を記録。恵まれた体格を生かしたディフェンスと、果敢に仕掛けるペイントアタックで攻守に存在感を見せ、新人王に輝いた。しかし、プロ2年目の今シーズンは苦戦しているように見える。ベンチスタートが増え、プレータイムが17分に減ったことでスタッツも落とした。開幕早々に右第3中手骨の骨折による戦線離脱が痛かったのは間違いない。ただ、脇は周囲からの期待をしっかりと受け止め、求められた役割を全うすることにプライドを持ってもいる。
「期待しているからこそ僕に任せようとしている」
──開幕当初に骨折した右手はもう何ともないんですか。
もう全然大丈夫です。コンディション的には悪いところはありません。
──今回のバイウィークはいつもと違って、桶谷大ヘッドコーチが日本代表を率いていることで、キングスの選手たちの見方も変わったと思います。
そうですね。いつも日本代表が勝ってほしいと思って見ていますが、いつも以上に気持ちが入りました。桶さんが素晴らしいコーチだと認めてもらったことは僕たちも心の底からうれしいです。単純に応援する気持ちは変わりませんが、心のどこかで「自分は桶さんのバスケを分かっているんだから、絶対に代表に呼ばれたい」という気持ちも芽生えてきました。だからいつも以上に「自分だったらこうプレーするのに」と考えながら試合を見ました。
──昨シーズン終盤に岸本隆一選手が離脱して、ポイントガードを任されました。あれは緊急避難的な起用かと思ったのですが、今シーズンもそれは続いています。チームにおける今の自分の立ち位置をどう受け止めていますか。
昨シーズン、隆一さんがケガでチャンピオンシップに出られなくなった時に僕がポイントガードを任されて、そこでいろんな選手に助けてもらったんですよね。隆一さんにもたくさんアドバイスをもらって、自分でも「意外とできるじゃん」みたいな感じで上手くやれたんです。それが今シーズンになって隆一さんが戻って来て、(崎濱)秀斗も成長のために使っていくので僕が3番手になるんですけど、僕のやること自体はあまり変わっていません。周囲とコミュニケーションを取ってみんながやりやすいセットプレーに入るのが僕の仕事です。
隆一さんの良さ、僕と秀斗の良さは違っていて、隆一さんはやはりシュートの良さがあってハーフコートオフェンスをきっちり作ることが強みです。僕らはトランジションのバスケで、リバウンドを取ったらワンパスで攻めることもできます。その違いを上手く使えば、相手からすれば本当に守るのが難しいと思うので、そこをどんどん引き出していこうと思っていました。ところがそれが上手くいかなくてトランジションも全然出せないし、悩みながらやっていたんですが、ここにきてようやく整理できてきたように思います。
──大変なコンバートですが、前向きに取り組むことはできていますか。
それはもちろんです。期待しているからこそコーチたちは僕に任せようとしているわけで、その期待に応えたいです。いろんなコミュニケーションを取りながらですが、結局コート上でやるのは選手なので、僕が気持ちで負けることなく結果を出せれば、それが信頼関係に繋がってきます。
「みんなで勝つのが一番良い勝ち方だというバスケ」

──去年の今ごろはまだ「自分の得意なプレーを思い切ってやってこい」だけだったのが、チームのために不慣れな役割をこなす犠牲を払うことを求められています。それも期待されているからこそですね。
そうですね。僕個人が活躍できなくてもチームが良いバスケをして勝てるかどうか。そこに貢献するための役割を任せてもらえるのであれば、僕としてはやるだけです。選手としては「それは僕の得意なプレーじゃないな」ということも出てきますが、チームが勝つために個人が犠牲を払うことは絶対に必要です。
今も僕と隆一さんが一緒に出ている時に、ハーフコートでバスケをするのに僕にポイントガード役を任せてくれて、僕のアタックをファーストオプションにしてくれたりします。そうやって僕がやりやすい環境を隆一さんが作ってくれて、「自分のアタックを忘れるな」とアドバイスしてくれるので、ずっと背中を押してもらっていると思います。
──犠牲という面では、今シーズンの脇選手にとってはベンチスタートもそうですよね。選手なら誰しも先発が良いし、できるだけ長くプレーしたいものです。ベンチスタートは試合の流れにプレーを合わせる必要もあって、特にもともとポイントガードでない脇選手にとっては簡単ではないはずです。
