指揮官が掲げる「個の証明」、高さとフィジカルの壁に挑んだフランス遠征予選【B.LEAGUE U18選抜チーム】

B.LEAGUE U18世代がアウェーの地で世界の壁に挑む——フランス・ショレで開催されている「第42回 CHOLET MONDIAL BASKETBALL」に出場中のB.LEAGUE U18選抜チームは、予選グループで地元フランスのCHOLET BASKET、ドイツのURSPRING ACADEMYに敗れ、9~12位決定戦へ回ることとなった。
本大会はU19のカテゴリーで開催されており、B.LEAGUE U18選抜チームにとっては1歳年上のトッププレーヤーたちとの対戦となる。さらにロスターに2mクラスのビッグマンが不在である日本は、高さとフィジカル面で明らかなハンディキャップを背負っていた。それでも、秋葉真司ヘッドコーチは渡航前から、「チームのために個が犠牲になるようなバスケはしない。日本のアドバンテージである『スピード』と『規律あるインテンシティ』を武器に、12人全員がそれぞれ戦える場所で自分たちの個を証明する」と宣言。チームコンセプトを「個の証明」とし、あえて世界との戦いを自己表現の場と位置づけて大会に臨んだ。その「個の証明」の前に立ち塞がったのは、ヨーロッパのチームが日常的に備える戦術眼と確かな高さだった。
試合結果
●53-78 vs.CHOLET BASKET
痛感した世界とのフィジカル差と光る時間帯
予選グループ初戦の相手は、ホストクラブのユースチーム、CHOLET BASKET。宮里俊佑(琉球)、棚橋康成(SR渋谷)、深水虎太郎(千葉J)、江原行佐(横浜BC)、プラット聖也(長崎)の5人でスタートしたB.LEAGUE U18選抜チームは、開始早々に棚橋が右コーナーから3Pシュートを沈めると、宮里もトップからプルアップジャンパーを決めるなど良い滑り出しを見せる。さらにボールマンに対しても出足からプレッシャーをかけ、臆することなく挑んだ。
それでも、徐々に相手のサイズとウイングスパンがオフェンスを停滞させていく。トランジションから速い展開を作ろうとするものの、容易にペイントエリアへの侵入を許してもらえない。腕の長いディフェンダーを前にパスコースが塞がれてリズムを崩すと、高さを生かしてインサイドで着実に得点を重ねるCHOLET BASKETにリードを許す展開となった。1Qを終えて8-18。リバウンドは6-16と、数字の上でも高さの壁を見せつけられる立ち上がりとなった。続く2Qでは、高橋秀成(川崎)がフリースローやクイックネスを生かしたアタックで食らいつき、途中出場の山野井皓(SR渋谷)もインサイドで粘りスコアを刻む。このクォーター単体のリバウンドはオフェンスリバウンド7本を含む8-7と日本が上回り粘りを見せたが、相手は速さに対するピックアップをさらに早め、アウトサイドのシュートもコンスタントに沈めたことで点差は20-42へと広がってしまった。
それでも、後半に入るとB.LEAGUE U18選抜チームが良さを発揮し始める。3Q開始直後、江原が3Pシュートとドライブからのフリースローで連続得点を挙げると、プラットやフローニング コリン(千葉J)もフィールドゴールを成功。オフェンスのスピードを上げ、この数分間は8-8と互角に渡り合った。終盤にかけては山野井のキックアウトから高橋が3Pシュートを沈め、藤田翔(名古屋D)もアングルを変えたパスからコーナー3Pシュートを射抜くなど、アウトサイドから打開策を見出していく。結果的にこのクォーターは20-17と日本がスコアで上回る健闘を見せた。
最終的に53-78で敗北したものの、初戦から手応えを掴んだ選手もいる。指揮官から「シュートファーストでプレーしろ」と送り出されていた棚橋は「強みであるスピードやディフェンスの強度を強調しつつ、個人的には3Pシュートを気持ちよく打ち切ることができました」と語り、自身のプレースタイルを大きな相手に対しても発揮できたことに充実感を覗かせた。しかし同時に、「セカンドチャンスやゴール下で得点されたことや、オフェンスが停滞したときのボールの動きを改善しなければならない」と、自らの強みをさらにチームの流れの中で循環させる課題も口にした。
2026/4/3
B.LEAGUE U18選抜チーム
スコア53
8|12|20|13
18|24|17|19
CHOLET BASKET スコア78
トップパフォーマー
#14高橋秀成 13得点(3Pシュート3/4)
試合結果
●31-65 vs.URSPRING ACADEMY
泥臭いディフェンスで食らいついた前半の攻防
約2時間のインターバルを経て迎えた第2戦、ドイツのURSPRING ACADEMYも難敵だった。207cmのビッグマンを擁する相手に対し、日本はプラット、宮里、江原、フローニング、佐藤駿(名古屋D)とよりサイズを強調した5人をスターターに並べた。
ここで光ったのが、秋葉HCが大会前に挙げていた「規律があるインテンシティ」だ。特に棚橋がバックコートから鋭い出足でプレッシャーをかけ、早いピックアップでボールマンに食らいつく。さらにはトラップディフェンスを仕掛けて相手を牽制し、タフショットを強要することでオフェンスにもリズムを生み出す。藤田のジャンパーや高橋のペイントアタックなどでしっかり競り合い、1Qを13-17という互角の展開で終える。2Qに入ってもディフェンスは機能した。ピックプレーを多用するURSPRING ACADEMYに対して的確なヘルプディフェンスで対応し、8秒バイオレーションを誘発するなど好ディフェンスが目立った。重苦しい展開の中、宮里がフリースローで加点し、チーム全体でボックスアウトを徹底。リバウンドは前半終了時点で20-20と健闘し、20-29と1桁点差で折り返した。