昨シーズンとは起用法が全然違うので、正直キツい思いも最初はありました。それは選手として自然な気持ちだと思うんですけど、長く出る日もあればそうでない日もある中で、「自分が出ていなくてもチームが勝てばいい」と考えられるようになりました。
実際、このチームはみんな自分のミニッツにかかわらずチームが勝つためにどう貢献できるかを考えているし、コーチもそこを評価してくれます。だから試合に出ない日があっても別に下を向くことはないし、チャンスは絶対来ると思えます。逆に長くプレーして活躍する日があっても、「もっともっと信頼される選手になりたい」と思うだけですね。
──このチームにはそういうカルチャーが、脇選手が来る以前から根付いていますよね。
上の人たちが作ってくれたカルチャーがしっかり存在していますね。誰かがビッグショットを決めれば目立つけど、そのプレーにいろんな選手がかかわっているのをみんな分かっています。良いディフェンスがあるからスティールが決まって、そこから良い流れでオフェンスに入って、良いパスが出て。そうやって作り上げたビッグショットだとみんな理解している。決めた選手も「最後を自分がもらった」という感じです。
みんなそれぞれ活躍したい気持ちはあるけど、いくら活躍したって勝たなきゃ意味がないじゃないですか。みんなで勝つのが一番良い勝ち方だというバスケを僕たちは目指しています。誰かが先頭に立って「俺についてこい」って感じでもないですからね。みんなが並んで、お互い隣にいる選手に「一緒に上がろうよ」と声を掛け合いながら進んでいくチームです。
「優勝を懸けた試合だというマインドをきっちり作る」

──個々が犠牲を厭わないのは、それでチームが結果を出せるからだと思います。それでも今シーズンの琉球はバイウィーク時点で西地区首位からゲーム差の4位で、「キングス大丈夫?」と見る人も少なくありません。勝率67%でそう言われるのは理不尽ですが……。
勝敗だけを見て「全然勝てていない」と言われるのは確かに理不尽だと思いますが、そう受け止める人もいますよね。でも結局どこを目指すかと言えばチャンピオンシップで、始まってしまえばシード順は関係ない戦いになります。今はチームとしての変化の時期です。特に開幕直後のケヴェ(アルマ)の退団で変化せざるを得なくなって、今はどんどん良くなっています。いつものように勝てていないかもしれませんが、ここに来て勝てるチームになってきていることに注目してほしいです。
──EASLでタイトルを取って、波に乗るとともに周囲の見方も変えたいですね。
本当にそうですね。B.LEAGUEのレギュラーシーズンと並行でEASLのFINALSがあるのは大変ですが、ここで優勝できれば「B.LEAGUEでも勝てる」という勢いが出てきます。逆にウチが勝てずにB.LEAGUEの他のチームが優勝したら、そのチームに勢いがいってしまいます。シーズン全体を見ても、ここで良いバスケをすること、しっかり勝つことは本当に大事だと思います。
──今年も中立地のマカオでの一発勝負のトーナメントになります。特殊な環境ですが、難しさと楽しさはどんなものがありますか。
食事とか気を付けないといけない部分はあるので、コンディションには十分に注意しますが、僕らはもう3回目でかなりの試合数をこなしているので、環境という意味ではむしろホームアドバンテージがあるぐらいのつもりで行ってきます。
そうは言っても去年の悔しさは忘れていないですし、あの悔しさをもう一回経験するのは絶対に避けたいので、去年以上に気持ちを入れて準決勝から戦います。「優勝を懸けた試合だ」というマインドをきっちり作って試合に臨むのが大事なので、そこはしっかり準備したいです。
──脇選手個人としては、昨年のリベンジにどんな思いを持っていますか。
去年のあの時期はどんなプレーをすればいいのか分からなくなっていた時期で、悩んでいたことでメンタルの部分がちょっと落ちていました。1試合で終わってしまうトーナメントでそんなこと言ってられないと去年に学んだつもりですし、この1年で気持ちの作り方もできるようになったと思っています。
シーズンが終わった時に、あのマカオでの試合で良い波に乗れたと言えるようにしたいですし、遠くから応援に来てくれる人たちに「マカオまで来て良かった」と思ってもらえるようなバスケを見せたいです。チームとしてもEASLには絶対勝つという気持ちなので、しっかり集中して戦って、ファンの皆さんと優勝の喜びを分かち合いたいです。