それでも、後半に入るとフィジカルコンタクトが激しい試合展開に加え、ダブルヘッダーによる疲労が見た目にも表れ始めた。距離のあるシュートを強いるB.LEAGUE U18選抜チームのディフェンスに対し、URSPRING ACADEMYは徐々にシュートの精度を上げ、3Q開始から12-0のランを生み出してしまう。インサイドへの侵入を阻まれたことで最終スコアは31-65。この試合、ペイント内での日本は0得点に終わり、強みとしたかったトランジションからの速攻も1点に封じられるなど、苦しい後半となった。
悩みながら答えを探す選手たち。残り2試合で見据えるもの
連敗で予選グループを終えたが、チームは決して下を向くことはない。
秋葉HCは「個々が悩みながら答えを出していった、総じてポジティブなゲームだったと思います」と、苦境のなかでも打開策を考えて行動に移した姿勢を評価。試合では「ダイブへの対処など戦術的な点も修正しつつ、とにかくペースを上げて自分たちの走るバスケに立ち返るよう指示しました」と語ると共に「全員が同じ方向に向き合い、ブレることなくやり抜けたことは一つの収穫です」とチームの精神的な軸が揃ってきたことを強調する。
大会前、指揮官が「ヨーロッパの戦術的強度は間違いなく日本の18歳では体感できないクオリティにある。何もわからない状態で土俵に上がるのではなく、スタンダード(基準)を上げた状態で臨みたいと考えています」と語っていた。言葉どおり、出場チームのレベルはいずれも高く、B.LEAGUE U18選抜チームに立ちはだかっている。だからこそ、自分たちがどの程度通用するのかという「個の証明」に価値がある。
残るは9~12位決定戦。「チーム全体としての方向性は良くなっていますが、まだ個人の強みがチームの歯車として噛み合っていません。残り2試合では、個々の力を発揮しやすい環境を作り、一人一人が強みを発揮することで、チームと個人の結果を結びつけたいと思います」と秋葉HCは前を向いた。
圧倒的な高さやフィジカルの劣勢を前に、どう個々の長所をチームの力へと変えていくか。B.LEAGUE U18選抜チームが誇る「個」が、世界に対して自らを証明するための模索は、大会の最後まで続いていく。
2026.4.3
URSPRING ACADEMY 65
17|12|22|14
13| 7| 8|3
B.LEAGUE U18選抜チーム 31
トップパフォーマー
#7宮里俊佑 11得点4リバウンド1スティール
#4プラット聖也 6得点4リバウンド2ブロック
B.LEAGUE U18選抜チーム スタッフ陣
・ヘッドコーチ:秋葉 真司(サンロッカーズ渋谷 U18)
・アシスタントコーチ:鈴木 龍雄(佐賀バルーナーズ U18)
・アシスタントコーチ:吉田 英司(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ U15)
・トレーナー:高台 周希(アルバルク東京 U18)
B.LEAGUE U18選抜チーム 選手(12名)※学年は発表の3月18日時点
#4プラット 聖也(PF / 191cm / 高1 / 長崎ヴェルカ U18)
#6棚橋 康成(SG / 179cm / 高2 / サンロッカーズ渋谷 U18)
#7宮里 俊佑(PG / 180cm / 高1 / 琉球ゴールデンキングス U18)
#8小松 亮太(PF / 188cm / 高2 / 秋田ノーザンハピネッツ U18)
#9深水 虎太郎(SF / 187cm / 高2 / 千葉ジェッツ U18)
#10古河 シェーン(PF / 188cm / 高1 / サンロッカーズ渋谷 U18)
#13山野井 皓(PG / 180cm / 中3 / サンロッカーズ渋谷 U18)
#14高橋 秀成(PG / 175cm / 高1 / U18 川崎ブレイブサンダース)
#15江原 行佐(SF/PF / 192cm / 高2 / 横浜ビー・コルセアーズ U18)
#16フローニング コリン(PF / 195cm / 高1 / 千葉ジェッツ U18)
#18佐藤 駿(SF / 184cm / 高1 / 名古屋ダイヤモンドドルフィンズ U18)
#19藤田 翔(SG / 179cm / 高1 / 名古屋ダイヤモンドドルフィンズ U18)
「CHOLET MONDIAL BASKETBALL」大会概要
【大会期間】
2026年4月3日(金)~6日(月)
【開催地】
フランス ショレ
【カテゴリー】
U19(※BリーグはU18選抜チームとして出場)
【試合結果】
[4/3予選グループ] ●53-78 vs.CHOLET BASKET(フランス)
[4/3予選グループ] ●31-65 vs.URSPRING ACADEMY(ドイツ)
参加チーム
(計12チーム)B.LEAGUE U18選抜チーム(日本)
POLARIS PREP ACADEMY(カナダ)
DRIVE ACADEMY ELITE BASKETBALL(フィンランド)
ORANGE LIONS ACADEMY(オランダ)
URSPRING ACADEMY(ドイツ)
ELX BASKET ACADEMY(スペイン)
CZ ACADEMY(チェコ)
KK PODGORICA BEMAX(モンテネグロ)
ADA BLOIS BASKET 41(フランス)
ROANNE BASKETBALL CHOIR(フランス)
LE MANS SARTHE BASKET(フランス)
CHOLET BASKET(フランス)
大会サイト
https://jfcholetmondialbasketball.com/
